小日本がハンニャーを抱えながら、地図に書かれた家へと向かう鬼子達。
ハンニャー『そこに住んでる子はね、去年に図書館の絵画コンクールへ応募してくれた子だったんだけど…』
鬼子『何があったんですか?』
ハンニャー『その子が描いた絵を見た男の人たちが、揃って係員さんのお尻に痴漢をしてったのよ』
鬼子『それって…観た者が心の鬼に憑かれた、って事ですか?』
ハンニャー『そうね。…着いたわ、ここよ』
古びたアパートの二階、下手すればお化けでも出そうな程ボロくなったアパートに辿り着いた。
第十三話:現代の鬼絵師、匠ちゃん
ピンポーン…。インターホンを押しても、何の反応も無い。奥からは何かの音楽が聞こえてくる。
ハンニャー『しょうがないわね…。ちょっと窓から回ってくるから少し待ってて』
小日本の腕から屋根に上げられると、ベランダ側へと降りたハンニャーはガラスを爪で掻き、不快な音をたてる。
ハンニャー『田中さん、開けて頂戴。前に言ってた鬼子ちゃんを連れてきたわよ』
呼ばれた田中さんは、窓を開けて玄関の方へと向かう。
ガチャリと扉が開くと、そこには鬼子と同年代の女子が立っていた…。
田中『あの…あなたが鬼子さん?本当に角があるの?若般さんみたいに霊能力があるって本当?』
ハンニャー『あのねぇ、そんなに一度に聞いたら誰だって答えられないわよ。もう少し落ち着きなさい』
突然の質問攻めに鬼子はキョトンとしているが、それを遮って小日本が質問を返す。
小日本『ネネさまがいつも言ってたよ!まずは相手に尋ねようとする人がなのりなさい!って』
得意げな顔で胸を張る小日本は、少し大人になったと思って嬉しいのであろう、自信満々な顔だ。
田中『これはこれはお嬢様、失礼を致しました。私の名前は田中匠と申します。一介の絵描きでございまして、
そちらにおられます若般様にお世話になって依頼、時折絵を見て貰ったりしている者でございます』
小日本『あたしの名前は小日本、こちらにいるネネさま…日本鬼子よりお名前をお借りしました居候でございます』
真似をして、小日本が少し威張り気味に自己紹介するが、すかさず突っ込みが入る。
鬼子『小日本、居候はそんなに誇れる事じゃないのよ?柚子さんの優しさに感謝しなきゃ…。
私は、日本鬼子と申します。そちらの若般さんに鬼祓いの修行をつけて頂き、現在もその鬼祓いを生業としております』