PINKのおいらロビー自治スレ3

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243ほのぼのえっちさん
詠麻呂が奏麻呂からヒワイドリを取り上げようと、足を引っ張った。
すると、負けじと奏麻呂も首を引っ張る・・・。
「私のよ〜返してよ〜」
「あんた独り占めする気?貸しなさいよ」
と声を掛け合いながら、ヒワイドリを引っ張り合いしている。
息が出来ない状態で、引っ張られるヒワイドリ。彼には・・もう意識は無かった。
強い・・とても強い人達だ・・・。と鬼子は思った。
ヒワイな言葉を受け流し、自らそれを楽しんでいる・・・。
鬼子には到底真似出来ない光の世の力だ・・・。
歌麻呂、音麻呂もその光景を見てケラケラ笑っていた。
そんな楽しい?時間が過ぎ、車は小さなお寺へと着いた。

 本当に小さなお寺だ。本堂と、ここの神主が寝泊りしている建物だけある。鬼狐神社とは全然違う。
参拝客も見当たらない。車の音に気付いたのか、お寺からカラフルな洋服を着た人が出てきた。
鬼子達は、車から降りてその人物に挨拶をする。
ヒワイドリは・・・鶏の姿で、助手席で気を失ったままだ。
「いやぁ〜よう来なすった来なすった。鬼狐神社の人と、響ちゃん所の人達だね!」
出迎えてくれたのは、腰が曲がった見た目80歳過ぎくらいのお爺さん。
白いヒゲが長く伸びた神主さんなのだが、着ている服が・・・
赤、黄、青と・・・原色に近い色の洋服を着ている。
「わしゃぁ〜ココを守っとる神主で、鷲の民の鈴木ちゃんっちゅーんじゃ。宜しくな」
【ちゃん・・・って・・】と皆思い苦笑いしているが、
鬼子の目の色が変わる。もちろん他の皆も同じだ。
「宜しくお願いします。私はひのもと鬼子です」
他の者も挨拶をしたが、頭の中には、“鷲の民”と言う言葉がこだましている。
光の世の民の人達はもちろん、鬼子も鷲の民を見るのは初めてなのだ。
「鈴木ちゃん!鷲の民になってちょうだい!」
奏麻呂が飛び出して行き、そのお爺さんである鈴木ちゃんにそう言った。
怒られると思った鬼子と秀吉は肩を少しすぼめ、鈴木ちゃん(お爺さん)を伺うように見ていた。
鈴木ちゃん(お爺さん)は・・・超ニコニコ顔だった。
「おぉ〜う。えぇじゃろ。その代わりアンタ等のサインをちょうだいな。
 わしゃぁ〜詠ちゃん奏ちゃん2人の大ファンなんじゃ。ダハハハハ〜」
「ぇえ〜私達の事を知ってるんですか?ラッキー!」
秀吉が小さく手を伸ばす。目の前の状況が、心の鬼に取り付かれ悪しき輩となった話題とは、
正反対のミーハーな話しになっていたからだ。
「あ・・あのぅ、鈴木さん・・・」
秀吉の声は、鈴木ちゃん(お爺さん)に全く届かない。
「よ〜し!見ておれ」
と、鈴木ちゃん(お爺さん)は言いながら念を軽く込めた。
【バシュー】
凄まじい音とともに、鈴木ちゃん(お爺さん)の姿が変わっていく。
この世の者では無いとてつもない威圧感の有る形相。鋭い爪とクチバシ。鬼子達を覆う様な大きな体と翼。
鷲の形はしているが、どこと無く人間の形も残している。
そして、何より鷲が持ち得る強大な力が、鬼子達を震わせていた。
腰の曲がった先ほどの弱々しい姿はどこにも見当たらない。
「す・・・すごい・・・。こんな事があるなんて・・・」
鬼子は鷲の姿になった鈴木ちゃん(お爺さん)を呆然と見上げていた。