PINKのおいらロビー自治スレ3

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343ほのぼのえっちさん
弓をコンクリート床に突き立てた水瀬。
彼女はマントの内側から茶色い帯――空手や柔道の胴着に使われているような帯を取り出すと腰を捻る勢いだけで身に付ける。

「リフレクション・ツヴァイ!」
【UP DATE】

やたらと巻き舌な合成音を響かせつつ、いわゆる二段階変身というものが始まった。
背中と肩口をすっぽり覆っていた黒マントが、まるで花開くように二つ対の翼になった。
肩に少しばかり大きめの装甲が出現し、腕には漆黒色のガントレットが生えだしてくる。
またツインテールに結っていた紐が、ブラウン色のリボンに換装された。
そして手には上端と下端にブレードの付いた、接近戦でも凶悪な殺傷能力を発揮しそうな黄金の弓。
神々しさを放ちつつ、黒双翼の天使がそこに居た。

一方の七海は竜頭型手っ甲の上蓋をスライドさせると、そこへ一見して単三乾電池を思わせる物質を挿入。
「カシャコンッ」なんて音と共に蓋を閉めると竜の目に光が灯る。

「もういっこ、変身!」
【COMPLETE】

黄金色の手っ甲が啼いた。
白マントが失われて、引き替えに卵形の塊が背に二つ現れた。
塊は機械的な駆動音を唸らせつつ変形、それぞれ真っ白な光の翼を吐き出す。
マントの無くなった肩口には小さなショルダーパッド。
これが彼女の二段階変身。白い悪魔と恐れられる七海さんの本気の姿。

水瀬さんと七海さん。歴戦の変身ヒロイン二人は一瞬だけ目と目を合わせると、綺麗にハモるタイミングで口を開いた。

「「オーバークロック!!」」
【【Over Clocking!】】

同じタイミングで言ったものだから追随する合成音まで見事にマッチして、それがちょっと面白かったけれど。
ともかく白と黒、二つの輪郭が瞬間的に残像となってフロアいっぱいを駆け巡る。
二人が立ち止まった次の瞬間に、部屋で銃を構えていたはずの兵隊達がバタバタと倒れ込み、残されたのは女だけ。
蒼井聖は二人を睨み付けると「化け物め……」なんて呟くばかり。
死屍累々の中で、しかし女は気を取り直したように含み笑いするとそれぞれに距離を置く二人に言葉を投げかける。

「おかげで貴重な戦力が随分と減らされてしまったわ。一体どうしてくれるのかしら?」
「アンタが居なくなれば全て解決すると思うのだけど」
「ふふっ。そう、私と戦おうと言うのね。面白いわ、素敵なアイデアよ。けれど、上手くいくかしら?」

いちいち鼻につく仕草で胸元の黒い宝石を握り締めた女は、思い切りよく引きちぎってかざして見せた。
女の輪郭からどす黒い光が揺らめき立つ。
「サタナイズ・リフレクション……!」

その刹那、床と天井が真逆になった。
部屋の四方を囲む壁が剥がれ落ちて、その先に気色悪い紫色の空間が広がる。
それまで立っていた輪郭が闇に溶けて、次に巨大な爪が向こう側から闇を引き裂く。
出現した蒼井聖は真っ黒な衣装とオレンジ色の光を放つ金属爪に身を包んでいた。その目が赤く、怒りと憎しみの光を放っていた。
七海は、水瀬も、それを恐ろしい代物だと思った。