暑い。もうすぐ春だと言うのは分かっているが、事務所内が暑すぎる。
原因は分かっている。人数が増えすぎたせいだ。
狭い廃墟のビルを管理がてら借りているというのに……暑くて溶けちまうよ!
日「溶けないですよ」
鳴「読心!?」
日「心の鬼っていう肩書きを忘れてもらっちゃ困りますよ」
え?ということは今まで考えていたことをずっと見られてたってこと!?
恥ずかしい……
ヒ「あ、そうだ。鬼子」
鬼「なんだヒワイドリ」
ヒ「落し物です」
鬼「おぉー、ありがとう?」
ヒ「なぜ疑問形」
鬼「なんとなく」
出前の蕎麦を食べ終えた鬼子にヒワイドリが何かを渡していた。
目を凝らしてよく見てみると、もの凄い形相をした般若面。
え、怖い。大人というか24歳のお兄さんでも怖い。
鳴「ヒワイドリ。それ、何?」
ヒ「え?どれだよ?」
鳴「そのお面」
ヒ「あぁ、般若面ね。鬼子のお面だよ」
鳴「鬼子の?この事務所に来てからは付けてなかったぞ?」
ヒ「山で落としてたんだよ。それを俺のセンサーが発見したってわけさ」
鳴「あぁ、そういう事。変態センサーね」
ヒ「失礼な!愛ゆえにだ」
鳴「そんな一方的な愛は駄目だと思います」
ヒ「現在354万回振られてます」
鳴「ごめんなさい。お気持ちをお察しいたします」
ヒ「ありがとう……今夜、居酒屋で乳の話を聞いてくれるか?」
鳴「聞くわけねぇよ!」
ヒ「可哀想って思ってくれたんじゃないのか!?」
鳴「自業自得だ馬鹿鳥。さっさと鬼子を元に戻す方法を探すぞ」
足元でブーブー言いながら走り回ってる鳥は置いておいて……早く元に戻す方法を探さなくては。
三階の資料室に置いてたっけな。あー、探さないとな。