宮沢賢治の代表作「風の又三郎」。童話の舞台の小学校が、遠野市の
上郷小学校であることをうかがわせる書簡が公開され、注目を集めている。
謎が多い作品だけに、モデルは諸説あるが、遠野と 釜石の間にまたがる仙人峠に
「又三郎」はやって来たのだろうか。
この山の小学校が遠野市の南東部、仙人峠に向かう途中にある上郷小と推察
できそうな 賢治の書簡が、今春から同市宮守町のみやもりホールで公開され、
ちょっとした話題に なっている。
同小の教諭だったかつての教え子・故沢里武治氏にあてた1931年
8月18日付の封書に、 取材を希望する旨が記されてあるからだ。
《仙人峠の方は今月末或(あるい)は寧(むし)ろ学校が始まってからの方が好都合な
点も あります(中略)次は「風野又三郎」といふある谷川の岸の小学校を題材とした
百枚ぐらゐの ものを書いてゐますのでちゃうど八月の末から九月上旬へ
かけての学校やこどもらの空気 にもふれたいのです》
この記述に、市立博物館の石井正己館長(東京学芸大教授)は「上郷小の雰囲気が
間違いなく作品にあり、モデルにしたと言っていい」とする。
もともと「風の又三郎」は謎が多いとされる。小学校のみならず、作品の舞台自体も
、様々 語られる。
定説は、奥州市と遠野市、住田町にまたがる種山ケ原。花巻市のさいかち淵(ぶち)も
言われる。旧大迫町(現花巻市大迫町)の「早池峰賢治の会」は、作品に登場する
モリブデン。
鉱の採掘坑跡が見つかった猫山一帯が舞台として、「大迫賢治マップ」を作ってPRする。
「風の又三郎は、賢治の精神世界と自然が一体となった作品。着想をもたらした自然は
岩手に様々ある」と宮沢賢治イーハトーブ館。
賢治生誕110年。作品の謎解きは、まだ終わりそうにない。
asahi.com - マイタウン岩手 06/09/25
(※画像あります。)
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000000609250005