その光り輝く文字を見た人型の輩は・・・のけ反りながら後ずさりする。
「・・そ・・その文字は・・・古(いにしえ)の民・・・・・。
で・・・伝説の・・・・・龍の民か・・・・・・・・」
そう言いながら、輩の手の中の黒光りしている文字が渦を巻きだした。
般若は、大声で叫ぶ!
≪「速くしろーーーーヒワイーーーーーーーーーーーーーー!!!」≫
般若は力を解放した。
【ドォーーーーーーン】
白いお餅を縦に伸ばした様な般若が・・・人型に変っていく・・・。
黒色の袴姿。解放した力の波に激しくたなびく金色の長い髪。
口からは・・・黒い妖気が溢れ出している。
そして、紅色と金色の瞳で輩を凝視していた。
●挿絵9
http://pinktower.com/dl8.getuploader.com/g/oniko3/59/12-9.jpg 般若の黒い強大な妖気に、波打ち引き裂かれる輩の皮膚。
その波が、結界を張ってある所まで一瞬に飛んで来た。
結界の中から、ヒワイドリ達に手を差しのべる音麻呂達。
ヒワイドリは、間に合わないと感づいた。そして、鬼子と秀吉を結界の中に力一杯放り込んだ。
音麻呂達は、鬼子と秀吉を抱きかかえながら倒れこむ。少し遅れ、ヒワイドリも結界の中に飛び込んだ。
その瞬間、般若の解放した力が結界を貫く。その時、ヒワイドリの足はまだ結界の外にあった。
人型の輩の皮膚は引き裂かれ、タダレ落ちていたが、構わず般若に襲いかかって来た。
【ドゥン・・・・・】
一瞬にして塵(ちり)となる輩。
輩が塵となり消えていきながら、ポツリと言葉を発した。
「・・・な・・何故だ・・・。鬼の民と・・・龍の民は一緒にいる事が出来ないはず・・・。
ぁあ・・まさか・・・。あいつは・・龍の民の・・しかも唯一の虐げられし者の・・・・・・」
そう言いながら、人型の輩は消えていった・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
空から、赤黒い雨が降り出してきている。
そんな中、般若は・・・中に浮きながら人型の般若の身体が輝いている。
のけ反りながらユックリと下へ落ちていく。一瞬、般若の力が暴走し鬼の民が実体化するが
すぐに消えて無くなってしまった。
●挿絵10
http://pinktower.com/dl8.getuploader.com/g/oniko3/60/12-10.jpg 人型の般若から、お餅型の般若に・・・
・・・・・・・・・そして・・・般若面になりながら落ちていく。
「・・・我墜ちて・・・守護神なり・・・」
【コトン・・・】
地面に落ちた般若面は全く動かない。
結界の中にいる鬼子達は・・・皆気絶していた・・・。
投下終り。
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第十三章〜【いつもの自分で】に続く。
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