長野県赤十字血液センター(長野市)の宮川幸昭所長が、6月に移動献血バスで採血の可否を判断する検診を担当した際、
事前の問診で採血できないと分かった女性を採血可能と判断し、この女性は実際に採血されていたことが11日、分かった。
センター内で問題化し、女性から採取した血液200ミリリットルは流通しなかったが、日本赤十字社(東京)は「正しくない判断で、近日中に指導する」としている。
同センターによると、女性は勤め先を訪れた移動献血バスで献血しようとして問診票に記入。
6カ月以内に新たな異性との性的接触があったかなどを問う項目で、あったと答えた。日赤は全献血の各種ウイルス検査を実施しているが、
エイズウイルスなどの感染初期は検出されないことがあるため、この項目に該当する人からは採血しないという。
だが、宮川所長は女性と面談した後に採血可能と判断。
問診票を見た採血の担当職員が問い合わせたが、所長は採血を指示したという。ただ、その後に担当者会議などで検討した結果、この女性の血液は流通差し止めが必要と決定。女性にも連絡したという。
同センターの斉藤敏事務部長は「あってはならない判断で、今後、担当者の教育訓練を徹底して再発防止に務めたい」としている。
日本赤十字社血液事業本部の斉藤利隆参事は「間違った判断で、女性から無駄な採血をしてしまい大変申し訳ない」と話した。