諸事情により最後にやるはずだったのをブチ込むとかなんとか作者が言ってるわ。夏が嫌いになりそうだとも言ってたけど……。まぁ勝手に嫌いになればいいわよね。
本来ならいろんな人が出てくるはずだったけど、今回は出てこない。
このお話は直接私が語ってあげる。
この話はね、昔の仁科のお話なの。一体誰が出てくるのか。このお話の真意は一体何か……。
フフ……。それは少しずつ明らかにしていけばいい。別に夏以外にやっちゃいけないわけじゃないし。それに、夏は来年もやってくるんだから。
じゃあ、さっそく始めましょう。とっても悲しい、とっても悲しい、怨みのお話……
仁科の怪談 第X回
【新浦文子(噂)】
昔、仁科学園にはどこにでも居る普通の高校生である新浦文子という女の子がいました。
とっても控えめで大人しい女の子でした。
熊の縫いぐるみが大好きな、本当に普通の女の子でした。
ある日、彼女は通学途中に猫が車に轢かれそうになる所に遭遇しました。
彼女は危ないと思いました。なんとかしなきゃと思いました。
彼女は車が猫を避けて行けばいいのにと祈りました。とっても強く祈りました。
猫を轢きそうになった車は、間一髪で猫を避けて電信柱にぶつかりました。運転していた人は死んでしまいました。
彼女は普通の女の子でした。
成績もちょうど真ん中くらい。見た目だって普通だと言える程度です。
ただし、とっても控えめな女の子だったので、友達を作るのは少し苦手でした。彼女はそれだけが悩みだったのです。
ある時、体育の授業中の事です。
同じクラスの陸上部の女の子がいました。彼女はとっても優秀な選手で、大会ではすごく期待されていた人なのです。
彼女は、ちょっと意地悪な人でした。
運動が苦手だった文子は彼女と居るのが少し嫌いでした。なぜならば、彼女が意地悪な事を言うからです。
五十メートル走のタイムを計る時です。文子はその陸上部の女の子を見ていました。
彼女が嫌いだった文子は少しだけ、転んでしまえと思いました。