鬼子 「婆様、脚が痛い」
初代 「あ、ごめんね。直ぐに薬を持ってくるから」
鬼子 「うん」
婆様が立ち上がり、パタパタと部屋の奥に入っていく。
私はそんな光景を見て、少し嬉しかったりする。何時もはヒワイドリたちの世話のせいで構ってくれない
婆様だけど、今は独占できているからだ。言い付けを破ったのも、恥ずかしいが只の嫉妬からだ。
柴 「んぅ……うるさいよー」
柴が部屋の奥から瞼を擦りながら出てくる。この子は最近、狗神になったばかりの見習いだ。
力もなければ狛の様に色んな術を使えるわけでもない。今は本当に只の子供だ。
狛 「はぁ、起きちまったか。ほら、こっち来い」
柴 「ん……」
狛 「こらっ!袖を掴むな」
狛が柴を布団へと連れて行く。まるでお父さんだ。いや、見た目的にはお兄さんというのが正しいだろう。
初代 「はい、お薬持って来たからね。足だして」
鬼子 「ん」
初代 「沁みるけど我慢しなさいね」
少し緑がかった薬を痣の上に薄く塗られる。これは良く効く薬なのだが……代わりにしばらくビリビリと沁みる。
鬼子 「っ!」
初代 「あははー、やっぱり沁みたか。はい、我慢我慢」
肩を叩かれながら、胸中に抱え込まれるように引き寄せられる。
私は思わず手を背中に回して……ギュッと婆様の服を握りしめた。痛みを我慢しているのか、それとも
この時間が惜しいのか。私自身もハッキリと考えが纏まらないまま、体が動いていた。
初代 「あら、そんなに抱き締められたら苦しいよ鬼子」
鬼子 「ごめんなさい。でも、もう少しだけ……」
初代 「……はいはい」
それから、1時間ほど婆様に抱きついていたが婆様は何も言わずただずっと待っていてくれた。
やさしく背中を撫でながらずっと……
いやぁ、こんな感じでしばらく続けさせていただきたいと思います過去編を。
多分……過去編で殆どの謎を解決できたらと思っておりまする故、どうかお付き合いいただけたらと思います。
目に入ったら「あぁ、まだ書いてんのか」程度に生暖かい目で見守っていただけたら幸いです。
タイトル付けるの忘れてた……あと、初代の表記は婆様にするか迷った結果、初代にしますた。