美しい馬が蝉に懐くお話

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1名無しさん@ビンキー
あり板はダミだからここでねノシ
脳内変換ガンガレ

後関くんのモノローグ  〜出逢い〜

オレは幼少の頃両親を亡くし、一人っ子だったから家族の温かみなんて知らずに育った。
そんなオレにも親友と呼べる奴ができ、そいつんちは母子家庭で、
年の離れた父親違いの弟がいた。
初めて奴ん家に遊びに行ったのは確かオレが高校一年の時だった。
「コイツ後関。ゲイなんだ。」
親友はあっけらかんとオレの事を母親に紹介した。
そしてそんな親友の母親だけあって、
「あらっ、そうなの?じゃあ、この子をこよなく愛してあげてね!
でも郁也には手を出さないでね。」と、その小さな小学三年生の弟くんを抱きしめ笑って言った。
そして郁也には
「後関くんに食べられないように気をつけなさいね。」
と言うもんだからオレは、
「コイツにも郁也くんにも手なんて出しません!」
と慌てて否定した。
実際本当にオレはゲイだがノンケの親友に興味はなかったし、ましてやチビに関
しては完全な対象外だった。
「後関くんはボクを食べちゃうの?」
大きな瞳に長い睫毛のチビは楽しそうに興味深げに笑顔でオレを見上げた。
「ああ、いたずらする悪い子は喰ってやる〜!」
オレがふざけて郁也に言うと幼い少年はキャッキャッと喜んだ。
その日から郁也は何故かオレにひどくなついた。
実の兄貴よりオレに戯れついてくることが多く、その度にオレは、
「喰ってやる〜!」
と威した。
それが楽しいのか郁也は性懲りなく戯れついてきた。
そんな郁也をオレも実の弟のように可愛がった。
2名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:35:58 0
数年が経ち、オレたちも大人になり郁也も中学三年生になっていた。
中学に入ってからというものダンス教室に通っているらしく、
たまにオレが親友ん家に遊びに行った時にいたら顔を合わすというぐらいでしかなかった。
だが相変わらず屈託のない笑顔でオレに戯れついてきてはいた。
ある日、オレは親友ん家で買い物に出かけた親友を待っていた。
すると郁也が帰ってきた。
郁也は嬉しそうにオレにちょっかいをかけてきた。
いつになくしつこく、うざいぐらいに絡んで来て、はしゃぐのでオレは少しイラついた。
「おまえ本当うざいなー!あんまりしつこいと喰っちゃうぞ!」
そう言うとオレは郁也を床に押し倒した。
郁也は楽しそうに笑っていたが急に真顔になりこう言った。
「食べていいよ…。」
3名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:37:38 0
「えっ?!」
オレは驚き郁也を見つめた。
「後関くんになら食べられてもいい…」
少し伏し目がちに小さな声で郁也は言った。
オレは郁也が何を言っているのか意図が掴めず、ただ
「おまえみたいな骨と皮だけのやつ喰ってもうまくないよ。」
そう言うのが精一杯で背中を向けた。
少しドキドキしていた。
郁也が笑って「冗談だよ」と言うのを待っていた。
けれど聞こえてきたのは郁也の啜り泣く声だった。
オレはただ事ではない事を察し、郁也に問い掛けた。
「何があった?」
4名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:39:26 0
暫く郁也は黙っていたが、意を決したように口を開いた。
「ずっと後関くんに相談したかった。話したかった。助けて欲しかった。」
そう言うと郁也は今通っているダンス教室の事を話し始めた。
教室はクラス分けがされていて各クラス担任がいるという。
郁也のクラスの担任は男性教師でいつも郁也だけに厳しく、残されることが多かった。
最初はダンスの指導で手足にスキンシップしてくるだけだったが、
だんだん教師自身の下半身を郁也の体に押し着けてくるようになり、
ついには郁也の下半身を触るようになった。
郁也はすごく嫌でダンス教室を辞めたいとまで思ったが母親に無理言って通わせて貰ったこともあり、
また理由を聞かれた時になんと答えたらいいのか分からず、恥ずかしくて言い出せなかったという。
5名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:42:23 0
そうして郁也が何も抵抗できずにいると、その教師はさらにエスカレートして、
レッスンが終わると郁也を自宅に連れていき、郁也の体を弄ぶようになった。
そしてさらには仲間を呼び複数で郁也を玩具にするようにまでなった。
郁也は耐えきれず自殺さえも考えた。
「後関くんにしかこんなこと話せない…。お母さんやお兄ちゃんには話せないよ…。
…後関くん、助けて。ボクを、…」ボクを愛して!ボクを救って!後関くんがいい!後関くんなら…、
ボク、ボク後関くんになら何されてもいい!だから、お願い!…あいつらからボクを守って!」
郁也は小さい子供のようにしゃくりあげて泣いた。
オレは突然の事でどうしていいのか戸惑ってしまい何も言えずにいた。
すると親友が買い物から戻ってきてしまい、郁也は自分の部屋に隠れてしまった。
その日からオレは毎日郁也の事ばかり考えるようになった。
6名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:43:33 0
とりあえず先ずは例のダンス教師だ。
オレは自慢じゃないが空手の有段者だ。
オレは奴の所へ赴き、散々脅してやった。
奴の立場的な事も含め脅してやったので案の定、翌日奴はダンス教室を辞めた。
もう郁也に手出しはしないだろう。
さて、一番厄介なのは郁也だ。
アイツの心と身体の傷はどうしてやれば癒される?
オレは何度も自問自答した。
郁也の泣きながら言ったあの言葉。
「ボクを愛して!ボクを救って!」
そして、あの真顔で言った一言。
「食べていいよ。」
7名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:44:44 0
…オレは覚悟を決めた。
それは長い春に終止符を打ち、結婚を決めた男の気持ちに似ていると思った。


オレは郁也を自宅に呼んだ。
郁也は怪訝そうに聞いてきた。
「どうしたの?…この間の事なら、もう忘れて。ボクどうかしてたんだ。」
そう言って郁也は目を伏せた。
体が少し震えているのがわかった。

オレは静かに郁也に言った。

「おまえを喰ってやる…」
8名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:46:45 0
「え…?!」
郁也は一瞬意味が解らず驚いた表情だったが、すぐに瞳を潤ませ、静かに微笑んだ。
「後関くん…」
その顔がとても愛おしく、すぐにでも抱きしめてやりたい気持ちをオレは抑えつつ、
郁也にゆっくり歩み寄った。
そして彼のおでこに優しくキスをした。
『オレはこれからコイツを抱くんだ。』
中学三年生とはいえ小柄な郁也はとても幼く、
オレにとって出会った頃の小学三年生の郁也となんら変わりがなかった。
そんな小さな郁也をオレは抱く。
弟同然の子をオレは抱こうとしている。
そんな罪悪感でさえオレを興奮させた。
9名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:49:18 0
オレは次に彼の瞼にキスし、その次は頬、そして唇に…。
ゆっくりと優しく彼の唇を愛撫するようにキスしている時だった。
突然、郁也のほうから舌を入れてきた。
オレは一瞬驚いたが、こんな事まで覚えるなんて…コイツはどれだけのコトをされてきたのかと切なくなり、
その半面、オレのことをそれほどまで想ってくれているんだと感じ胸を熱くさせた。
激しく求めるように絡ませてくる郁也の舌をオレは優しく穏やかに受け入れ、
ゆっくり子供をあやすように彼の髪を愛撫した。
10名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:50:40 0
今まで郁也は荒々しく欲望を満たすだけの交わりしか知らなかったんだろう。
オレは彼に優しく愛に満ちた世界もあるのだと教えようと努めた。
郁也は少しづつ身体の力が抜け、オレに身を任せはじめた。
ベッドに寝かせると彼の服をゆっくりと脱がし露になった乳首に舌先で触れた。
彼はピクッと身体を震わせ小さく「あっ…」と声を漏らした。
その表情はとても15歳の少年とは思えないほど切なく美しかった。
11名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:54:29 0
つい見とれていると、郁也は潤んだ瞳でオレの方を向き、少し掠れた声で甘えるように「後関くん…」と言った。
「ん?」オレは慈しむように郁也を見つめながら応えた。
「後関くんはボクのこと好きなの?」
純真無垢な瞳で見上げる郁也はオレのかけがえのない世界でたったひとつの宝物に思えた。
「ああ、好きだよ。大好きだよ…!」
そういうとオレは郁也を抱きしめた。
「ずっとオレが守ってやる。ずっと一緒だ。だから安心しろ!」
そう言うとオレは再び郁也にキスをした。
12名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 01:59:14 0
今度はオレのほうが貪るように郁也の唇を吸い、舌を絡ませた。
『コイツはオレのものだ!誰にも渡さない!触れさせない!』
オレは郁也の下半身に手をのばし、ズボンの上から激しく愛撫した。
「あ…ああ……」
郁也は切ない声をあげた。
オレは郁也のベルトを外し、ズボンを剥ぎ取ると直接その硬くなったものに触れた。
「っ…ぅああ…」
郁也は声にはならない声をあげ身体をのけ反らせた。こんなにも感じているなんて…。
散々奴らに弄ばれて、本当なら拒絶してもおかしくないはずなのに…。
オレはそのまま郁也の下半身を口で愛撫し始めた。
「くぅ…っん…」
仔犬が鳴くような声を出し感じる郁也の姿をオレは眺めながら彼自身を口に含み愛し続けた。
13名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 02:01:19 0
「あっ…ぅああ……!」
そう小さく叫ぶと郁也は果てた。
オレはうっすらと涙が滲む長い睫毛にキスをした。
郁也は何も言わずただ幸福そうな瞳でオレを見つめた。
オレは彼を腕に抱き、髪を何度も優しく撫で、かけがえのない宝を手に入れた至福に酔いしれた…。


『さて、コイツの兄貴になんて説明しよう…』
なんて考えながらオレたちは暫しの眠りについた。


   ―【終】―
14名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 02:06:28 0
シリーズものにつき続編あり
15名無しさん@ビンキー:2008/06/04(水) 21:13:26 0
なーんか晒されちゃったね
どんだけのむっつり姐さん来たんだろ
表向きにはキモイとかいいながらdtdtしながらロムってたらバロス(w
16名無しさん@ビンキー:2008/06/05(木) 04:22:56 0
【番外編】

Q.後関くんて何の仕事してるの?
A.後関くんは輸入玩具を扱っている商社に勤めています。入社3年にして企画営業部主任でございます。
スーツにメタルフレームの伊達めがね。「なんで目悪くないのにメガネ?」という郁也の疑問には
「賢く見えるから。」と答えておりました
口汚い少数派から海外の取引先の重役(ホモの外人のおっさん)と関係を持っているなどと噂されていますが…、
まあ、後関くんですからありえますorz
17名無しさん@ビンキー:2008/06/05(木) 04:28:18 0
【エピソード】
あるホテルのレストランにて海外の取引先の重役(外人・多分後関くんのヨミでは男色家)と商談中
商談も好感触で談笑していると…
重役さんが訊きました。
「Koichi, How do you think about homosexuality? In other words…,」
後関くんはだてメガネを外し、不敵に微笑み、ネクタイを緩めながら答えた。
「I'm more interested in how you treat me on the bed than such thing.」
重役さんはにっこり微笑むと言った。
「Ok, koichi. Isn't continuation of the talk done in my room? And don't you drink congratulatory
champagne of business discussion formation?」
後関くんもにっこり微笑みお礼を言った。
「thank you.」
18名無しさん@ビンキー:2008/06/05(木) 04:30:45 0
Q.郁也のお兄ちゃんの名前は?
A.戸田翔太。呑気でノンケな兄ちゃんです。
ちなみにガソリンスタンド勤務、役職なし、でも頑張ってかわいい彼女はゲット!
19名無しさん@ビンキー:2008/06/05(木) 04:32:00 0
【エピソード】
それはまだ郁也が後関くんに助けてもらう前のお話…。
初めて彼女を自宅に招いて浮き足立つ兄ちゃん。
一緒にアルバムを見ていたら彼女が郁也の小さい頃の写真を見て「可愛い!」と大絶賛。
自慢の可愛い弟をほめられ兄ちゃんは「じゃあ、あいつが帰ってきたら紹介するね!」と、有頂天。
そこへ郁也がダンスのレッスンから帰って来る。
20名無しさん@ビンキー:2008/06/05(木) 04:33:51 0
その日はもう最悪の日でした。
郁也が限界に達した日でした。
これ以上ない仕打ちを受けた日でした…。

郁也が家に入ると奥の部屋から楽しそうに女性と話すお兄ちゃんの声がしていました。
郁也は『自分はもう死んでしまおうと思っているのに兄は何も知らず女性といちゃついている』
そんな状況が辛くて、情けなくて…、でも、もう泣くことも、怒ることも出来ないくらい気持ちがどこか遠くへ
行こうとしていました。
21名無しさん@ビンキー:2008/06/05(木) 04:36:26 0
「おい!郁也!お兄ちゃんの彼女だ。北山さん。」もうデレデレの翔太…。
「北山です。」笑顔で挨拶する彼女。
でも郁也は聞こえないのかこちらを見もせず自分の部屋へ行こうとする。
「おい!挨拶ぐらいしろよ!」と郁也の腕を掴む翔太。
(翔太は郁也がただ単に反抗期で拗ねているだけだと思っているので)

腕を掴まれ振り返えった郁也の目は完全に据わり、今まで翔太が見たことの無い顔でこちらを睨みつけた。
翔太は驚き、それ以上何も言えなかった…。
22名無しさん@ビンキー:2008/06/05(木) 04:48:16 0
Q.後関くんには特定の恋人とかいないの?
A.いました。郁也の保護者(?)になるちょっと前に別れています。
名前は遼ちゃん。一緒に住んでたんです。でも、いつも冷静な後関くんになんとかやきもち焼いてもらいたくて
遼ちゃんはいつも一人であぶない綱渡り…、結局遼ちゃんは疲れてしまい、後関くんは呆れてしまい、
いいお友達でいようねってことになりました。時々後関くんちに現れます、残ってる私物取りに来るの。
ホントは後関くんに会えたらいいなって思ってくるんだけど。
遼ちゃんはねすごくかわいいよ。ちっちゃい郁也にもやきもち焼くし…
「何?このチビ。滉ちゃん(後関くんのことよ)いつから保育士になったの?」なんて真顔で言う。
23名無しさん@ビンキー:2008/06/05(木) 04:51:02 0
【エピソード】
ある日の早朝、後関くんは一人ダイニングでコーヒーを飲んでいた。
郁也はまだベッドの中…。
突然玄関のチャイムが鳴った。
『こんな朝早くに…?』後関くんは嫌な予感がした。
予感は的中した。
ドアを開けるとそこには遼ちゃんが立っていた。
「おはよう!ごめんね、こんな朝早くに。友達とドライブに行く途中なんだけど、急に聴きたいCDがあって、
ウチに取りに帰るよりこっちのほうが近かったから。……?ねえ、あげてくんないの?」
「ん?んん…。あ、い今お客さん来てるから…。」
「…ふ〜ん。…でも大丈夫だよ。リビングには行かないよ。CD、ベッドルームに置いてあるから。」
そういうと、遼ちゃんは後関くんの脇をすり抜けて、とっととベッドルームに入っていってしまった!
24作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 01:12:46 0
遼ちゃんがベッドルームに入ると、そこにはベッドでまるまってスヤスヤ眠る郁也の姿があった。
遼ちゃんはおもむろに掛け布団を剥ぎ取った。
裸のまま郁也は眠そうに目を開けた。
目の前に見知らぬ男が立っていたので、驚き、半泣きで後ずさった。
そこへ後関くんが慌てて部屋に入ってきた。
遼ちゃんは布団を持ち上げたまま後関くんに訊いた。
「何?このチビ。滉ちゃんいつから保育士になったの?」
後関くんは布団を取り上げ、急いで郁也にかけてあげると、布団ごと郁也を抱きしめ郁也に言った。
「大丈夫だ。オレの友達だから。怖くないから。」
涙目の郁也は後関くんを見上げ、コクコクと頷いた。
25作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 01:16:52 0
それから後関くんは遼ちゃんに
「コイツは翔太の弟で郁也って言うんだ。」
そう言ってから後関くんはどう説明すれば遼ちゃんが納得するか考え、口籠ってしまった。
遼ちゃんは後関くんの言葉を待たず、悲しそうな目で下唇を噛み締めたまま出て行ってしまった。
「あ!おい!CD…、ってそれどころじゃないか…。」
後関くんは溜め息を吐いて苦笑いした。
郁也は不思議そうに後関くんに訊いた。
「あのひと、どうしたの?」
「うん、…どうしたんだろうね…。」
後関くんは少し悲しそうに微笑み、郁也の頭を撫でながら言った。
26作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 01:41:25 0
今回は濃厚な濡場シーンはございません。
代わりに作者の突っ込みが入ります。ご了承下さい。


<郁也の兄ちゃんにカミングアウトの日>

やっぱり翔太に隠し事なんて出来ないと思う後関くん。ましてや奴の河合い…間違えた、可愛い弟…。
郁也とあんな事になって一週間。
今日は土曜日。郁也が遊びに来た。一週間お互い学校や仕事で会う事無くメールで過ごした。
大抵ほとんど郁也のメール…orz  郁也ちょっと不満!
いっぱい甘えたいのに後関くんたらずっとパソコンとにらめっこ。なんか海外の株式とか為替とか難しいコト言うから
郁也はもっと不満!
「後関く〜ん!チューしようよ〜!」なんて甘えても、「後関くん、チューしない。」ってこっちを見もしない…。
「なんでー!なんでー!チューしたい〜!チュー!チュー!」と床に寝転んで手足ジタバタする郁也。
『もう!うるさいなー!』と苛々しながら郁也のほうを頬杖ついて呆れ顔で見る後関くん。
「お前の場合、チューだけで終わらないだろ?」
「そんなことないもん!今日はチューだけで我慢する!」(今日は?)
しかたなく郁也に近づきキスする後関くん。
「ん…、う…ん…」なんて普段からは絶対想像できない色っぽい声と表情の郁也。
そんなことになったら、ほら、チューだけで終わらない。後関くんが。(!)
結局そのまま床に倒れこむ二人。

愛の営み中…(しばらくおまちください。)


-終了-
27作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 01:46:13 0
大満足の郁也。凹む後関くん。

今晩は泊まっていくと駄々を捏ねる郁也。仕方なく了承する後関くん。
お母さんに電話。
「今日、後関くんちに泊まっていい?おもしろいゲームがあるんだ。あともうちょっとで攻略できるんだ。
でももう遅いから泊まってく。後関くんもいいって!」
「もしもし、お母さん?こんなうるさくて近所迷惑なチビ、お預かりするのは誠に不本意ですが、これ以上
帰れといえば僕もこのマンションから出て行かなければならない事態になりそうですのでお預かりします。」
「ああ、もう、ほんとに、…ごめんね、後関くん。いつもいつも…兄弟であなたにお世話になりっぱなしで。」
『全くです。』(口に出して言えないけど^^)
28作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 01:49:40 0
風呂にはいるように郁也に言う後関くん。
風呂上り、せっかく後関くんが用意してくれたクマさんのパジャマは着ずに後関くん愛用のバスローブを
羽織って出てくる郁也。
「あっ!おまえ、人がせっかくかわいいパジャマ出してやってるのに!」
(え?つっこむのそこ?き、着せたかったの?クマさんのパジャマ…。後関くん…orz)
「いいじゃん。どうせすぐ脱ぐんだし。…っていうか脱がされるし。」とうれしそうな郁也。
「脱がねーよ!っていうか脱がさねーよ!」と赤面する後関くん。
29作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 01:53:20 0
結局バスローブ盗られちゃった後関くんはジャージで寝ることに。
もちろんベッドは一緒♪
察しの通り、郁也誘惑タ〜イム
あっさり負けちゃう後関くん。
本日2回目の…愛の営み。

そして心地好く眠りにつく郁也。おやうにと♪

そんな郁也が胸に張り付いたまま後関くんは考え中…。
『やっぱり明日、翔太に話そう。隠れてコソコソなんて性に合わないや。』
30作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 01:56:35 0
時を同じくして翔太んち。
遅番勤務だった翔太は深夜のお帰り。
お母さんが一人でテレビ見ながら待っていた。
「あれ、ひとり?郁也は?もう寝たの?」
「ああ、後関くんとこ。なんかおもしろいゲームしてて遅くなったから泊まるって。」
「へ〜、外泊なんて初めてじゃない?今頃後関に喰われてたりして…」
(喰われてます…!orz)
「ばかね、あんたと違って、後関くんは分別あるから。」

(作者:「後関くん、《分別》は?」 後関:「ありますよ!僕が来た道をたどって、後方百マイルほど行っていただくと、
苔むして転がっています!」 グ、グレアム…!)

「あのこ、後関くんと一緒だと元気いいのよね…」
「うん、中学入って急に反抗期来ちゃったからね。急に泣いたり、怒ったり。扱いにくいガキなのに
後関には愛想いいよな。…そういえば最近はずっと機嫌いいね。」
31作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 02:02:27 0
翌朝。
翔太に朝一メール「今日仕事?大事な話あるんだけどウチ来れない?」
翔太は今日も遅番だったから午前中はヒマだった。

お寝坊郁也は後関くんが朝ごはん出来たから起きなさいって起こしても起きやしない…。
仕方なく後関くんは一人で朝食をとり、食後のコーヒーを飲んでいたが、このまま寝かしていても
翔太が来てしまうのでとりあえずケツをひっぱたいて無理矢理起こした。
郁也は寝癖のついた髪で後関くんが夕べ着ていた白いジャージを素肌に着て(もちろん、前ははだけてますよ♪)
後関くんが作ったベーコンエッグとベーグルチーズサンドをほおばった。
「何か飲む?コーヒー?紅茶?それともココアか?」
「ミルク…」
『ミルク!やっぱ郁也は可愛いなあ』
つい、そう思ってしまった後関くんは郁也の髪をわしゃわしゃした。
「これ、全部後関くんが作ったの?」
「ああ、今度はおまえが料理覚えてオレに作ってくれ」
「ボク、料理作れるよ!前にチャーハン作ったことある!お兄ちゃんがうまいってほめてくれたよ!」
口いっぱいにほおばったまま喋るので
「口の中のモン飲み込んでから喋るように!」と後関くんが注意すると
「うん!」とまだ口いっぱいにほおばっているのにさらにベーグルサンドにかぶりつく郁也。
「だから!」と後関くんが呆れると、「うへへへ〜」と笑う郁也。
「うへへじゃないよ。」といいつつ後関くんも笑ってしまった。
32作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 02:08:30 0
その時、チャイムが鳴った。
「あれ、早いなアイツ。」
そう言いながら玄関に向かう後関くん。
『誰かな?お客さん?』
と不思議に思いながら食べ続ける郁也。
「いや〜仕事は午後からなんだけど、ランチをさあ彼女と約束してて…。おっ、郁也いま朝飯か?」
お兄ちゃんだ!
なんで?
なんにも聞いてないよ?
郁也は後関くんがお兄ちゃんが来ることを言ってくれてなかったから、ちょっと拗ねた。
33作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 02:17:50 0
「で、大事な話って何?」
「まあ、座れよ。コーヒーでいいか?」
とリビングのソファに翔太を座らせてコーヒーを入れ始める後関くん。
その間、郁也は『大事な話?』とドキドキしていた。
ダイニングテーブルに郁也を残し、翔太とリビングのソファに向かい合って座る後関くん。
「実は、おまえにきちんと話しておかなくちゃいけないことがあって…。郁也のことなんだ。」
その言葉を聞いた瞬間、郁也は口の中のもの全部飲み込んでリビングのほうに体を向けた。
「おまえさ、オレがゲイだって知っても付き合いをやめずにいてくれたじゃない?」
「ああ、そんなの人間性になんらカンケーねーもんな。」翔太は笑顔で答えた。
しばらく沈黙が続いた。
「オレが郁也を愛してるって言ったら…、おまえどうする?」
『愛してる!』
その言葉を聞いた郁也は体中が熱くなった。
後関くんがお兄ちゃんに自分たちの関係を話しているという状況も手伝って、郁也の心臓は爆発しそうだった。
34作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/07(土) 02:24:16 0
翔太はしばらく意味が分からず固まっていた。
「…それは、弟のようにという意味ではなく、ひとりの男としてという意味か?」
と、ゆっくり自分自身にも確認するように翔太は訊いた。
「…そうだ。」
後関くんはきちんと翔太の目を見て答えた。
「きさま…!郁也はまだ中学生なんだぞ!まだ、まだ子供なんだぞ!…あっ、おまえ…」
そう言うと翔太は立ち上がって郁也のほうを見た。
郁也は呆然とこっちを向いたまま立ち尽くしていた。胸がはだけたジャージ姿の郁也を見て、翔太は息をのんだ。
そして後関くんに怒鳴った。
「郁也に、郁也に何した?!え?!…おい!答えろよ!」
35作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/08(日) 00:44:58 0
その時だった。
「やめてよ!」そう言って郁也は後関くんの胸にしがみついた。
「ボクが誘ったんだ!後関くんは悪くないんだ!…後関くんはボクを救ってくれたんだ。
後関くんは悪くない。ボクはもう限界だったよ。もうダメだと思っていたよ。もう死んじゃおうって…。でも、でも、
後関くんが助けてくれたんだ。ボクが助けてって言ったらホントに助けてくれた。ずっと守ってくれるって…、ずっと
そばにいてくれるって…言ってくれたんだ。だから、…後関くんは悪くない!」
後関くんは何も言わず郁也の背中に手を回し子供をあやすようにぽんぽんと軽くたたいて微笑んだ。
翔太は郁也の必死さに驚き、我に返り、改めてソファに座ると落ち着いて訊いた。
「何があった?おまえ、何にも兄ちゃんには話してくれてないだろ?死にたいって…、何があったんだ。」
36作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/08(日) 00:48:06 0
郁也は答えなかった。
後関くんが代わりに答えてくれた。
「おまえやお母さんには心配かけたくなくて言えなかったんだ。コイツひとりで悩んで…、こんなに小さいのに…。
こんな子供が抱えきれる問題じゃなかった。…でも、もう終わったことだし、郁也自身が忘れたいと思っていることだ。
オレもこのことは誰にも言わないし、言うつもりもない。一生、郁也の分も含めてオレが背負っていくつもりだ。」
まっすぐに翔太のほうを向いて真剣に話す後関くんを見て翔太は事態がかなり深刻だったことや後関くんが生半可な気持ちで
郁也とのコトを自分に話したのではないと悟り、それ以上のことは訊かなかった。
「そうか…。郁也が中学入った頃から様子がおかしかったのはそのことも関係してるんだな。ごめんな…、お兄ちゃん
なんにも気付いてあげられなくて…。」
37作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/08(日) 00:52:06 0
そう翔太が話している間、後関くんは無意識のうちに胸に張り付いたままの郁也の髪を指先でくりくりいじっていた。
それに気付いた郁也はさっきまで泣きそうに俯いていたのに、ぱっと嬉しそうに後関くんを見上げた。
「ん?ああ、ごめんごめん。」
と髪をいじるのをやめ、頭をなでなでしてくれた。
またまた嬉しそうに後関くんの胸に張り付く郁也。
「…おい!実の兄貴の目の前でいちゃつくのはやめてくれないか?!郁也もいい加減離れろ。
それでなくてもまだこの状況を受け入れられずにいるってのに…。」
「…で、おまえらいつからなんだ?…その、…そういう関係っていうのかな…、つまり…」
「一週間前だ。ずっと隠してなんていたくなかったから。」
後関くんが答えた。
「そうか。それでここ最近郁也の機嫌が良かったんだな。表情まで変わって、まるで小さい頃のように無邪気に笑うから。
…よかったな、郁也。……まあ、複雑な気持ちだけど。お母さんにはバレないようにしろよ。じゃないと後関、刺されるぞ。」
「あ〜これからデートだってのに、勘弁してくれよな〜」
と言いながら翔太は帰っていった。

翔太にきちんと話すことができてよかったと満足する後関くん。
「愛してる」って後関くんが宣言してくれたと満足する郁也。

ふたりは嬉しそうに見つめ合って笑った。(お互い違うこと考えてるとも知らずに(w)

     【終】
38名無しさん@ビンキー:2008/06/08(日) 00:55:26 0
39作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/08(日) 01:01:56 0
〜遼ちゃん〜 その1

郁也は期末テストが終わり、やっとで後関くんとメールできる!(試験期間中は後関くんから試験勉強に専念するよーに
いわれていたので。)とさっきから何度も送信してるのに返事が返ってこない…。
思い切って電話してみるけど、留守電…。
さらに思い切って自宅に行ってみることに。でもやっぱり留守。『きっとお仕事いそがしいんだ。』
そう自分に言い聞かして玄関ドアの前で座って待つことにした。
日も陰り始めた頃、こっちに向かってくる足音が!『後関くんだ!』
でも、現れたのは遼ちゃんでした。
「あれ、なにしてんの?」
郁也は遼ちゃんと会うのは2度目でしたが、きちんとお話したことがなかったのでちょっと警戒しました。
「滉ちゃん待ってるの?」
ぶすっとして黙ってうなづく郁也。
「ふ〜ん…、中で待ってればいいのに…。」
と、玄関の鍵を開ける遼ちゃん。(!)
遼ちゃんが合鍵持ってることにびっくりな郁也。…でも、中には入らない。
「鍵、持ってないんだ…。ん?入れよ。」
「だって…、僕は鍵を持ってない。勝手に入っちゃうと後関くん嫌でしょ?だから…、ここで待ってる…。」
ちょっと困ったような泣きそうな顔で遼ちゃんを見上げ郁也は言った。
「…そうなんだ。」
ちょっと考えて遼ちゃんは玄関のドアを閉めた。
しばらくして再びドアが開き、遼ちゃんが言った。
「ねえ、やっぱり中入ってくんないかな?!じゃないと、滉ちゃん帰ってきた時、俺が君を締め出したと思われるでしょ?」
そう言われて郁也は仕方なく中へ入った。
40作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/08(日) 01:15:53 0
しばらく沈黙がつづく…。(遼ちゃんは全然気にしてない様子。鼻歌まじりに台所の片付けとかしてる。
郁也はなんか落ち着かない…。だって、知らない男の人とふたりっきりでいることがトラウマになってるから…。)

急に遼ちゃんが思い出したように郁也に訊く。
「ねえ、きみ、名前なんだっけ?」
「…郁也。」
「ふみやくんね。俺は塚本遼一。みんな遼ちゃんって呼ぶよ。(滉ちゃんはベッドの上では遼一って呼ぶけどね♪)
よろしくね。…あんまり気にすんなよ。部屋にあがったことぐらいで滉ちゃん怒んないって!
俺が未だに合鍵持ってても全然気にしてないんだから。」
にっこり微笑む遼ちゃんに少し警戒心を解いた郁也は訊いてみた。
「遼ちゃんは後関くんの恋人なの?」
ちょっと目を丸くして固まっていた遼ちゃんはゆっくり笑顔になると
「そうだよ…。」と、うなづいた。
それを聞いた郁也は泣きそうな顔になり目に涙を浮かべた。
遼ちゃんはあわてて言った。
「だった!だったの間違い!…恋人だったんだ。前はね。今はおともだち。ホントだよ。
…今は、…いまは郁也が恋人なんでしょ?」
郁也は正直わかんなかった…。『恋人なのかな…?』
41作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/08(日) 01:25:30 0
郁也は遼ちゃんに思い切って訊いてみた。以前から気になっていたことだけど、誰に訊いていいのかわかんなかったから…。
「恋人同士ってセックスするよね?遼ちゃんと後関くんてセックスしたことあるよね?」
『(!)なんてコトを真顔で訊いてくる子なんだ。』と遼ちゃんはあっけにとられた。
でも、郁也がすごく真面目に真剣に訊いているので遼ちゃんも真面目に答えた。
「そうだね…。してたよ、セックス。お互い好きで一緒にいたいと願って一つになる…。それが当たり前のことだと思うよ。」
しばらく郁也は遼ちゃんの言葉を反芻していたけど、やっぱり気になった。
「ひとつになるって、…口や手で愛し合うのとはちがう…よね?あの、あの…つまり、…繋がるってことだよね?」
郁也は恥ずかしいのを必死に堪えて訊いた。
遼ちゃんは不思議に思った。
「もしかして、“まだ”なの?」
郁也は顔を真っ赤にして怒ったようにうつむて答えなかった。
「…きっと、郁也がまだ小さいからだよ。大事にしてくれてるんだよ。やっぱり初めてって痛いし、怖いし…だから」
「初めてなんかじゃない!」
遼ちゃんの言葉をさえぎるように郁也は俯いたまま言った。
遼ちゃんは驚いて郁也を見ていたが、以前後関くんが言っていた言葉を思い出した。
42作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/08(日) 01:29:04 0
---遼ちゃんの回想シーン---
「遼ちゃん、郁也にもっとやさしくしてもらえないかな?…あいつ、いろいろあってさ。…オレ、あいつのこと
ずっと守ってやるって約束したんだよね。…だから、遼ちゃんが郁也に冷たいとオレがせつなくなる…。」
『いろいろって?』
訊いてもきっと滉ちゃんは教えてくれないって知ってるから訊かなかった。ただ、滉ちゃんが「ずっと守る」って言った
ってことはよっぽどやなことがあったってこと…。それだけは分かる。
43作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/08(日) 01:34:41 0
勘のいい遼ちゃんは郁也の「初めてなんかじゃない!」という言葉で彼の痛ましい過去が予想できた…。
「やっぱり滉ちゃんの優しさだよ。郁也のこと大事に思ってる。郁也が嫌がるんじゃないかって、怖がるんじゃないかって。
…だから大丈夫だよ。どーせ、滉ちゃんのことだ、いつまでも我慢できるもんじゃない。いづれ求めてくるさ。
そうじゃなかったら、郁也が求めたっていいんだよ…。本当に彼とひとつになりたいって願えば怖くなんかないんだ。」
遼ちゃんは郁也の傍らに座り、静かにやさしく教えてくれた。
その時、どこからか携帯電話の着信音が聞こえてきた。
遼ちゃんが立ち上がり手馴れたように携帯電話を戸棚から取り出した。そして言った。
「ねえ、郁也。滉ちゃん、出張中じゃないの?しかも海外。
滉ちゃんてば海外出張の時はプラベケータイは置いてくから。めんどくさいって。」
(!)郁也は思い出した。試験前に会った時、確か言ってた。
「オレ、今月末海外出張だから。連絡取れなくても心配すんなよ。」
----------orz

でも、この時以来郁也と遼ちゃんはなかよしさんになったとさ。

            【終】
44名無しさん@ビンキー:2008/06/09(月) 04:50:26 O
ここって誰かロムってるの?
淡々と話が進んでるけど書き込むのはKY?
それともただの自己満スレ?
45名無しさん@ビンキー:2008/06/10(火) 01:07:45 0
いるよ
46名無しさん@ビンキー:2008/06/10(火) 02:00:48 O
じゃあ姐さんと自分だけか
この作者は海老氏担姐さんなのか脳
エロ(not描写は最初のだけで普通に海老氏腐小説だね
自分結構スチだ(w
47名無しさん@ビンキー:2008/06/10(火) 02:32:43 O
自分もロムってるよノシ
48名無しさん@ビンキー:2008/06/10(火) 02:53:00 O
自分もノシ
49名無しさん@ビンキー:2008/06/10(火) 11:41:10 O
50作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/10(火) 20:20:41 0
これからのお話は後半に濃厚な性描写がございます。
苦手な方はご注意ください。


〜その後の二人〜

月日は流れて郁也もこの春高校を卒業という頃のお話から始まります。
この3年間とても平和に時間が流れました。(後関くんが戸田家にごはんを食べに来る時だけは郁也の心中は
決して平和と呼べるものではなかったみたいですが…^^;)
後関くんは昔から月に2〜3回のペースで戸田家でお母さんの手料理を食べていました。
それは二人の関係が変わっても変わらず続いていました。
ですから、後関くんがおうちに来ると郁也は嬉しくてつい、以前にも増してはしゃいでしまうのですが、
そうするとお兄ちゃんが凄い勢いで睨むのです…(お母さんにバレルだろ!)…orz
でも、我慢すると、切なくて、泣きそうになって、今度はお母さんが「どうしたの?」って心配する始末…。
そんな中、後関くんは相変わらずポーカーフェイスでお母さんと愛想笑いを交えつつ世間話とか平気でするもんだから
郁也はなおさら切なくなるのでした。
51作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/10(火) 20:25:07 0
そんな郁也も高校卒業を控え、辛いことも乗り越え6年間続けたダンスを職業とすることを選び、
プロのダンサーとしてマネージメント事務所との契約も取り付け、あとは卒業式を待つのみというある日、事件は起こりました。

「おれ、結婚することにした。」
お母さんと郁也に突然言い出す翔太25歳。
翔太には以前からお付き合いしている彼女がいて、その彼女が孕んでしまい、この度めでたく結婚を決めたという話らしい。
でも、想定外の結婚なので蓄えもなく秋には赤ん坊も生まれるという始末…。
と、いうことで是非、お二人に了承を得て実家に同居させて欲しいと言い出した。(!)
「そんな急に言っても、うちは狭いし、郁也だって年頃の男の子なのに…同居なんて…。」と、お母さん。
「オレ、やだからね。お兄ちゃんの嫁さんと一緒に暮らすなんて。」と、若い女性と暮らしたことの無い郁也は嫌悪感を顕にした。
しばらく思案顔の翔太は急に明るい顔になり、嬉しそうに言った。
52作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/10(火) 20:29:40 0
「郁也、おまえ、後関んちに住め。あいつ一人暮らしだし、結構あいつんち広いし、一人で飯食うのとか寂しいって言ってたし。
どうせおまえ、しょっちゅう後関んちに入り浸ってるし、ちょうどいいだろ。あいつんちなら敷金礼金、家賃もタダだ。」
『(!)お兄ちゃん、何急に言い出すんだ?!』郁也は焦った。
「ちょっと、何言ってるの!そんなの後関くんが迷惑でしょ!いやよ、もうこれ以上。後関くんに申し訳ないわ。」
お母さんは溜め息をつきながら呆れて言った。
けれど、翔太は乗り気でひとりでウキウキしながら「大丈夫、大丈夫!おれが後関に話すから!よし!決まりだ。」
と勝手に話を終わらせてしまった…。
後関くんはと言うと、その話を聞いて、「別に郁也がうちに来るのは構わないが、お母さんが気の毒だ」とお母さんを気遣った。
そんなこんなで結局無事高校を卒業した郁也は後関くんちに引っ越すことに。
53作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/10(火) 20:33:23 0
引越しの日。
後関くんがレンタカーで軽トラ借りてお迎えに来てくれた。
荷物も運び出し、出発の時。お母さんと翔太がお見送り。
お母さんは目を潤ませ、今にも泣きそうな声で言った。
「郁也、いつでも帰って来ていいのよ。ここはあなたの家なんだから。
…何だか娘をお嫁に出す心境ね。
後関くん…、郁也をお願いね。この子は甘やかして育ててしまったから我侭で迷惑かけることもあると思うけど…、
本当はすごくいい子なのよ。」
「ええ、わかってます。ちゃんとわかってます。大丈夫ですよ、お母さん。また、今度郁也くんと一緒にご飯食べに来ます。
いいでしょ?お母さんのご飯、ぼく、大好きなんです。」
後関くんは精一杯の気持ちでお母さんに応えた。
お母さんはとうとう泣き出してしまい、ただただうなづいていた。
郁也はもう既に何も言わず泣いていた。
54作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/10(火) 20:37:21 0
二人が乗った軽トラを見送りながら翔太が言った。
「…大袈裟だな、電車で駅3個分の距離じゃないか。…それにしても、お母さん、気付いてたんだね…二人のこと。」
「当たり前でしょ、母親だもの。…あの子、すぐ顔に出るから…。
あの子の後関くんを見る目、今にも泣き出しそうな切ない目で…。女の子に産んであげたかったわ…。」
「んふ、女の子だったら、後関が相手にしないよー。」
「あら、郁也だったら女の子に産まれてもすごくかわいいから、後関くんだってほっとかないわよ。
現に後関くんたら、あんたより郁也を選んだわけでしょ?」
「なんだよそれー!いいんだよおれは。かわいい嫁さんもらうから^^。」
55作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/10(火) 20:49:02 0
一方、車内の二人は…。
「お母さん、おれ達のこと気付いてるみたいだったな…。お嫁に出す心境か…。
それじゃあ今夜は差し詰め、新婚初夜だな!はは…!」
そう言って後関くんは郁也のほうを見た。
後関くんは軽いジョークのつもりで言ったのに、…のに!
真っ赤な顔でうつむき恥らう郁也!  …ちょっと河合、間違えた!可愛かった///


そして…、ふたりの生活も当たり前になってきた1年後のある日、またまた事件は起きた。
56作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/11(水) 02:34:51 0
それは後関くんが自宅で一人夕食後のコーヒーを飲みながら寛いでいる時だった。
遅めに帰宅してきた郁也はリビングに入ってくるなりこう言った。
「ねえ、ビジネスって割り切ってするセックスって、どんな感じ?」
後関くんは突然の話題に飲んでいるコーヒーを噴出してしまった…。
「ゲホ…、ゴホ…、……んん、それって…遠回しの嫌味…?」
後関くんは恐る恐る窺うように郁也に訊いた。
「違う。ただ、後関くんはどんな感じに処理してるのかなって…。」
郁也はちょっと困ったような恥ずかしいような顔で視線を合わせずに言った。
「だいたい、誰に聞いたんだ。そんなこと。」
「遼ちゃん…。」
「あいつ…。」
「でも、聞いたの最近だよ。大人になってからだよ。昔みたいに聞き分けの悪い子供じゃないんだ。
ちゃんと理解出来たつもりだよ。やきもちなんて妬かないよ。だって、そこに愛はないんだもの。
ビジネスだもの。わかってる。…でも、どうやったら当人は割り切れるんだろうって…。」
「おまえはそんなこと気にしなくていい。そんなの個人差あるし、割り切れないヤツだっているだろうし…、
たまたまオレは割り切れる人種だったってだけ。」
57作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/11(水) 02:39:50 0
「……。」
郁也は黙ったままうつむていた。
「なにかあった?」
後関くんは郁也が何か言いたげなのを察して訊いてみた。
「後関くん…。セックスしようよ。」
郁也はまだ視線を逸らせたまま言った後、ちらっと後関くんのほうを見た。
しばらく後関くんは固まったまま郁也を見ていた。
段々郁也が涙目になるのを確認してから、笑うのを必死に堪え、努めて冷静に訊いてみた。
「どうした?いつものおねだりだとオレが相手にしないとでも思ったのか?それとも急に欲情したか?」
けれど郁也は笑わずにうつむいて首を振った。
後関くんは溜め息をついて、郁也に歩み寄り、郁也を抱きしめると言った。
「どうしたんだ?オレはビジネスと割り切って他の男と寝るようなヤツだけど、
決しておまえのこといい加減に扱ったことも無いし、いい加減な気持ちで抱いたことも無いぞ。」
58作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/11(水) 02:53:05 0
郁也は力なく後関くんに体を預けていたが、体を震わせ泣きながら話し始めた。
「後関くんは滝川くんを知ってるよね?」
滝川とは、郁也の事務所の先輩で、ブロードウェイの舞台にも何度も立っている有名ダンサーだった。
現在はアメリカ在住で時折凱旋公演で帰国すると事務所の後輩をつれて食事に出かけたり、
後輩の舞台を見てはアドバイスをしたり、時にはマスコミに売り込んでくれたりと、とにかく面倒見のいい先輩だった。
郁也は特に気に入られているのか、食事には必ず誘ってもらえるし、舞台も何度も見に来て貰っていた。
当然郁也にとって憧れの先輩だったし、後関くんにもしょっちゅう滝川のことを話していた。
「ああ、例の郁也の憧れの先輩ね。」
「…うん、今日、滝川くんから呼ばれて…、明日、食事に誘われたんだ。でも、…でも、明日は二人っきりでの
 食事で…、つまり、今後の仕事の話を二人っきりでしようって…。…朝まで。……オレ、意味わかんなくって…」
郁也は泣きながらポツリポツリと話し始めた。
59作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/11(水) 02:59:11 0
意味の分からない郁也に滝川は言った。
「これはビジネスなんだよ。何も考えることは無い。君が成功したいと願うなら、僕の言うことを聞いていればいいだけの話さ。
 君はチャンスを掴んだんだ。」
郁也はやはり理解出来ず、思わず言った。
「オ、オレには恋人がいます!」
「僕にもステディな人はいるよ。けれど、どうだろう?毎日アップルパイを食べ続ければ、
 たまにはチェリーパイを食べたいと思わないかい?勝者にだけ許された贅沢だよ。
 …僕もこの世界に入ったばかりの頃は理解出来なかったよ…。
 ただ、必死で上へ駆け上がろうとしてた。そのためなら利用できるものはなんでも利用した。自分の体さえも…。
 いま僕は欲しいものは全て手に入れた。全てはビジネスと割り切って生きてきたからね…。
 郁也、君にはすばらしい才能があるんだよ。君を世界に紹介したい。君と一緒に舞台に立ちたい。
 そのためにも君の事をもっと深く知りたいんだ。どうだろう?」
60作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/11(水) 03:03:23 0
郁也は困ってしまった。
こんな時後関くんなら笑顔で承諾するんだろうか?ビジネスと割り切ってするセックス…。
郁也が考えあぐねていると滝川は少しイラついたように言った。
「決めるのは君だ。今度の記者会見には君を同席させることも考えている。
 この誘いを断るコトによってその席に違う子が座ることになるかもな。君が決めるんだ。」
郁也はそこまで言われ決断した。
「明日、ご一緒させていただきます…。」
郁也は以前、遼ちゃんから聞いた後関くんの商談成立の方法を思い出していた。
『これはビジネスなんだ。裏切りじゃない。後関くんが普段やってることなんだ。』と言い聞かした。
61作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/11(水) 03:05:44 0
帰り着くまでの間、郁也はずっと呪文のように繰り返した。
『これはビジネスなんだ。』
けれど、郁也にはひとつ、どうしても乗り越えなければならない大事な課題があった。
62作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/14(土) 04:08:57 0
「後関くん…、オレ、明日行くよ。もう子供じゃないから。きちんとビジネスとして割り切れるよ。
 でも…、だから、お願い、セックスしようよ…。オレ…オレまだ後関くんときちんと愛し合ったことない…。」
(…?)後関くんは郁也が何を言っているのか初め分からなかった。
「後関くんと繋がりたいんだ。…後関くんとひとつになりたい。オレ、怖くないから…。
 もう大丈夫だから…。嫌なんだ、もう。好きな人ときちんと愛し合ったこと無いまま好きでもないヤツを受け入れるの…。
 遼ちゃんが言ってたよ。『お互いが好きで一緒いたいと願ってひとつになる。』
 …オレ、後関くんとひとつになりたい!」
そう言うと郁也は子供のように泣きじゃくり始めた。
後関くんはやっと郁也が言っている意味が分かり、深い傷を抱えた郁也がここまで真剣に自分を受け入れることを
大事に思い続けていてくれたんだと知り、胸が熱くなった。
けれど…、同時に郁也が自分以外の男と寝ることを自ら選んだ事実に戸惑いを覚えたのも確かだった…。
63作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/14(土) 04:10:24 0
「もう泣くな。」
「うん…。」
「ちゃんと抱いてやるから。」
「うん…。」
「痛くないようにするから。」
「うん…。」
「やさしくするから。」
「うん…。」
「今までと違うスペシャルコースだぞ。」
「うん…。」
「今日は特別だぞ。」
「うん…。」
「だからもう泣くな。」
「うん…。」
64作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/14(土) 04:13:37 0
後関くんは郁也をベッドルームに連れて行き、服を脱がすとベッドに寝かせ、やさしくキスした。
そのキスは段々激しくなり郁也の口中を愛撫するかのように舌を絡めてきた。
そして、その舌は郁也の口だけではなく体中を愛撫し始めた。
郁也の首筋、乳首、肩先、背中、太腿、郁也自身…と、今までになくゆっくり念入りに焦らすように行われた。
後関くんの舌先が郁也を刺激するたび郁也の体はピクンッピクンッと反応した。
今まで経験したことの無い波打つような快感が郁也を襲った。
65名無しさん@ビンキー:2008/06/16(月) 23:58:38 0
続きいつですか?
66名無しさん@ビンキー:2008/06/19(木) 00:33:12 0
誕生日もスルーしてるよね
作者とやらは何がしたい人なんだろうか
67名無しさん@ビンキー:2008/06/19(木) 03:33:35 0
強制してやらせるものではないし、
数日あいただけでそんなに言わなくてもいいのでは
68作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/19(木) 20:44:54 0
>>65
>>64を書いた直後に某所に晒されていたので自重しました。

>>66
誕生日は自分も誕生日だったので合同で盛大にお祝いしましたよ。
ここは関係ない。

>>67
d!
69作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/19(木) 21:05:50 0
「うはっ…ああ…あ!」
その間、後関くんの指先は郁也の硬くなった郁也自身、そしてその後ろへと伸びて行き、やさしく愛撫し続けていた。
そうして後関くんは郁也の硬くなったものを口に含み舌を絡ませ、指先を郁也のすみれ色の蕾に押し当てた。
やさしく襞を押し開き指先が中へと入っていくと郁也は
「うあ!はう…」と緊張と快感が入り混じったような表情で声を上げた。
後関くんはそのまま指を奥まで入れるとゆっくり動かした。
その度に郁也は「うう、はうう…」と声を漏らし、不安と快感に顔を歪めた。
後関くんは口に含んだ郁也のモノを愛撫し続けると郁也が果てるのを待った。
「あ!あ!…うああっ…くっ!」
ほどなく郁也は後関くんの念入りな愛撫に耐えかね果てた。
郁也は今まで経験したことのない焦らすような念入りな愛撫に頭の中が真っ白になり、
絶頂に達した後も体中が敏感になっていることを感じながらぐったりとしていた。
70作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/19(木) 21:12:41 0
しかし、後関くんはそんな放心状態の郁也の体を休ませる事無く、
今度はうつぶせに寝かせるとその上に覆いかぶさるように自分の体を重ね、
片手で郁也のたった今絶頂に達し敏感になっているモノを再び刺激し始めた。
郁也の体がビクビクッと震えた。
「うあ!ああ!やだ、やめて…ああ…」
郁也は力なく叫んだが後関くんは構わず続けた。
そして、郁也の耳に顔を近づけ郁也の耳朶を軽く噛み、そのまま舌先で郁也の耳をやさしく愛撫し始めた。
後関くんの荒い息遣いを耳元で感じ郁也は再び興奮し始めていた。
握った郁也のモノが段々硬くなっていくのを確認すると後関くんは郁也の耳元で囁いた。
「郁也…、愛してるよ。」
71作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/19(木) 21:18:29 0
今まで幾度となく体を重ねてきた二人でも後関くんから「愛してる」と言う言葉をかけられたことが無かった
郁也はその一言で体中を熱くさせた。
「愛してる、愛してるよ…」
繰り返し囁きながら後関くんはゆっくりと郁也の中へ入ってきた.
「ああ!あ…」郁也は声を上げ、閉じた瞳から涙が零れ落ちた。
その涙は、不安からのものなのか、繋がった喜びからのものなのか郁也自身も分からなかった。
後関くんは深く自分自身を郁也の中に埋めるとそのまま動かず、郁也の顔を自分のほうに向けキスをした。
しばらく舌を絡めあった後、後関くんはゆっくりと腰を動かし始めた。
片手では郁也のモノを刺激しながら再び耳元で囁き始めた。
「郁也…郁也…、愛してる。愛してるよ、郁也…」
72作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/19(木) 21:25:59 0
後関くんは決して激しく腰を動かさず、ゆっくりやさしく郁也を愛した。
そして耳元で囁き続けた。
「…ちくしょう、おまえはオレのモンだ。おまえはオレのコトだけ考えてろ…。
誰に抱かれようとオレのコトだけ考えてろ!
今夜のことを忘れるな。おまえを愛してる…。アイツの腕の中でもオレのコトを考えてるんだ!
いいな!…ちくしょう!ちくしょう!」
後関くんは何度も繰り返し郁也の耳元で囁き続けた。
郁也はいつも冷静な後関くんからこんなふうに言われ、後関くんの甘い腰使いも手伝って
嬉しさと快感で気が遠くなっていった。
ただただ「うん…、うん…」と答えるので精一杯だった。
やがて郁也のモノを握った腕の動きが早くなり、郁也が絶頂に達しようとした時、後関くんもまた
「ああ!郁也…!郁也!」と郁也の名前を呼び腰を激しく突き上げ、…二人は同時に果てた。
73作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/19(木) 21:31:44 0
翌日、郁也は滝川の待つホテルへと向かった。
出かける際、郁也は緊張のせいか靴紐がうまく結べず、見かねた後関くんが結んでくれた。
そして結び終えると後関くんは郁也にこう言った。
「いいか、これからおまえは仕事に行くんだ。商談は戦いだ。相手に弱みを絶対に見せるな。
何があっても余裕の表情で臨め。付け込まれるな。…辛くなったらオレのことを思い出せ。
いいな?」
郁也はもう既に泣きはじめていた。
「ばか!今から泣いててどうする!おまえが自分で決めたことだろう?オレがついてる!
自信を持って戦って来い!」
「うん…、わかってる…。いってくるね…。…後関くん、ごめんね。オレ…、オレ…」
郁也の言葉をさえぎるように後関くんは郁也の頭に手を置いて言った。
「オレのことは気にすんな。今夜は寂しくなったら他のヤツでも抱いて寝るさ。」
ちょっとおどけて後関くんは笑った。
郁也は「ごめんね。」とくりかえし、家を後にした。
74作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/06/21(土) 23:59:39 0
また某所に晒されました。
何がしたいのか…。
自分は別に構わないけど気味が悪いのでしばらく続きは書きません。
一緒に画像が貼ってあったので誰担かはだいたい解るがこことは関係ないのであしからず。
75作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/01(火) 19:27:05 0
その夜、後関くんは生まれて初めてやり場のないほどの嫉妬心に襲われた。
それを紛らわすためウォッカを一瓶呷ると早々に眠りに就いた。
76作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/01(火) 19:29:49 0
翌朝、後関くんの枕元に突っ伏して泣く郁也の姿があった。
気配を感じて後関くんは目が覚めた。
そして横になったまま郁也の頭に手を伸ばし黙って撫でてやった。
「うう…。後関くん、オレ、頑張ったよ…。ずっと後関くんのこと考えてた。何があっても、何されても、
ずっと後関くんのこと考えてた。後関くんのキス、後関くんの腕、後関くんの声…。
だから最後まで泣かなかった。負けなかった。
…でもね、もう、やだ。
オレ、やだ。こんなこと。…こんなことまでして成功したいって思わない!…もうやなんだ。
だから、もうこれっきりにする…。もうしないよ…。」
そう言って郁也はまた泣きじゃくった。
77作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/01(火) 19:32:17 0
「うん…。わかった。分かったからもう泣くな。」
後関くんは頭を撫で続けながら言った。
郁也はまだしゃくりあげながら声を震わせ訊いてきた。
「ご、後関くん…、うっ…ひっく…夕べ、だ、誰と寝たの?うっうっ…、寂しくなったら他のヤツと寝るって…」
「ああ、これか?」
そう言って後関くんはウォッカの瓶をベッドの脇から取り出した。
それを見た郁也は安心感で再び声を上げて泣き出した。
「だから!もう泣くなって!な?」
「うう…、うっ、後関くん…、お酒臭い…。うっう…。」
後関くんは溜め息をつくとしばらく考えてベッドから起き上がった。
78作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/01(火) 19:34:21 0
まだ泣いている郁也を宥めるように後関くんは言った。
「よし!一緒にお風呂に入ろう。な?」
「…うん。」(まだ泣いてる。)
「オレがきれいに体洗ってやるから。」
「うん…。」(少し泣き止んだ。)
「全身きれいに洗って忘れような。」
「うん…。お風呂のあと、スペシャルコースも…。」(少し笑った。)
「おう、スペシャルでも、デラックスでも、何でもやってやるから!」
「うん!」(すごく嬉しそうに笑った!)
転んでもタダでは起き上がらない郁也だった…orz

二人は笑いながらバスルームへと向かった。




           【終】
79作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/01(火) 19:36:48 0
〜知らなかったこと。〜 遼ちゃん その2

最近、後関くんの帰りが遅い。
課長になったとかで仕事が忙しいらしい。
夜中に帰って来るし、すぐ寝ちゃうし、休日出勤もしばしば…。
プロのダンサーとして舞台に立っている郁也もそこそこ忙しい日々を送っていたけど
やっぱり一緒に住んでるのになかなか、お話したり、ご飯食べたり、キスしたり…etc
出来ないのは…辛い!
と、郁也は思うのでした。
80作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/01(火) 19:37:55 0
あんまり寂しいので郁也は遼ちゃんに愚痴メールを送りました。
遼ちゃんは今フリーなので快く郁也と遊んでくれました。
そんな日々が続いたある日のことから始まります。
81作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/04(金) 14:42:08 0
めずらしく帰宅が早かった後関くん。
でも、おうちの中は真っ暗。
『あれ?郁也のヤツ、まだ帰ってきてないんだ…。』
深夜、漸く帰宅した郁也。
「あれ?後関くん…、もう帰ってたんだ…。」
「ああ、おまえこそいつもこんなに遅いのか?」
「ん?あ、いや、いつもはそうでもないんだけどさ、今日はちょっと稽古が遅くなっちゃって…。
電車なくなっちゃって、遼ちゃんに車で送ってもらったんだ。ついでにご飯ごちそうになっちゃった。」
「え?遼ちゃん、車の免許取ったの?」
「うん。最近ね。車も新車買ったんだよ!真っ赤なジャガーXK コンバーチブル!
すごいね!フードコーディネーターって儲かるんだね!」
「はは…。知らなかったのか?フードコーディネーターってのは体のいい肩書きで、あいつ実は、
大手外食産業TUKAMOTOグループの御曹司なんだぜ。
それにしても、真っ赤なジャガーのコンバーチブルね…。派手だなぁ…。あいつらしいけど。」
「…遼ちゃんってすごい人だったんだね…。
それでいろんなおいしいお店知ってたんだ…。全部顔パスだし…。」
「いろんなお店って?」
「え?!あ、ああ、最近結構いろいろと遼ちゃんにお世話になっちゃてて…。
後関くん、最近忙しくて遊んでくれないから…。」
「ふ〜ん…。」
後関くんはそれ以上何も訊かず、疲れているのかすぐに寝てしまった。
82作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/04(金) 14:45:05 0
それから何日か過ぎたある夜のこと…。
郁也は今日も遼ちゃんが車で迎えに来てくれるのを稽古場の前で待っていた。
道路は渋滞し、ちょっと苛々しながら遼ちゃんは郁也の稽古場に向かっていた。
後もう少しで到着するという所まで来た遼ちゃんは遠く前方の反対車線側の歩道に立っている
郁也を見つけた。
83作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/04(金) 14:48:26 0
その時だった。
郁也の前に白いワゴン車が止まった。
窓が開き、見覚えのある顔がにやりと笑った…。
「やあ、久しぶりだね。僕の可愛い仔犬ちゃん。」
郁也は心臓が止まるかと思った。『アイツだ!』
そう、忘れもしない、あのダンス教師だった。
後部座席から一人の男が降りてきて郁也の背後に立った。
郁也は背中にナイフのようなものが突きつけられているのが分かった。
「乗りな…。」
男はそう言うと「くくっ…」と笑った。
ダンス教師も車内にいた数人の男たちも皆一様に笑っていた。
郁也の体は硬直し、無理矢理押し込まれるように車に乗せられると、
今度は震えが止まらなくなっていた。
84作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/07(月) 21:02:12 0
その様子を見ていた遼ちゃんは不思議に思い、郁也の携帯にかけてみたが繋がらなかった。
嫌な予感がした…。
すぐにワゴン車の後をつけようとしたけど、渋滞のせいで身動きが取れなかった。
漸く渋滞を抜け、とにかくワゴン車が向かった方角を探しまくった。
その間、遼ちゃんはずっと後関くんの携帯に連絡していたが全く繋がらなかった…。
「ちくしょう!何やってんだ!滉ちゃんは!」
遼ちゃんは焦った。もう郁也を見失ってから2時間ちかくになる。
『どこだ?どこにいる?郁也!郁也…!』
そのとき、遼ちゃんの目の前を例の白いワゴン車が通り過ぎた。
はっきりと車内が見えたがそこに郁也の姿はなく、男たちが大きな口をあけて笑い合っているのが見えた。
遼ちゃんは急いでワゴン車が出てきた方向へ向かった。
85作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/07(月) 21:04:56 0
そこは古い工場跡地だった。

〜2時間前〜
工場内に連れ込まれた郁也は5〜6人の男たちに散々殴る蹴るの暴行を加えられた。
そして、地面に倒れこむ郁也の髪を掴み顔を引き上げると、例のダンス教師は言った。
「ごめんよ、郁也。痛かっただろ。お前が俺を裏切るからだよ…。
せっかく人が気持ちいいこと沢山教えてあげたのに、あんな盗人野郎に尻尾振って懐きやがって!
俺が調教してやった恩も忘れて、今じゃアイツとよろしくやってるらしいな。
まあいいさ、これからたっぷり俺たちの体を思い出してもらおうじゃないか。くくく…。」
86作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/07(月) 21:07:46 0
そのまま男は自分のズボンのファスナーを下ろすと、掴んだ郁也の頭を引き寄せ言った。
「ほらっ!昔みたいに咥えて見せろよ。少しは上手くなったのか?ん?」
そう言って「ひゃっひゃっひゃー!」と声高く笑った。
郁也は体を震わせ、ゆっくりと目を閉じた。
閉じた瞳からは涙が溢れた。
すっかり当時の恐怖に引き戻されてしまった郁也は奴らの言われるがままに従った…。
そして…男たちから惨い陵辱を受けながら心を遠くへと飛ばしていた。
87作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/07(月) 21:09:53 0

『後関くん…。』

『すべて終わったら、…終わったら、後関くんちに帰るんだ。
 ボクは帰るんだ。
 ジャズが静かに流れて、コーヒーの香りが漂うリビングで後関くんが迎えてくれる。
 「おかえり」って笑って、優しく抱きしめて髪を撫でてくれるよ。』

『………後関くん………!』
88作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/07(月) 21:12:24 0
車を止め、中へ入ると、暗闇の中ぐったりと倒れている郁也がいた…。
服はズタズタに引き裂かれ、体中アザだらけで、口からも血が流れていた。
一目でここで何があったのか、郁也がどんな目に合わされたのか、遼ちゃんには予測できた…。
「郁也!大丈夫か?!」遼ちゃんは自分のコートを郁也にかけて抱き起こした。
幸い、郁也の意識はあった。
89作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/07(月) 21:18:26 0
「…りょ、遼ちゃん、…笑わないで。オレ、…オレ震えが止まらないんだ…。」
確かに郁也の体は仔犬のように小さく震えていた。
「ばか!笑うわけ無いだろ!誰にやられたんだ?!知ってるやつか?!」
「…昔の知り合い。」
それ以上郁也は答えなかった。
「とにかく、病院にいこう!」
「ごめん…。オレ、まだ動けないや…。
遼ちゃん、もう少しだけ…、もう少しだけ遼ちゃんの腕に甘えててもいいかな…?」
「…ああ、いいよ。……ごめんな、…俺じゃなくて本当は滉ちゃんのほうが良かったのにな…。
滉ちゃん、何度電話しても繋がらないんだ。」
そう言って遼ちゃんは郁也を抱きしめた。
90作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/14(月) 03:08:41 0
その頃、後関くんは仕事で郁也の稽古場の近くまで来たので、車だったこともあってそのまま
郁也と一緒に帰ろうと稽古場に郁也を迎えに行った。
しかし郁也はいなかった。
稽古場のスタッフの話では2時間以上前に友人が迎えに来るからと言って帰っていったと言うのだ。
『ああ、遼ちゃんか…。先越されちゃったな。』
ちょっと寂しく思いながらも後関くんは一応郁也の携帯に電話をかけてみた。
繋がらない…。
とりあえず自宅に向かいながら後関くんは自宅の電話にもかけてみた。
何度コールしても出ない。
91作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/14(月) 03:12:32 0
しかたなく遼ちゃんの携帯に電話しようとした時だった。
道路わきに止まっている赤いコンバーチブルが目に留まった。
『遼ちゃん?』
後関くんは不審に思い、車を止め、奥の工場跡地に入っていった。
暗闇の中、人の気配がした。
そこにはぼろぼろの少年を抱きしめる遼ちゃんの姿があった。
「遼ちゃん…?」
その声にはっとして振り返る遼ちゃん…。
後関くんの目に傷付いた郁也を抱きしめる遼ちゃんが映った。
一瞬後関くんは自分の目を疑った。
「郁也?……郁也!」
後関くんは一体何が起こったのか分からなかった。
92作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/14(月) 03:16:43 0
そして気付けば叫んでいた。
「…遼一!郁也から離れろ!!貴様!郁也に、…郁也に何した!?」
郁也はすぐに否定しようとした。
「ご、後関くん!ちがっ…」
それを遮るように遼ちゃんが叫んだ。
「嫌だ!…なんだよ、滉ちゃん。今更現れてさ…。郁也がこんな目に遭ってるってのに…。
電話にも出やしない!…『ずっと守る』?笑わせんなよ!郁也が、郁也がどんな思いで
滉ちゃんのコト待っていたか!
……郁也は、…郁也は俺が貰うよ!もう滉ちゃんには任せておけない!」
後関くんも郁也もこんなに怖いくらい真剣な顔をした遼ちゃんを見たことが無かった。
93作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/14(月) 03:20:07 0
「…何があった?」
我に返った後関くんはうろたえながら訊いた。
「アイツだよ…。」
郁也は震える声で話し始めた。
「後関くん…。アイツが戻ってきたんだ。忘れようと思っても忘れるコトなんて出来なかったアイツが…。
この世界で喰ってくことを決めた時から、いつかアイツの目にもオレの名前が触れることがあるだろうとは思っていたけど…。
まさかこんな形で再会するなんて…。」
そこまで聞いて後関くんはそれが例のダンス教師のことだと分かった。
「アイツ、当時の仲間集めてきやがった。全員知った顔だったよ…。忘れるもんか…。
でもオレ…、情けないけど、あいつらの顔見た途端…当時のオレに戻っちゃって…。
なんにも抵抗できなかった…。ただ体が震えて…、コトが終わるのをじっと待ってた…。
ごめん後関くん、オレ、強くなったつもりだったのに…。アイツ等の言いなりになってた…。
怖かったんだ…。ごめん。……ごめんなさい!」
そう言って郁也は震えながら涙を零した。
94作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/14(月) 03:25:35 0
後関くんは愕然とした。
『ずっと守ってやる』そう誓ったはずだった…。
遼ちゃんの言葉も郁也の涙も後関くんの胸に酷く突き刺さった。
「うああぁ…!」
そう叫ぶと後関くんは地面に泣き崩れた。
いつも冷静な後関くんのそんな姿を見るのはは郁也も遼ちゃんも初めてだった。
肩を震わせうなだれる後関くんに郁也は足を引きずりながら近づいていった。
そして静かに微笑みながら言った。
「後関くん、オレね、嬉しかったんだ…。
アイツ等現れて、オレ、怖くて、…もうボロボロでさ、独りで震えてたら…遼ちゃん来てくれて…
すごく嬉しかった…。遼ちゃん、ずっと後関くんに連絡取ろうとしてくれてたんだよ。
遼ちゃん来てくれただけでも嬉しかったのに…そしたら今度は後関くんが現れた。
オレ、オレって幸せだなって…。
後関くん、来てくれてありがとう。」
後関くんはそれを聞いて、泣きながら「郁也!」と郁也を抱きしめた。
95作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/14(月) 03:31:14 0
その様子を嬉しそうに眺めていた遼ちゃんは立ち上がると二人の横を通って出口に向かった。
「あれ?!遼ちゃん!…帰るの?!」
郁也があわてて訊いた。
「用事思い出した。…滉ちゃん、車でしょ?郁也のことよろしく。」
そう言って遼ちゃんは出て行こうとした。
「遼一!……ありがとう。」
後関くんが言った。
遼ちゃんはそれを聞いてふっと寂しそうに笑って俯いたが、二人のほうを振り返ると
にっこり笑って言った。
「滉ちゃん、時々思い出したように『遼一』って呼ぶのやめてくんないかなぁ?
二人の夜を思い出して切なくて泣けてくるから。」
「お、おまえ!郁也の前で!」
後関くんがあわてて言うと
「はははっ…!」
遼ちゃんは笑いながら出て行った。
……そんな遼ちゃんの後姿を見送りながら郁也は
『今のセリフ、マジだ…』
と、苦笑いを浮かべたのだった。
96作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/14(月) 03:37:29 0
----後日、後関くんは遼ちゃんの協力の下、TUKAMOTOグループの総力を駆使して
例のダンス教師及び仲間たちの行方をつきとめ復讐したのは言うまでもない…が、

さらに、後関くんが仕事中もプラベケータイの電源を入れるようになったのも言うまでもない^^;


そのへんのお話はまたの機会に…





       【終】
97作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 22:50:06 0
ここまでお読みくださった方がいらっしゃるのかわかりませんが、
一度「後関くんシリーズ」はお休みします
もしスレ落ちせずに残っていれば後関くんと遼ちゃんの出会いを綴った
「後関くんのモノローグ・思い出」や「知らなかったこと」の続編を
ゆっくり書きたいとは思っています。
「知らなかったこと」の続編はちょっと暗いお話になりそうなので
気が向いたらということで^^

ちょっとお遊びで書いたお話があるのでそれを落としてしばしのサヨウナラ
○のなかには好きな名前をいれてくださいノシ
98作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 22:59:26 0
〜どうして君を好きになったんだろう〜

「○○ちゃん、もう寝た?」

ツアー先のホテルで僕は○o○ーと同じ部屋になり、先にシャワーを浴びていた僕はベッドに入りウトウトし始めていたところだった。
「…。」
返事をするのをためらうほど眠かったわけじゃないけど、なぜか僕は黙ってうつぶせたままでいた。
しばらく沈黙が続いた。
このまま眠ってしまおうかと思っていた時だった。
すぐそばで気配がした。
「○○ちゃん…、起きて。…ねえ、起きて。」
小さな声で囁くように耳元で○o○ーが声をかけている。

『もう!何?!』
そう言おうとして仰向けに寝返りをうった僕は思った以上に○o○ーの顔が近くにあったので驚いて声が出なかった。

「…ごめんね、起こしちゃって…。」
そう言った○o○ーの顔は今にも泣き出しそうな切ない顔で、そんな○o○ーを僕は見たことが無かった。

「…少し、少しだけ○○ちゃんとお話ししたくて…。」
ずっとこっちを見つめながら話す○o○ーの視線に耐えられず僕は思わず視線を外した。
「…怒ってる?」
僕は黙って首を振った。
『違うよ。僕はただ恥ずかしかっただけだよ。』
声には出せなかった…。
99作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:03:56 0
沈黙がまた続いた…。
○o○ーの視線はずっと僕に向けられているのが解っていたので、僕はどうしていいのか解らず目を閉じた。
その直後だった。
僕の唇にやわらかく暖かいものが押し付けられた。
僕は驚いて目を開けた。
信じられないけど、確かにそれは○o○ーの唇だった。
キスなんて今までマンガやドラマで見たことあったし、ふざけて身内や友達とほっぺにチュッなんて散々してきたものだから、どんなものなのかは知ってるつもりだった。
でも、違うんだ。
そんなものじゃなかった。
それはすごく優しくて、心地好くて、うっとりするものだった。
僕は一瞬びっくりして抵抗しかけたけど、すぐに頭の中が真っ白になり気が付けば身を任せていた。
○o○ーはそっと唇を離すとそのまま僕を抱きしめた。
僕も○o○ーも黙っていた。
お互いの鼓動だけがとても早く高鳴っていた。
僕はもうなんにも考えることが出来なかった。
今のこの状況が理解出来なくて、初めてのキスの衝撃も大きすぎて、もうただただ心臓が爆発しそうだった。
100作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:10:00 0
しばらくすると○o○ーは再び唇を重ねてきた。
そしてゆっくりと舌先を僕の歯に這わせるようにして口の中にまで入れてきた。
○o○ーの舌先は僕の歯茎や舌を優しく愛撫し始めた。
今まで感じたことの無い刺激が僕を襲った。
○o○ーの荒くなった息遣いに僕も興奮していた。
刺激に貪欲になった僕は自らも舌を絡ませ○o○ーの背中に手をまわしていた。
○o○ーは僕のTシャツをたくし上げるとふいに唇を離しその舌先を僕の乳首に這わせた。
「ふあっ…!」
思わず僕は声を上げた。
体中が熱くなった。
頭の中がしびれて気が遠くなりそうだった。
「ぅあ…、あ、うぅ…はぁああ…。」
自分のこんな声を聞くのは初めてだった。
どうにかなりそうだった。
○o○ーの下半身の硬くなったものが僕の太腿にあたった。
その時初めて気付いたんだ、僕自身も勃起していることに。
○o○ーは僕のパンツを脱がすと勃起した僕のものを口に含んだ。
「はぁあ…!」
生暖かくやわらかいものに包まれ生まれて初めての経験をした僕はすぐにイってしまった。
もう何が何だかわからなかった。
打ち寄せる快感と脱力感…。
けれど○o○ーは自らも下着を脱ぐと自分の硬くなったものと、たった今果てたはずなのにまだ硬いままの僕のものをこすり合わせ始めた。
「あっ!ふあぁ…!ああ……。」
僕はもう羞恥心なんて忘れて○o○ーにしがみついて声をあげていた。
「ああ、○○○!○○○…!うわぁ!…あっ…!」
そう○o○ーが言って果てるのと同時に僕も二度目の絶頂に達した。
101作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:14:46 0
○o○ーはそのまま倒れこむように僕を抱きしめた。
そしてしばらくは二人の荒い息遣いだけが聞こえていた。
○o○ーは僕の髪を撫でながら僕のほうを見ているようだったけど、僕はただただ虚ろに宙を眺めていた。
『僕は何をしてるんだろう…。何があったんだろう…。』
そんな思いがぐるぐるしていた。
二人の呼吸が静かになったころ、○o○ーが身体を起こし僕に言った。
「ごめんね。…ごめんね。」

そう言いながら僕の髪を何度も撫でながら涙を流した。
こんなに切なくて、怖いほど真面目な目を見たのは初めてだった。

「○○ちゃんが好きなんだ。…ずっと好きだった。初めて君を見つけた日からずっと好きだった…。ずっと抱きしめたくて、ずっとそばに居たくて、…ずっと見つめていたよ。
同じグループになれて嬉しくって、いろいろあったけど…、でも、今もこうして一緒にお仕事ができている…。なんだか…、それがとても嬉しくて…、切なくて…。」
涙を流しながらも微笑む○o○ーの目はとても優しく、僕は心がキュウってしめつけられるようだった。
102作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:18:29 0
けれど僕は○o○ーのそんな想いに応えることが出来なかった。
「…ごめん、僕わからないよ。」
僕は顔を逸らして○o○ーの顔を見ずに答えた。
「○o○ーをそんな風に見たこと無かったし、僕は男でホモじゃない。
 ………ごめん。今はただ何が何だか……。ごめん。明日もお仕事だし、その先も……。あの…、これからもきっと○o○ーと一緒に居なきゃいけないんだから、僕、困るよ。」
そう言いながらもなぜか僕の鼓動は爆発しそうなくらい早く、胸がとても苦しかった。

「うん。そうだね…。」
○o○ーは口をキュッと結んで微笑み、そう言うと僕から離れた。

しばらくお互いの間に重い空気が流れたけれど、僕は気持ちを切り替え、もう一度シャワーを浴びると黙って眠りに就いた。

翌日からの僕はいつにも増して○o○ーを避けるようになっていた。
仕事に関しての会話は出来るだけ周りに悟られないように普通に交わし、あとは目を合わすことさえしなかった。
正確に言うと、合わすことが出来なかった。
103作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:21:07 0
そんな日々が続いていたけれど、夜一人になると僕はあの夜のことをよく思い出していた。
あのキスの感覚を思い出そうと僕は自分の指を唇に押し当ててみたり、そのまま記憶をたどってマスターベーションしてしまうこともしばしばだった。
そしてその度に最後はあの切なそうなやさしい○o○ーの笑顔が思い出されて僕は胸を締め付けられた…。
104作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:24:59 0
その夜もそうだった。
「○o○ー…」
僕は彼の名前を呟いてみた。
胸がキュウっとなってもう一度呼んでみた。
「○o○ー…」
切なくて気付くと涙が頬をつたっていた。
彼と知り合ってから今日までの色んな出来事が彼の笑顔と共によみがえってきた。
『○○ちゃん、○○ちゃん!』
いつも笑顔で僕のことを見ててくれた○o○ー。
『初めて君を見つけた日からずっと好きだった…。ずっと抱きしめたくて、ずっとそばに居たくて、…ずっと見つめていたよ。』
僕はどうしちゃったのだろう…。
○o○ーに今すぐ会いたい。
そう思った途端、もう胸が苦しくて切なくて身体が震えた。
携帯電話を手に取ってアドレス帳の○o○ーのページを開いた。
番号もメアドも登録してある。
○o○ーの笑顔と重なる。
手が震えていた。
電話をかければきっと出てくれるだろう。
メールを送ればきっと返事をくれるだろう。
けれど鼓動が高鳴り手が震えて何も考えられない。
なんて話せばいい?なんて送ればいい?
「会いたい…」
その一言でいいはずなのに、その一言だけが僕をもう一人の僕が抵抗させた。
105作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:28:21 0
携帯を握りしめたまま僕は思い切って発信ボタンを押してしまった。
その勇気に僕自身が驚きすぐに電話を切った。

心臓が爆発しそうだった。
頭の中が真っ白になった。
しばらく沈黙が続いた。
電話も静かだった。
発信履歴を見ると確かに○o○ーにかけている。
ワン切りくらいだったし、きっと気付いてないんだろう。
このまま朝になればいい。
このままいろんな人が○o○ーに電話をかけて僕の着信が埋もれていけばいいなんて考えていた。
しばらくドキドキしながら携帯を眺めていたけれど、僕はそのまま眠ってしまった。
どのくらい時間が経ったのか、いきなり鳴ったメールの着信音で僕は目覚めた。
106作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:31:21 0
○o○ーからのメールだった。
       「どうしたの?」
一気に目が覚めた僕は何度もその一言だけのメールを読み返した。
うれしかった。
なんだかホントにうれしかった。
それが僕の今の本当の正直な気持ちだった。
なんて返そう。なんて返せば変じゃないんだろう?
「会いたい」
この一言だけは絶対言えない。言っちゃいけないってもう一人の僕が言う。
       「ごめん、間違えて電話かけちゃった。」
そう返信した。

返事は返ってこなかった。
しばらく待ったけど返ってこなかった。
僕は馬鹿だ。
なんだかすごく悲しくなってきた。
○o○ーからの返事を待ってる自分が惨めだった。
なぜ自分の気持ちに正直になれないんだろう。
今すぐ会いたいのに!会いたいのに!会いたいのに!
もう深夜だし○o○ーも眠ってしまったかもしれない。


………………
         ………
        …
107作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:44:37 0

       「もう寝た?」
勇気を振り絞って一言メールした。
するとすぐに返事が返ってきた。
       「起きてるよ」


体中が熱くなった。
心臓が再び高鳴った。
うれしくて涙が出てきた。
けれどなんて返信したらいいのかわからなくてすぐにはメールを送れなかった。
僕が考えあぐねていると電話の着信音がいきなり鳴った。
○o○ーからだった。
僕はドキドキしながら電話に出た。
「…もしもし?」
「…うん。電話のほうが早いかなって思ってかけた。迷惑だった?」
すごくやさしい口調で話す○o○ーの声をこれほどうれしく思ったことは無かった。
「う、ううん。ごめん。こんな時間に…。」
「どうしたの?眠れないの?」
「………今、何してた?」
「えっ?!ああ、ギター弾いてた。」
「そう…。」
「………うそ。ごめん、○○ちゃんのことずっと考えてた。」
「え…。」
「だって、間違えたって言っても一応オレの携帯に○○ちゃんの着信があったわけだから。それにメールもすぐ返してくれたし。」
「………。」
「どうしたの?ごめん、オレやなこと言った?」
「ううん、ごめん。違うんだ。ホントにごめん。」
「何かあったの?オレじゃ相談できない?」
108作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/07/21(月) 23:48:23 0
違う!違うんだ!どうしたらいいんだろう?
このまま○o○ーに甘えてしまいたい!「会いたい!」その一言でいいんだ!
そう思った瞬間、一瞬だけど僕を抵抗させていたもう一人の僕が油断した。

「○o○ーに会いたい。今すぐ会いたい。胸が苦しくて切なくてどうしたらいいのかわからないんだ!…会いたいよ。」
一気に思いを吐き出してしまった!

「………」
電話の向こうの○o○ーは黙ってた。
長い沈黙だったのかほんの一瞬だったのかもう僕にはわからない。
そして
「待ってて。すぐに迎えに行くよ。」
そう言って○o○ーは電話を切った。

しばらくして本当に○o○ーはすぐに迎えに来てくれた。
僕はもう覚悟を決めていた。
思い切って僕は少しはにかみながらも彼の腕の中へと飛び込んでいった。


         〜おわり〜
109名無しさん@ビンキー:2008/07/22(火) 00:04:31 0
自分ロムってますのでまた是非ヨロ(w
110名無しさん@ビンキー:2008/07/22(火) 12:20:52 0
age
111名無しさん@ビンキー:2008/07/26(土) 10:11:41 0
自分もロムってますノシ
112名無しさん@ビンキー:2008/08/06(水) 01:54:45 0
まだやってたのかここ
久しぶりに見たら面白かったd
113名無しさん@ビンキー:2008/08/12(火) 23:46:12 0
遼ちゃんいいヤシ
114名無しさん@ビンキー:2008/09/01(月) 03:25:21 O
保守
115名無しさん@ビンキー:2008/09/17(水) 12:43:12 O
保守
116 :2008/09/21(日) 08:27:47 0
117作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/23(火) 20:18:50 0
後関くんのモノローグ2   〜思い出〜 

それはまだオレが今の会社に入ったばかりの頃の話。
オレは会社の先輩に付いて、あるホテルの最上階にある高級レストランで海外の
取引先の社長さんとの商談に同席させてもらっていた。
まだそういった席に慣れていないオレは気もそぞろにレストランの客を眺めていた。
すると所謂VIP専用と思われる席に不似合いな、高校生らしき制服姿の少年が一人
で食事をしているのが目に入った。
奴はウェイターと親しげに話し、とても人懐っこい笑顔が印象的だった。
しばらく眺めていると、運ばれて来た料理を見るなり手も付けず、露骨に嫌な顔
で下げさせた。
『なんだ?あいつ』
オレは商談中ということも忘れてそいつを眺めていた。
118作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/23(火) 20:21:58 0
すると、奴はこちらに目を向け、何かに気付いたように席を立ち、こっちに向か
って歩いてきたのだ。
『ヤバイ!オレが見てたことに気付いたのか?』
オレは急いで目線を反らし、俯いていると背後から声がした。
「Hi!ジェフ!久しぶり。いつ日本に?随分ウチにも遊びに来てくれないから淋
しく思ってたんだ。」
声の主はさっきの奴だった。
とても人懐っこい笑顔で甘えるようにオレ達の商談相手の手を握り英語で話し出
した。
商談相手の社長もオレ達がいるにも関わらず、嬉しそうに奴をハグし、話し始め
た。
「Ryoichi!会いたかったよ!大きくなったね。君にはずっと会いたかったんだが
…、お父様がなかなか許してくれなくてね。また今度ゆっくり食事でもしよう。

などとしばらく話していた。
119作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/23(火) 20:23:32 0
奴は話し終わると、オレの方をちらっと見ると、見下すように、さっきとは打っ
て変わって冷ややかな顔で、まるで人を小ばかにしたように鼻で笑って席に戻っ
ていった。
『なんだ?!あいつ!』
オレがムカついていると、商談相手が
「失礼。彼はここのレストランのオーナーの息子さんでね。」
と教えてくれた。
成る程、それでVIP扱いか…。
それにしても、あの人懐っこい笑顔と高飛車な態度…。
そのギャップのせいか、オレはやけに奴のことが頭から離れなかった。

120作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/23(火) 20:26:02 0
何日か経ったある日、オレは一人慣れない車の運転で営業先を回っていて道に迷
ってしまった。
すると、見覚えのある制服を着た少年たちがいかにもお坊ちゃま学校という門構えの
学校から大勢出てくるのが見えた。
そんななか、一際騒々しいグループが出て来た。
「なんでー!?僕も連れてってよー!」
「ダメ、ダメ。遼ちゃんはお子ちゃまだから。大人の女性の良さがわかるように
なったら連れてってあげるよ。」
「そうそう、ボール遊びはまた明日ねー。今日は大人の遊びだから遼ちゃんはお留守番。」
そう言われて独り取り残された少年は紛れも無く、この間のあいつだった。
121作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/23(火) 20:28:28 0
プーッと頬を膨らませた横顔はとても幼く、この間のあいつと同一人物とは思え
ないくらい可愛かった…。
…不覚にもそう思った。
オレの視線に気付いたのか、奴はこっちを向いた。
オレは少し慌てたが、まさか覚えてないだろうと視線をそらした。
すると奴はこっちに近付き、いきなり助手席に乗り込んできた。
そしてまるで親しい友人に言うように笑顔で
「やあ、久しぶり。僕のこと探してたの?」
とオレの顔を覗き込んで言った。
その言い方や笑顔がとてもかわいらしく、オレは先日のコイツのむかつく態度も
忘れてドキドキしていた。
122作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/23(火) 20:29:27 0
「みんなさあ、僕のことを子供扱いするんだ…。女の人に興味ないだけなのに…
。」
そう言って奴は俯いた。
オレは奴の言っている事の意図が掴めず黙っていると、いきなり奴は、
「ジェフとはもう寝たの?」
と、またこの間のように冷ややかな目をして聞いてきた。
オレは奴のころころ変わる表情と『もう寝たの?』という言葉に驚き、思わず
「え!?」と言ってしまった。
123作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/23(火) 20:32:57 0
奴はクスクス笑いながら
「わかるんだよ。君も僕とおんなじだって。…僕は塚本遼一。みんな遼ちゃんて
呼んでるから遼ちゃんでいいよ。君は?」
「後関…後関滉一…。」
「じゃあ、滉ちゃんだね。そう呼んでいい?…あっ僕のことを遼一とか呼ばないでね。
そう呼んでいいのは僕が許可した人だけだから。…よかったら今度この店来てよ。
たいてい僕ここで過ごしてるから。」
そう言って奴は一枚の店の名刺を渡してきた。
124作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/23(火) 20:35:18 0
オレが名刺を眺めていると突然助手席の窓がコンコンと叩かれた。
奴の友人らしかった。
奴はドアを開け車から降りた。
「新しいお世話係りの人?」
「違うよ。なんか道聞かれただけ。」
そう言いながら奴はこっちに向かって「この道まっすぐいったら国道に出るから
右に曲がって。そしたら駅前だよ。」そう言うと友人と行ってしまった。
オレは唖然と奴を見送った。
オレが道に迷っていたことも女性に興味がないということも(つまり、ゲイってことなんだけど…)
全部お見通しだったんだ!
オレは益々、奴…遼ちゃんに興味を抱いた。
125名無しさん@ビンキー:2008/09/23(火) 23:08:28 0
お帰りなさい作者さん
126作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/30(火) 03:22:38 0
>125
ノシ
127作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/30(火) 03:24:17 0
しばらくしてオレは遼ちゃんがくれた名刺の店に行ってみた。
そこは見た目、普通のプールバーでダーツも何台か置いてあるお洒落な感じの店だった。
少しの間オレは遼ちゃんを探してみたが見当たらなかった。
ただ、そうしていて気付いたことは客が男ばかりだということだった。
オレがぼんやりジンバックを飲んでいると一人の男が声をかけてきた。(この際、この時オレが未成年ていうのは忘れて欲しい…^^;)
「君、はじめて見る顔だね。ひとり?どう、一緒に遊ばない?」
『…ああ、そうか。ここはそういう店なんだ。でも、こいつタイプじゃねーな…。』
なんて考えていたら、いきなりバーテンが咳払いをした。
128作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/30(火) 03:26:46 0
それを聞いた男は顔を引きつらせ慌ててどこかに行ってしまった。
オレが変に思うと同時に「来てくれたんだね!」と弾んだ声がしてオレは後ろから抱きしめられた。
その声は紛れも無く遼ちゃんだった。
「ね!?言ったとおりでしょ?!滉ちゃんはきっと来てくれるって!」
そう遼ちゃんが言うとさっきのバーテンはにっこり微笑み頷いた。
オレが呆気に取られているのにもかかわらず遼ちゃんは話し始めた。
「ここはね僕が父親に任されてる店なんだ。好きに使っていいって。だからここは僕の遊び部屋みたいなものだから
いつでも来ていいからね!滉ちゃんは今日から顔パスだから!」
嬉しそうに話す遼ちゃんがやけに可愛らしかったのと顔パスだからと言われたのとでオレは悪い気はしなかった。
129作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/30(火) 03:29:46 0
それを聞いた男は顔を引きつらせ慌ててどこかに行ってしまった。
オレが変に思うと同時に「来てくれたんだね!」と弾んだ声がしてオレは後ろから抱きしめられた。
その声は紛れも無く遼ちゃんだった。
「ね!?言ったとおりでしょ?!滉ちゃんはきっと来てくれるって!」
そう遼ちゃんが言うとさっきのバーテンはにっこり微笑み頷いた。
オレが呆気に取られているのにもかかわらず遼ちゃんは話し始めた。
「ここはね僕が父親に任されてる店なんだ。好きに使っていいって。だからここは僕の遊び部屋みたいなものだから
いつでも来ていいからね!滉ちゃんは今日から顔パスだから!」
嬉しそうに話す遼ちゃんがやけに可愛らしかったのと顔パスだからと言われたのとでオレは悪い気はしなかった。
それからというものオレは毎日のようにその店に通い、遼ちゃんといろんな話をしたり、時にはビリヤードやダーツをしたりして
楽しく過ごしていた。もちろん全くお互い恋愛感情はなく(多分…)、友人としての付き合いだった。
130作者 ◆Ufp6oBwhzs :2008/09/30(火) 03:32:25 0
×>128
○>129
131 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/02(日) 01:37:37 0
ある夜のこと、いつものように遼ちゃんと話していると、中年の派手な女性が店にやってきた。
普通女性が店にやってくると入口で止められるようになっているのだけれど…。
その女性を見るなり遼ちゃんは顔を曇らせた。
「遼一さん、新しいお友達?ホントにお友達が多くて羨ましいわ。でも、たまにはお父様ともお食事でもして差し上げてね。」
そう女性が話しかけると、遼ちゃんはそっちを見ようともせず俯いたまま
「何しに来たの?」と、訊いた。
「ちょっと近くまで来たから遼一さんのお顔を久しぶりに見ておこうと思って。おじゃまだったみたいだから帰るわね。」
そう言って女性は帰っていった。
132 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/02(日) 01:40:18 0
「誰?母親?にしちゃあ似てないね。」
オレが言うと、遼ちゃんは
「あんなの母親じゃないよ。…父親の後妻。僕のママは今スイスに居るんだ。」
…つまり、遼ちゃんの母親は病弱でかなり深刻な状態らしく今はスイスで療養中らしい。
スイスに移る際、母親のたっての希望で父親とは離婚したらしく、その後さっきの女性と父親は再婚したということだ。
遼ちゃん曰く、「父親のような立場の人は独身だと何かと不都合が生じるらしく、特に海外では信用問題に繋がることもあるらしく
しかたなく再婚した。」…そうだ。
その証拠に父親は十三年前に離婚した遼ちゃんの母親に会いに今でも時々スイスまで見舞いに行っているという。
オレは初めて遼ちゃんのプライベートの話を聞き、何故か少し切なくなった…。
133 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/02(日) 01:42:56 0
オレの仕事が少し忙しくなり、なかなか店に顔が出せなくなってきた頃の週末のある夜、久しぶりに早く帰宅できたので
着替えて遼ちゃんの店に行こうとしている時だった。
玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けるとそこには遼ちゃんが立っていた。
「え!?なんで?!遼ちゃん、ウチの住所知ってんの?!」
オレが驚いていると少し酒の匂いをさせて、くすくす遼ちゃんは笑いながら勝手に上がりこみリビングのソファに転がると、横になったまま言った。
「僕が交際している人間は全て身元が調査されてお父さんに報告されるんだ。だから、そのファイルを見れば
滉ちゃんの住所なんてすぐさ。」
オレはそれを聞いて何だか嫌な気分だったが、それよりもいつもと違う雰囲気の遼ちゃんが気になった…。
134名無しさん@ビンキー:2008/11/02(日) 10:33:34 O
久しぶりに更新ktkr
続き楽しみに待ってますノシ
135名無しさん@ビンキー:2008/11/06(木) 09:35:30 O
自分も楽しみにしてますノシ
136名無しさん@ビンキー:2008/11/11(火) 15:57:21 0
待ってました!
続きも期待してますノシ
137 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/16(日) 04:05:40 0
ソファに力なく転がったままの遼ちゃんはぼんやりと一点と見つめたままそれ以上何も話さなかった。
「…酒飲んでんの?……何かあった?」
オレは遼ちゃんの傍らに腰掛け訊いた。
遼ちゃんは仰向けに寝返ってしばらく天井のほうをぼんやり見つめていたけど、呟くように一言言った。
「ママが死んだ。」
オレは驚き「お、おまえ、じゃあここに来てる場合じゃないだろ!」
けれど遼ちゃんは上半身を起こし、ソファに座り直すと、ぼんやりとしたまま答えた。
「明日の午後にはお父さんとスイスに向かうんだ。でも今はみんな葬儀の準備で忙しくて…。傍に居てほしい人みんな忙しくて…。
…お父さんが僕に言うんだ。取り乱すなって。塚本の長男なんだからしっかりしろって…。僕は泣き叫びたいのに、誰もそんな僕を望んでない。
僕は泣くことも許されないんだ…。」
138 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/16(日) 04:08:11 0
遼ちゃんはソファの背もたれに倒れるように寄りかかり天井をまた見上げた。
「泣いていいよ…。おれんちでなら泣いていいよ。」
オレがそう言うと遼ちゃんはキッとこっちを睨み「別に同情が欲しくてここに来たわけじゃない!」
と言った。
「別に同情なんてしてないよ。同情なんて何の慰みにもならないってオレは5歳の時に両親亡くした時に充分思い知ってるから…。」
オレが困り顔で答えると遼ちゃんはハッとした顔して目を逸らすとしばらく下唇を噛み締め体を震わせていた。
そして震える声で話し出した。
139 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/16(日) 04:11:13 0
「去年のクリスマスに会った時はもう随分具合が悪くて…。でも僕が作ったジンジャークッキーを美味しいって食べてくれたんだ。
毎年夏休みと冬休みに会いに行っていたのに…、お父さんが今年は春休みも会いに行っておいでって…。
そんなこと言うのおかしいって、今までは僕が行きたいって言っても許してくれなかったのに…、おかしいって思っていたんだ!」
そう話す遼ちゃんの頬に涙が伝うのを見たオレは堪らず遼ちゃんを抱きしめた。
「ママ、ママ、あんなに痩せて!それでも僕が行くと嬉しそうに笑ってくれて…!ママが大好きだった。ずっとそばに居たかった。
僕が守ってあげるはずだった!……うあ、うう……う…」
遼ちゃんは小さい子供のように泣きじゃくり始めた。
140 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/16(日) 04:14:50 0
オレはこの時ほど保護者意識に駆られたことはなかった。
自分の腕の中で泣きじゃくる遼ちゃんが不謹慎にも愛おしくて思わずキスをしてしまった。
遼ちゃんは一瞬驚いた表情を見せたがそのままオレに身体を預けてきた。
オレは遼ちゃんをソファに寝かせると服を脱がせ無心に奴の身体中にキスをし、愛撫した。
今思えばオレは何て最低な男なんだって凹むが、当時若かったオレは衝動を抑え切れなかったんだ。
141名無しさん@ビンキー:2008/11/24(月) 21:10:04 0
続きwktk
142 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/25(火) 05:56:25 0
翌朝、オレが目覚めると遼ちゃんの姿はなかった。
『ああ、今日の午後にはスイスへ向かうって言ってたな…。』
オレは夕べのことを思い出しながら何も言わずに帰っていった遼ちゃんのことを考えていた。
『嫌われたかな…?なんか言って帰りゃいいのに…。』
なんて思いながらも寂しく思っていたのも確かだった。
143 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/25(火) 05:58:05 0
あの夜から2ヶ月近く経ったが未だに遼ちゃんとは連絡が取れなかった。
店に行ってもずっと顔を見せてないと言われるだけだった。
『こりゃあ本格的に嫌われたか…。』
そう思うとあの時の遼ちゃんが鮮明に思い出され妙に寂しくなった。
毎日遼ちゃんのことを考えるようになっていた。
あの生意気な態度や甘えるような声全てが懐かしく愛おしかった。
144 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/25(火) 05:59:42 0
ある日のことオレが帰宅すると部屋に人の気配がした。
リビングに向うとキッチンに遼ちゃんが立っていたんだ。
「あっおかえり」と笑顔で言う遼ちゃんは当たり前のようにキッチンで料理を続けた。
オレは一瞬びっくりして言葉が出なかったが、やっとの思いで
「なんで?!…あ、☆△%&$#!!!!」とわけのわからない声を発した。
そしたら遼ちゃんがクスクス笑いながら「なに?」って訊くもんだからオレも笑いながら
「なんでいんだよ?ずっとさびしかったじゃねーか!」と素直に言えたんだ。
145 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/25(火) 06:02:29 0
遼ちゃんがこの2ヶ月ほど姿を見せなかったのは母親の四十九日や進路の件で父親と揉めていたことが原因だった。
この春ヨーロッパの大学に留学予定だった遼ちゃんは勝手にうちの近所の大学を受験し入学手続きを済ましていたのだ。
それで父親と揉めてやっと将来必ず会社を継ぐことを条件に日本での進学を認めてもらったらしい。
しかも…オレの家に同居することも認めさせたというのだ…。
「おまえ!?オレの許可もなく勝手に同居って…!!!!」
「やなの?」とちょっと拗ねたように頬を膨らませ訊く遼ちゃんに思わず
「やじゃないけど…」と応えてしまったオレの負けだったorz
けれど鼻歌混じりに微笑みながらキッチンに立つ遼ちゃんの姿に不思議な安堵感を覚えたオレは
なんだかすごく穏やかな気分で毎日が過ごせたのも嘘じゃなかった。
146 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/25(火) 06:03:31 0
時は流れオレ達は今、良い友人に戻ってしまったけれど(それまでの経緯はまたいつかの機会に…)
オレにとって遼ちゃんはやはり特別な存在であることは確かだし
彼にはオレよりも器のでかい奴と幸せになって欲しいと日々願っている。
願っている…のに!
147 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/25(火) 06:06:54 0
「後関く〜ん!!遼ちゃんがボクの嫌いなキュウリのいっぱい入ったサラダを作ってるよお〜!!!」

「あれ〜?郁也はキュウリ嫌いだったの〜?ごめんごめん(笑)でもキュウリ食べなきゃ大きくなれないよ(笑)!」

「ウソだ!遼ちゃん知っててわざとじゃん!しかもキュウリ食ってでかくなれるなんて聞いた事ないし!
遼ちゃんもサラダ食べてよね!野菜が嫌いなくせにこんなにいっぱい作ってどうすんだよ?!」

「あ〜残念!ボクは家で専属のシェフがおいしい夕飯作って待っててくれてるからもう帰らなきゃ(笑)」

「ええええ〜!!!後関く〜ん!!!!なんとか言ってよ〜!!!!!!」

………

……




なんでこんなことになってるんだろう?!

orz




おわり♥
148名無しさん@ビンキー:2008/11/27(木) 08:36:16 0

149 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/29(土) 02:28:34 0
【おまけ】
〜遼ちゃん〜その3

これは遼ちゃんと後関くんが別れ、月日が経ち、
さらに後関くんが郁也の保護者(?になって遼ちゃんも郁也と仲良しになってからのお話。
150 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/29(土) 02:30:36 0
遼ちゃんが作った料理をリビングで二人で一緒に食べ、
お酒も入った後関くんはソファーに横になったままうたた寝。
遼ちゃんは後関くんに毛布を掛けてしばらく寝顔を見ていましたが
堪りかねて後関くんの頬にキスをしました。
そっと唇を離すと後関くんが片目をあけて
「遼ちゃん…」と苦笑して言いました。
「あ…ごめん。起こしちゃった。」
じっと遼ちゃんを見つめる後関くん。
「わ、わかってるよ!そんなつもりじゃない!ほら、外国じゃ挨拶みたいなもんでしょ?
…もう帰るねって挨拶だったんだ。」
151 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/29(土) 02:32:56 0
そう言って立ち上がろうとした遼ちゃんの腕を後関くんは掴んだ。
怖いくらいの視線で遼ちゃんを見つめる後関くん。
その視線から目を逸らすことさえできず、ただ体中が熱くなり鼓動が高鳴るのを
抑えるのが精一杯の遼ちゃん。
後関くんはぐっと掴んだ遼ちゃんの腕を引き寄せると遼ちゃんを抱きしめキスをした。
後関くんはそのまま舌を絡め、遼ちゃんの首筋や乳首へも舌先を這わせた。
152 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/29(土) 02:35:50 0
「あ…だめ、だめだよ滉ちゃん。あ…!」
後関くんは遼ちゃんのズボンを剥ぎ取ると遼ちゃんの硬くなったものを口に含んだ。
「ぅあ!ああ…」
遼ちゃんは幸福と快感で涙を流し後関くんの愛撫に身を善がらせた。
「あ…だめ!ああ!」
遼ちゃんがイクと後関くんはそのまま遼ちゃんの精液を自分自身のものに塗り付け
遼ちゃんのスミレ色の蕾に押し当てた。
そしてそのまま挿入すると激しく腰を動かした。
「ああ…!遼一…!遼一!」
「うああ…滉ちゃん…滉ちゃん…愛してるよお…滉ちゃん!……はああ!」
そして遼ちゃんは二度目の絶頂に達した。
153 ◆Ufp6oBwhzs :2008/11/29(土) 02:37:23 0


そこで遼ちゃんは目覚めた。

………

……



「なんだ…夢かよぉおおおおお…!」

orz

枕を抱え暫く放心状態の遼ちゃんはポツリと言った。
「彼氏つくろう…」


おしまい(w
154名無しさん@ビンキー:2008/11/29(土) 09:06:52 0
乙です
遼チャンバロス
155名無しさん@ビンキー:2008/11/29(土) 12:20:57 0
おまけキタワァ
156 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/14(日) 04:11:38 0
知らなかったこと〜後日談あらすじ〜

病院につれていかれた郁也は不審に思った病院側が呼んだ警察に事情を聴かれます。
犯人に心当たりはないと郁也はもちろん後関くんと遼ちゃんも口裏を合わせます。
しかし翔太やお母さんは心配のあまり郁也たちに詰め寄ります。
翔太にだけ郁也の過去を話す後関くん。
一方、遼ちゃんは総力を駆使して犯人の居場所を突き止めます。
そこへ乗り込む後関くんと遼ちゃん。
そこには大量の少年達の裏ビデオが保管されており
中にはまだ中学生だった郁也の姿もありました。
あまりにも惨い仕打ちを受けている幼い郁也の姿に後関くんは我を忘れ
ダンス教師に殴りかかります。
「もうやめろ!滉ちゃん!もういい!それ以上やると死んじゃう!
あとはうちの連中が始末するから…」
遼ちゃんはそう言って泣きながら後関くんを止めました。

後関くんは郁也が入院している病院へ向うと
寝ている郁也の髪を撫でながら堪えきれず涙を流しました。
目覚めた郁也は何故後関くんは泣いているのか尋ねました。
「もう、なんにも心配ないよ。大丈夫。
もうおまえを苦しめる奴はいないから…。
ごめんな…。おまえの苦しみをわかってるつもりでなんにもわかってなかった。
頑張ったな…。もう何にも心配要らないよ。」
「…?…何があったの?なんでそんなに辛そうなの?
…!あいつを見つけたの?!あいつのとこで何か見たの?!」
後関くんは泣きながら首を振り郁也を抱きしめた。
157 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/14(日) 04:13:59 0

お母さんは毎日郁也の看病に通っていました。
何も聴かされていないお母さんは郁也の怪我を不審に思いつつ
翔太や郁也が話してくれるのを待っていました。
ある日看護師たちの噂話を耳にしてしまいます。
「今度入院してきた戸田さん素敵ね。」
「あらあなた知らないの?彼ホモなんだって(笑)」
「うそ!?」
「よくお見舞いに来るお兄さんのお友だちって人と一緒に住んでるって。
しかも救急の子に聞いたんだけど、強姦されて運ばれたらしいって…」

お母さんは青ざめた顔で震えながら郁也に訊きました。
「ねえ郁也…塚本さんて後関くんと以前お付き合いしてたのよね?
最初にあなたを見つけたのって塚本さんなのよね?」
「…?何が言いたいの?
…!お母さんもしかして遼ちゃん疑ってるの?!」
「だって!郁也あなた強姦って!…あっ!」
「!誰に聞いたの?」
お母さんはその場に泣き崩れました。
158 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/14(日) 04:31:06 0
もう郁也は限界でした。
今回のことはもちろん
後関くんに一番見られたくなくてずっと怯えていたあのビデオ
お母さんの涙
もう自分自身がとてもうす汚いモノのような気がして許せませんでした。
そしてとうとう…。

翔太からの電話で後関くんは郁也の危篤を知りました。
会社にいた後関くんは部長に早退を申し出ます。
「なんだ?早退なんて初めてじゃないか。何があった?」
「自分の恋人が危篤なんです。」
「ああ、一緒に暮らしてる男か(笑)」
会社中から嘲笑が起こりましたが、後関くんは毅然とした態度で
「はい」と答えました。

病院に着いた後関くんは集中治療室にいる郁也を見つめ祈りました。

オレはこいつがどんなに辛かったか
どんなに…どんなに絶望の中耐えたのか…
胸が張り裂けそうだった。
何度も髪を撫で、何度も抱きしめ、何度もくちづけをしても
こいつの悲しみや絶望感を拭い去ることなんてできない。

この世に神がいるなんて思ったこと無いけれど、もしいるとしたら…
どうか、どうかこいつを郁也を助けてください!
そのためならオレは…
オレは自分の命さえ惜しくない!
159 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/14(日) 04:42:05 0
作者より
今まで読んでくださった方々がいらっしゃることに感謝申し上げます。
当初こんなに長い期間続けることが出来るなんて思ってもいませんでした。
今まで書き溜めていたものに手を加えて書き込んでいましたが、
今回の「知らなかったこと〜後日談〜」は構想しかなく
しかもかなりの長編になりそうでしたのでとりあえずあらすじだけでもと
書き込みました。
結末も実は未定でして…(w
いつかどこかで発表できたらいいなって感じです。すみません。
とりあえずあらすじで皆さん各々の世界観で広げて楽しんでくださいノシ
160 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/15(月) 19:31:49 0
追記

B.G.M.:「水色」SAYAKA
http://www.utamap.com/showtop.php?surl=B07780
161名無しさん@ビンキー:2008/12/17(水) 08:07:39 O
作者さん乙です
担当はいないながらひっそり楽しませてもらってました(w
また機会があればぜひノシ
162 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/19(金) 08:03:37 0
再追記

B.G.M.:「Moments」浜崎あゆみ
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND18435/index.html
163 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/19(金) 08:05:48 0
>161
d!
164 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/19(金) 08:27:07 0
上記2曲は自分の世界観ですが今回のお話とリンクする曲です。
形態姐さんはこちらからいけるかな?
「水色」
http://utanet.jp/song/20693/1/?SITEID=3&DRAWID=K&guid=ON
「Moments」
http://utanet.jp/song/18875/1/?SITEID=3&DRAWID=K&guid=ON
165名無しさん@ビンキー:2008/12/21(日) 17:31:35 0
乙です
時々突飛な感じもまたオモロかったです(w
良かったらまた書きに来てください
166 ◆Ufp6oBwhzs :2008/12/22(月) 07:46:59 0
>165
d
167名無しさん@ビンキー:2009/01/04(日) 02:10:24 O
保守
168名無しさん@ビンキー:2009/01/07(水) 23:34:04 0
保守
169名無しさん@ビンキー:2009/01/17(土) 00:02:08 O
作者さんは三原順(故人)作の「はみだしっ子」シリーズの影響を多大に受けてますね
後関くん→グレアム
郁也→マックス
みたいな感じかな
さらに強いて言えば
遼ちゃん→アンジー
翔太→サーニン
かな(w
170名無しさん@ビンキー:2009/01/19(月) 22:28:35 O
普遍的ではないのにとても読み易くて、面白くて一気に読みました。
また続きをいつか読ませて下さい
171名無しさん@ビンキー:2009/01/21(水) 04:45:39 O
後関滉一 → 五関晃一
戸田翔太 → 戸塚祥太
郁也 → 河合郁人
塚本遼一 → 塚田僚一
172名無しさん@ビンキー:2009/02/16(月) 22:15:24 O
保守
173名無しさん@ビンキー:2009/03/23(月) 12:33:56 0
あげ
174名無しさん@ビンキー:2009/04/18(土) 09:19:20 O
保守
175名無しさん@ビンキー:2009/05/03(日) 04:40:32 0
蝉担乙
176名無しさん@ビンキー:2009/05/03(日) 10:16:15 O
つーか今の状態なら普通にサイト作ってそこでやれ
2でやる意味が分からん
177名無しさん@ビンキー:2009/05/04(月) 06:45:19 O
たぶん最初は実名使ってたからサイトか同人誌の甜菜の希ガス
178名無しさん@ビンキー:2009/05/17(日) 05:42:20 O
あげ
179名無しさん@ビンキー:2009/08/15(土) 06:03:50 0
180名無しさん@ビンキー:2009/08/17(月) 18:17:29 0
なんなの?
181名無しさん@ビンキー:2009/08/18(火) 00:04:37 0
 
182作者 ◆Ufp6oBwhzs :2009/12/04(金) 11:07:59 O
あんなに愛してくれたのに…

あなたにとってボクはなんだったの?


知ってたよ
あなたにとってボクはちょっと気まぐれに可愛がる愛玩動物


ボクには後関くんがいる…
分かってる!

分かってるんだ…


けれど
どうしてだろう
平和に穏やかに与えられる愛に幸せを感じる自分とは違うボクがいる


気持ちは抵抗してるはずなのに…


力強く強引にまっすぐ見つめるあの瞳が忘れられない…


「おれの言うことを聞いてればいいんだ。
おまえはおれにとって特別なんだよ。」

そう言って、ふっと微笑むあなたが忘れられないんだ
183 ◆Ufp6oBwhzs :2010/01/12(火) 04:20:59 0
ryo113
184名無しさん@ビンキー:2010/03/21(日) 03:06:46 O
チョコボールさんいますか\(^0^)/
185名無しさん@ビンキー