誘いを断ったのはデートのため。
デートの相手は私の大好きな人。
知ってたはずなのに。
分かってたくせに。
信頼していたのに。
何を言っても受け入れてくれてたのに。
それなのに。
こんな形で。
親友は。
大好きなのに。
応援してくれてると。
想ってたのに。
嘘だったの?
騙してたの?
ひどい。
ヒドイ。
酷い。
どうして?
どうして?
どうして?
どうして奪ったの?
どうして踏みにじったの?
どうして? どうして? どうして?
どうして裏切ったの?
私の全部を受け止めてくれるフリをして、本当は。
嘲笑ってたの?
たった一人の親友に対する信頼と情愛は、同じだけの憎悪と嫌悪に反転したわ。
それでも女の子は、その感情を外に爆発させられなかった。
だって、女の子は。
男の子が大好きだったんだもの。
もしも親友にこの感情をぶつけてしまったら、男の子に嫌われてしまうと。
そう、恐れたから。
男の子に嫌われたくないと、願ってしまったから。
だから。
女の子は外に感情をぶつけられず、持て余す感情を昇華できず抱え込んだまま。
手首を、切ったんですって。
残り少ない日記に血で文字を書いて。
女の子は、息を引き取ったそうよ。
――くすくすくす。
嫌われることを恐れる必要なんてないのにね。
結局、恋は叶わないのだから。
それにしても。
同じクラスの男の子を大好きな女の子がいて。
女の子には、相談を持ちかける親友がいるなんて。
なんだか、似てるわね?
これってきっと、よくある話かもしれないって、そう思わない?
――くすくすくす。
――くすくすくすくす。
――くすくすくすくすくすくす。