秀吉は笑顔だ。ヒワイドリが起きた事により鬼子は今、悪しき輩の事を忘れている。
「あ、ヒワイドリ。ニワトリの姿じゃ今後街中一緒に歩きずらいから、元の姿に戻ってろって
狐火様が言ってたぞ。それと、悪さをするなともね」
「そっかぁ〜。ダハハハハ〜。オレの天下だ。オレ様の天下だぁ〜!!!」
ヒワイドリは目から炎を上げている様に、上を向いて天を仰いでいる。車の中だが。
「ヒワイドリ、悪さしようとしたらその時点で消すからな」
と、鬼子の袂から聞きなれたガサツな声が聞こえてきた。般若だ。
「や、やっぱりいたのね・・・。そ・・・そんな事少しも考えて無いよ・・・。
ただちょっと吠えてみただけさ・・・」
ヒワイドリは冷や汗をながしながらそう言った。
「じゃぁ元の姿に戻るか」
そう言ってヒワイドリは、少し念を貯めた。
【シュフォ〜ッ】
ヒワイドリの周りに念の渦が出来る。車の中はその渦の風で紙切れや荷物などが浮き上がり
渦を巻いている。
「ちょ・・ちょっと、もう少し・・・」
と鬼子が言うと同時に、
【バシュー】
車の中が光に包まれ、車が・・・高速道路のアスファルトから一メートルくらい浮いてしまう。
【キキキキ〜〜〜】
慌てた秀吉が何とか車を立て直そうと必死に無言でハンドル操作している。
「こ、こら〜ヒワイドリ〜〜〜」
鬼子の叫び声が車の中に響き渡るが・・・どうしようもなかった。
【キキ〜〜キキ〜〜〜】
秀吉はやっと車を立て直したが、涙目になりハンドルにしがみ付いている。
もちろん鬼子も、涙目に・・・。
ヒワイドリは・・・自分の頭を天井に打ちつけ、抱え込んでいた・・・。
「いって〜〜〜・・・。ごめん。久しぶりだから力加減を間違えちゃった・・・」
元に戻ったヒワイドリの姿は、白髪に一部赤い髪が混じっている。
そして白色を基調とした着物姿に変わっていた。
鬼子は薙刀で突きながら言う。
「あんたねぇ〜・・・ほんっとに厄介者だわ。きび爺は何でこんな奴と一緒に行けって
行ったんだか・・・」
「う、うるせい。仕方ないだろ。本当に久しぶりだったんだから」
「で、あんたは元々何の民だったのよ?」
「ん〜〜〜・・・。思いだせん。完全には呪縛を解いてもらって無いみたいだからなぁ・・・」
「あ、それより鬼子!」
「ん゛?何よ・・・」
「乳の話しでもしようじゃないか」
【プッス】
薙刀がヒワイドリの眉間に突き刺さる。
「お・・・鬼子。それ以上力を入れないでね・・・。
オレ、死んじゃうから」
「ふん。役立たずが」
車はそんな皆を乗せ、高速道路を降りて行った。