新宿駅北口付近
深夜1時。まだ活気がある街にに銃声と悲鳴が絶えず鳴り響いている。
発砲目標は3mを超えるであろう巨大な鬼。
「ちっ!本部は何をしてるんだ!これ以上は防護結界が持たないぞ!」
「もう少しで特殊部隊が来るはずなんです!」
「待っていたら被害は増大するぞ!ここで仕留めることが出来ればっ!」
「無理です!装備が足りません!」
「なら奴もろとも俺が!」
「む、無理ですって!」
――遅れてすまない。こちら特殊作戦部隊。目標を視認した。作戦行動に移る。地上部隊は避難を。
隊長であろう男を抑えている兵士に無線が入る。
上空にはヘリが見えている。全滅はしなくて良さそうだと兵士が胸を撫で下ろす。
「隊長!特殊部隊です。結界を維持したまま避難しましょう」
「やっとか……生存者に通達!防護結界を維持したまま鬼から距離を取れ!結界が薄くなっても構わん!」
ヘリ内部
「パイロットさん。もっと近づけない?」
ヘリから長髪の女性が目標である鬼を覗き込むようにして見ながらパイロットに相談する。
どうやら、彼女は人ではないようだ。頭部に二本の小さな角を生やしている。
「パイロットじゃない。監視員だ」
「どっちでも良いじゃない。それよりこれ以上は近づけないの?」
「不可能だ。これ以上近づけば、結界が崩壊する。被害が増えるのはゴメンだ」
「それじゃあ、私は部隊が全滅するのを見ていますね。可哀想に……」
ヘリを操縦している男が被っているヘルメットを外し頭を掻き毟る。
どうやら相当悩んでいるようだが決心したようだ。
「あっー!どうなっても知らんからな!くそっ、なんでこんな仕事を請け負ったんだ俺は……」
「愚痴るなら無事に退治してからにしてね」
「分かってるよ」
ガクンッとヘリが一度旋回し急降下を始める。
まるでジェットコースターのように体が浮いている気分がする。
「まだ、あと少し……」
「これ以上は墜落する!」
「ありがとね。監視員さん」