その様子を見ていたヒワイドリが何かに気付く。そして手を上げ指した。
「あ・・あれ・・。あの輩の後ろに3匹目の輩が・・・」
その3匹目の輩の姿も大きく、トカゲと狼を合わせた様な姿をしていた。
「も・・もう駄目だ。般若、鬼子を助けに行こうよ」
ヒワイドリは真剣な表情で、般若にそう言った。
しかし・・般若の答えは・・・。
「・・・まだだ」
般若を酷く睨むヒワイドリ。
「き・・・貴様〜・・・」
そして握り拳を作りながら叫んだ。
≪「鬼子を見殺しにする気かーーーーーーーーーーーーーー!!」≫
そう叫びながら、ヒワイドリは結界から出て、鬼子の元に走って行った。
「は・・・般若・・さん」
そう声をかけて来たのは音麻呂だった。
「俺も行きます。これは・・・どう見ても鬼子ちゃんには不利ですよ・・・。
俺達の力が弱いのは解ってます。だけど、これじゃぁ・・・」
般若は腕組しながら語った。
「駄目じゃ。お主等が行くと、鬼子は必ず守ろうとする・・・。
今のあの表情では、自分の身を犠牲にしてまでもな。お主等にはそれが解ると思うがの」
音麻呂達4人は、般若の言葉は直ぐに理解できた。彼等もまた神職に精通する身。
鬼子の目からは、それが非常に解りやすく読み取れていたのである。
「大丈夫じゃ・・・・・。そん時はワシが出る」
般若はそう語り彼等の動揺を抑えた。
ヒワイドリが、怒りに満ち溢れている鬼子の目の前に飛び出てきた。
切羽詰った状況に似合わない笑顔のヒワイドリ。
「よ!助けに来たぜ」
「ヒ・・ヒワイ・・」
少しばかり鬼子の目の色が変わり、落ち着きを取り戻す。
そしてとっさに輩から離れる鬼子。ヒワイドリもそれに付いていった。
「あ!あの輩は・・!?」
鬼子はやっと、3匹目の輩に気が付いた。
「だろ〜。全然気付いて無かっただろ。もうチョッとで殺される所だったぜ」
「・・・な・・何であんたまでココに来たの?」
「何でって・・・助けに来たんだろ」
「た・・助けにって・・・足手まといになんないでよ・・・」
邪魔だな〜と言いたげな表情の鬼子。そんな鬼子をよそに、ヒワイドリは腕まくりしている。
そして、ヒワイドリは鬼子の方を見て言った。
「で・・・どうやって倒そうか・・?」
鬼子は口をアングリと開ける。やっぱり・・今のヒワイドリは
呪縛を解く前のヒワイドリと性格が同じだった・・・。
頭をかきむしりながら鬼子は言う。
「あの手足の長い輩は、接近戦に弱いみたい。でも・・・その中に入るまでが危険なの・・」
「接近戦に弱い・・・か」
ヒワイドリは【ニヤッ】っと笑った。
「よ〜し。見とけよ鬼子」
そうヒワイドリは言いながら、目の前に両手をかざした。
すると、ヒワイドリの回りの空気が渦を巻く。髪の毛と着物が激しく舞い上がった。
【ブワアァ〜〜〜】
●挿絵3
http://pinktower.com/dl8.getuploader.com/g/oniko3/53/12-3.jpg 【プッスン・・】
●挿絵4
http://pinktower.com/dl8.getuploader.com/g/oniko3/54/12-4.jpg 「あ・・・あれ・・・???」
ヒワイドリの姿が・・・弱々しい鶏に変わって・・・。
鬼子が後ろでこけている・・・。