彼女は走りました。
とても脚が速い女の子でした。彼女は半分ほど進んだ所で、突然転んでしまいました。
足首をくじいて、骨折してしまったようでした。そして彼女は、陸上部を辞める事になりました。
文子はある日、恋をしました。
同じクラスの男子生徒の事を好きになりました。彼の事を考えると、つい頭がぼーっとなってしまいます。
授業中でもついついぼーっとしたりしてしまいます。
窓ガラスががたがたと揺れました。
壁に貼られた生徒達の書がばさばさと落ちました。
黒板の前のチョークが白い粉を出しながら割れました。
文子はずっとぼーっとしていました。ずっと彼の事だけを考えていたのです。
彼はその日、体調を崩して早退しました。それでも文子は彼の事を考えてしたのです。
クラスのみんなが文子を見ていました。
先生に呼ばれて職員室に行きました。校長先生や教頭先生もいました。
みんな、なんとかならないかと言っていました。どうにかならないかととっても悩んでいたのです。
しかし。文子には何事か解りませんでした。
先生たちは、この娘は大事な娘だからと言いました。
次の日、お昼休みに文子は大好きだった彼から放課後に会いたいと言われました。
文子は喜びました。とても喜んだのです。大好きな彼に誘われるなんて、まるで夢のようなお話だったのです。文子はわくわくしながら、放課後を待ちました。
そして、放課後です。
文子は喜んで言われた場所に行きました。学園の隅にある、まるでジャングルのような所です。
彼はいました。ですが、あの大好きだった笑顔じゃありませんでした。
他の人も居ました。たくさんたくさんいました。よくみると、文子のクラスの人達が全員揃っていました。
文子は言われました。化け物とか、悪魔とか。
大好きだった彼は文子の想いに気付いていました。文子がかんがえた事は、文子が意識した人に全て伝わっていたのです。
陸上部の彼女も居ました。彼女は転んだ理由が文子だと言っていました。
文子は否定しました。だって文子は、とても普通の女の子なのです。