ヒワイドリの額から、冷や汗が流れ落ちる。
情け無さそうな表情で鬼子の方を見た。
「じゅ・・呪縛が・・・」
≪「ヒワイ!!下がって!!」≫
鬼子がそう叫ぶ。
カマキリ型の輩が襲いかかって来たのだ。
ヒワイドリはまた人型に変り、とっさにしゃがみ込んだ。
その背中をかすめる様に、輩の長い腕が飛んでいく。
鬼子が輩の近くに素早く走り込む。そして薙刀を力一杯振上げた。
【ズバーーーン】
・・・空を切る薙刀。その鬼子めがけて輩の長い手が飛んでくる。
鬼子は、薙刀を振り切った勢いで体勢を整える事が出来ずにいた。
【ドンッ】
ヒワイドリが鬼子に体当たりして突き飛ばす。
鬼子の身代わり・・の様な形になってしまったヒワイドリめがけて、
輩の手が・・・。
【ガシーーーン】
ヒワイドリの頭にかすかに当った。脳震盪を起こしその場に膝を着くヒワイドリ。
カマキリ型の輩が、両手と前足2本で再びヒワイドリを襲う。
それを見ていた鬼子が叫んだ。
≪「ヒワイーーーーー」≫
【ガキーーーーン・・・】
鈍い金属音が鳴り響く。
輩の長い手足が、ヒワイドリの目の前で止まっている。
ヒワイドリが首に巻いていた羽付きファーが、硬く鋭くなり七支刀の形になっている。
七支刀は2本出現し、それが鎖と紐で繋がっていた。
●挿絵5
http://pinktower.com/dl8.getuploader.com/g/oniko3/55/12-5.jpg それを使ってヒワイドリ自身が、輩の手足を止めたのだ。額から血を流しながら。
「・・そうか・・・昔、こんな武器も使ってたよなぁ・・・」
輩の手足が、そのままヒワイドリを押しつぶそうとしている。
鬼子は、ヒワイドリを助けようとカマキリの様な輩に近づいて行くが、
輩の他の足に阻まれている。
押し潰されそうになるヒワイドリ。鬼子は強引にヒワイドリの方へと走って行った。
輩の足が、鬼子めがけてかすめ飛ぶ。鬼子の紅い目が、その動きを読み取ろうとしていた。
そして、薙刀を振りかざす。
【ザシュ・・】
鬼子が、何とか輩の足一本を切り裂いた。
ヒワイドリを押し潰そうとしていた輩の手足がかすかに緩む。
その隙に、鬼子はヒワイドリの腕を掴み、外へと飛び出した。
【ドガッ・・・】
・・・鬼子の頭から、血が流れ出す・・・。
輩の鞭の様にしなる手が・・・鬼子の頭に直撃したのだ。
ヒワイドリの目の前で、倒れていく鬼子。彼は、手を差しのべ鬼子を抱きしめた。
ヒワイドリが鬼子を見ると・・・輩の強い一撃で、気絶していた・・・。
「・・お・・・俺なんか・・助ける価値なんてないのに・・・」
カマキリ型の輩が、ヒワイドリ達を再度襲い始めた。
・・長い・・輩の手足が・・・、身動き取れない彼等めがけて飛んでいく。
ヒワイドリは・・・鬼子を抱きしめたまま・・その場を動けないでいた。
彼は・・・黒い空を見上げ・・・力一杯叫ぶしか出来なかった。
≪「は・・・般若ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」≫
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