PINKのおいらロビー自治スレ3

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309ほのぼのえっちさん
  事務所を出て、車で小一時間。千鬼山という山の麓に目的の店がある。
  千鬼山とは文字通り、千匹の鬼が支配していたと古書に記されていることから名が付いた。
  どうやら、色々と厄介な鬼が多種多様に渡って暮らしていて戦争も耐えなかったとか。
  それを見かねた坊さんが山自体を自らを引き替えに封印したとかどうとか。
  だけど、それから300年近く経った今、山では行方不明者が多数出ていることから立ち入り禁止になっている。
  俺も一度だけ調査という面目で入ったことがあるんだが……どうも気分が悪い場所だった。
  恐らくだが……千鬼山の広さから考えて、千匹の鬼が頭首になっているなど不可能だ。
  坊さんが封印したのは山ではなく、何処かから山に通じる通路なんではないかと……そしてその封印が解け始めた。
  まぁ、そんな事は今の俺には関係がないんだけどな。調査も依頼者が神隠しに遭ったから破棄したし……
  解決はしなければならないんだろうが……下手な干渉の仕方をすればアチラ側の住人を怒らせるからな。
  今はとりあえず”調査中”として、日輪に関連書物を探してもらっている最中だ。
  おっと、どうやら店の前に着いたらしい。
夜「着いたっス。合言葉覚えてるっスか?」
鳴「覚えてる覚えてる」
狛「え?なに?この店ってそんなにヤバい店なの?」
  狛が店の方を指差す。指の先には、今にも潰れそうな荒屋が立っていた。
  そして屋根の上には看板らしきものが乗っており、赤い文字で『秩天堂』と書かれている。
  ……名前的には某ゲーム会社に似てて危ないが、この店は世界的には活躍してないので気にしないでくれ。
鳴「いやいや、やばくないやばくない。普通の薬屋だよ」
狛「どんな?」
鳴「いやぁ……表では口に出して買えない薬も扱ってる」
狛「ヤバそうじゃねぇか!」
鳴「冗談。ただの薬屋だよ。近くの村の人も此処に来るんだから。俺達が買うのは裏物の薬。だから合言葉がある」
狛「そういう事か。素直に言っておいてくれよ。鬼子に変な薬を飲ませ……ってやっぱり裏物じゃないか!」
夜「心配しないで大丈夫っス。裏物は裏物でも、妖怪や神向けの薬って意味ッスから」
狛「なんだ……それなら良かった」
鳴「心配しすぎ。俺がそんなヤバい薬に手を出す奴には見えないだろ?」
狛「いや、お金に困ってとか。家賃払ってないらしいし」
鳴「失礼な。そこまで堕落してない。というかなんでその事を知ってるんだ?」
狛「ごめん」
  車を停めて店の中に入る。玄関の扉は建てつけが悪いのかホラー映画でよくある軋む音がする。
  それがまた怪しさ倍増の要因になっているらしく、狛が隠していた犬耳が頭に生えるほどだ。
  やべぇ……モッフモフしたい。凄い触りたい……っていけねぇいけねぇ。目的は促進剤なんだからな。狛の耳を触るんじゃない俺!