PINKのおいらロビー自治スレ3

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257ほのぼのえっちさん
鬼子にとってはどれも見た事が無い風景、事柄である自然に顔もほころぶ−が、一瞬心の鬼の強い気配を感じた気がして振り向く。
田中『どうしたの?急に?』
鬼子『いえ、何か嫌な気配を感じた気がして…でも気のせいみたいです』
そう、その視線の先には何も無かった。ドロドロとした心のモヤも、集中した人が見せる気配も『全く何も無かった』のだ。
田中『そろそろお腹空いてない?ご飯食べようよ』
二人はカフェに入ると向かい合わせに座った。普段は御飯派な鬼子も、郷に入っては従い洋食を前にする。
鬼子『あの…本当にこんな感じで、自分の中に潜んだ鬼を制御出来るんですか?』
田中『また考えていたの?一体何を抱えているのか知らないけど、考えすぎは良くないよ。私なんて気が向いた時に集中してるだけだし』
鬼子『…私の場合は、本当に鬼が憑いてしまったんです。『道引鬼』という鬼の世界へ引きずり込む悪鬼で、今は若般さんが封じてくれてますが、
   もし怒りに任せて力を振るえば、その鬼さえも開放されて私が鬼の道へと落ちてしまうかも知れないんです。だから…』
田中『じゃあ、落ちちゃえば?』
鬼子『え!そんな事したら私は人に害を成すかもしれないんですよ!前に同種の『囁鬼』に引き込まれた先々代の…』
田中『ゴチャゴチャ考えてないで、自分で選んじゃえって言ってるの。今日は私と一緒に遊ぶって『人の道』を選んだ、
   明日は違う考えが生まれるかもしれない、いつかそれに答えを出して、自分で選べば良いじゃない』
鬼子『本当にそれで大丈夫なんでしょうか…若般さんもかなり警戒されてますし、うちの本家でも…』
田中『全然関係ないよ。若般さん時々酷いんだよ?私が全力で描くと「人を惑わすかもしれない」って控えめにやれって言うんだ。
   でも私は本気で描く。それは自分で選んだ道だし、誰にも止めさせたくない。だから私は一人で住んでるし周りも気にしない』
鬼子『強いんですね。私もそれ位強くなれるでしょうか?』
田中『あんまり気負いしすぎなきゃなれるんじゃない?他人のためだけに自分が居るわけじゃないし、楽しみなよ』
鬼子『はい。有難うございます』
二人はその後も街中でゲームセンターやらで遊び、旅館の前まできた。一日全然構って貰えなかった小日本が膨れている。
田中『最初に本買ったのは失敗だったわ。重くてもうヘトヘト…』
鬼子『またご一緒させて下さいね。本日は有難うございます』
その場で深くお辞儀をする鬼子に苦笑いしながら、田中さんは手を振りながら帰っていった。