小日本が膨れる中、準備が整った辺りで開場の合図があり、人が流れてきた。
目的の場所へ早足の人に押され、ゆっくり見て回る人がギュウギュウと窮屈そうだ。
何人かの人が目を留めてくれているが、あまり手には取ってくれていない。
田中『鬼子ちゃん…出番よ!その魅惑の脚線美でお客さんを呼んで、お願い!』
鬼子『え〜とこうですか?いらっしゃいませ〜。ようこそおいで下さいました〜!』
田中『…その声がけじゃあ、旅館と同じじゃない?』
じゃあどうするのかと問う鬼子へ、色々ポーズをとらせてみる田中さん、
それを真似して隣で体を捻ってみる小日本。次第に本も売れ始め、数をへらしていく。
しかしほぼ売り切れた頃、購入した何人かが店へと戻り突然鬼子の足を撫で回した!
鬼子『きゃあ!!何をするんですか!…ってコレは心の鬼?!』
モモサワガエル『あっしはモモサワガエルと申します。本日はこちらの殿方の…ゲコ?』
自己紹介を終えるより先に、薙刀で萌え散らす鬼子。しかし後から後から湧いてくる。
鬼子『…え〜と、本当に田中さんの本の影響で?今日何冊売りましたっけ?』
田中『そうね…百冊はあったと思うけど、まさか全部こんな状態に?』
あちこちで太股を触られた女性達の悲鳴と、殴られた男の呻き声が聞こえ始めている。
見つけた側から切り祓うが、生み出す元も多いためなかなか数が減ってくれない。
田中『これ…若般さんにもばれるかなぁ。ともかく買ったお客さんを探すしか…』
三人が記憶を頼りに祓っては回収している中、不意に鬼子が振り向いた。
田中『??どうしたの、鬼子ちゃん?』
鬼子『強い…心の鬼の気配がします。こんな生まれたての奴の気配じゃないのが』
その方向で一瞬生まれでたモモサワガエルが、大きな口に飲まれて消える様子が見えた。
十六話完
(この時回収し損ねた本から何度でもモモサワが産まれてくる…って他と差が大きいか)