PINKのおいらロビー自治スレ3

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320ほのぼのえっちさん
――ほんの昔のお話(視点変更。NEXT...鬼子)
鬼子 「はぁ……はぁ……」
    月明かりが照らす山の中を私は必死で走っている。唯一、皆がくれたお面を大事に抱えながら。
    後ろからは大勢の人が松明を持って追いかけてきている。私を捕まえるために。
    どうして、私は言いつけを守らなかったのだろう。婆様だってちゃんと言っていたはずだ。
    彼らは守る対象ではあっても、友人になれる対象ではない。彼らは私たちを憎んでいると。
村人A「見つけたぞぉ!」
村人B「追い込めぇ!捕まえれば手柄だぞ!」
村人C「手柄はオラのもんだ!」
    見つかってしまった。もっと早く走って……逃げなくちゃ!
鬼子 「あっ……あぅ!?」
    走りだした途端、木の根に足を取られ盛大にコケてしまう。 
    どうやら、今ので脚を痛めたみたいだ。立ち上がろうとすると右膝に強烈な痛みが走る。
村人B「コッチだ!こっちで声がしたんだ!」
鬼子 「あっ……」
    見つかったと思った瞬間、グイっと腕を引っ張られ獣道に無理矢理連れ込まれる。
?? 「たくっ……これだから世間知らずのお姫様は嫌なんだ」
鬼子 「こ、狛!」
狛   「頼むから面倒事は増やさないでくれ。さぁ、帰るぞ」
鬼子 「やだっ!帰らない!」
狛   「っ……無理矢理にでも連れて帰る」
鬼子 「やだ!」
狛   「鬼子……悪いな」
鬼子 「わわっ!?」
    ぐいっと抱えられ、肩に乗せられる。まるで大工さんが材木を運ぶ時みたいに。
鬼子 「離してよ!」
狛   「残念、さすがに婆さんの命令には逆らえないからな。無理やり帰るぞ」
鬼子 「むぅ……」
    結局、私はそのまま狛に抱えられながら家まで無理矢理に連れて帰られた。
初代 「どうして勝手に出たんですか!ちゃんと言っておいたでしょ!?」
鬼子 「ごめんなさい……」
初代 「それにですね、村人にまで追い掛けられるなんて……」
狛   「まぁまぁ、無事に帰ってきたんだしその辺で許してあげましょうよ」
初代 「はぁ……そうですね。鬼子、怪我は?」
鬼子 「え、えと……脚をちょっと」
初代 「えっ!?どこ?見せなさい!」
鬼子 「あっ、はい」
    着物をまくり上げ、痛めたと思われる右膝を見せる。
初代 「青痰が出来てるじゃない!ほんっとにもう!心配かけさせて!」
    グイっと引っ張られ、抱きしめられる。