ですが、聞き入れられませんでした。
そして、始まりました。とっても苦しい、とっても凄惨な。それは彼らにとっても、命懸けの事でした。自分達を守る為でした。
文子は寄ってたかって叩かれました。お腹が凄く痛くなりました。すごく喉が渇きました。内蔵が破裂したのです。
頭は皮がべろんと剥がれるほど叩かれました。頭の形が変わっていました。頭蓋骨が割れて、脳みそが少し出ていました。
腕は間接が増えたかのようになっていました。指はまるで投げ出された手袋のようになっていました。
それでも、文子は生きていました。
彼女は思ったのです。生きたい。死にたくない……! と……。
だから文子は死にませんでした。でも、そのせいで普通では考えられない苦痛を味わう事になったのです。
皆は言いました。やっぱり化け物だ。人間じゃ無いと。
大好きだった彼がポリタンクを持ってきました。灯油が入っていました。
それを、文子にかけました。
文子は察知しました。これから生きたまま焼かれるのだと。そして、文子は焼かれました。
それでもなお。文子は死にません。生きたかったからです。ずっとずっと、真っ黒焦げになるまで。
文子の身体は、焼かれた人が取るポーズをとって動かなくなりました。
文子は考えました。もう身体は使えないと。
文子は考えました。なぜ私がこんなに苦しむのかと。
文子は考えました。みんな大嫌いだと。
皆は真っ黒焦げの文子を見ました。
死んだと思ったのです。ところが、皆は驚きました。
真っ黒焦げの文子の顔は、笑っていたのです。
とってもおぞましい笑みを浮かべたまま、真っ黒な顔で固まっていました。
皆は穴を掘ってそれを埋めました。場所は今は誰も知りません。誰も答えられないのです。
何故ならば、その次の日には、クラス全員の子が行方不明になってしまったからです。
当然、その前に何があったのか、知る人は誰も居ませんでした。
※ ※ ※
……以上よ。
これはあくまで噂話よ。本当にこんな酷い事があったのかなんて信じられる?