PINKのおいらロビー自治スレ3

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219ほのぼのえっちさん
 眼鏡がよく似合う、大人しい恋する女の子のお話をするわね。
 女の子が恋していたのは、同じクラスの男の子。
 彼は爽やかで格好いい、バスケ部のエースだったの。

 そんな男の子だもの、当たり前のように女の子の人気を集めたわ。
 ライバルも多くて、彼と恋人になれるなんてとても思っていなかった。
 彼と特別仲がよかったわけじゃない女の子は、いつも彼を眺めるだけだった。
 他の女の子と、楽しそうに話す彼を、いつも眺めていた。
 恋心と嫉妬をこね合わせた視線を、いつも彼に送っていた。

 女の子は、とても人見知りが激しかったの。
 だから彼に声もかけられなかったし、友達も少なかった。
 でも、親友と呼べる子が一人いたわ。
 女の子は親友に、自分の感情を吐露することが多かった。
 それは相談だったり、愚痴だったり。
 親友はいつだって、女の子の感情を受け止めた。
 たまに、困ったような顔や苦笑いを浮かべることはあったけれど。
 反論することもなく、批判することもなく、ただただ女の子の全てを肯定し受け入れたの。  

 それが女の子には心地よかった。安心できた。信頼できた。
 女の子は親友が大好きで、心から感謝していた。
 だからあるお休みの日に、お礼をしたくて、親友を遊びに誘ったわ。
 親友が見たいと言っていた映画を見て、親友のお気に入りのお店で美味しいケーキを食べて、いつもありがとうと言おうと思った。
 けれどその誘いは、残念なことに断られてしまったの。

 どうしても外せない用事があるから、と。

 女の子はがっかりしてしまったけど、都合が悪いなら仕方ないと思い、次のお休みに約束をしたの。
 そして、お休みの日はやってきたわ。
 親友にお礼をするはずだったその日に、女の子は一人で時間を過ごしていた。
 女の子は、日記を付けていたの。
 その日記が残り少ないことに気がついた女の子は、日記帳を買いに町へ出たわ。
 駅前に着いたとき、女の子は見つけるの。

 背が高い、大好きな男の子の姿と。 
 
 その隣に寄り添う、気合の入ったお化粧をして、可愛い服でおめかしをした親友を。
 
 楽しそうで幸せそうで仲睦まじそうな、誰もがカップルだと信じて疑わないような雰囲気で、二人は。
 女の子に気付くことなく、遠ざかって行ったの。
 
 それから、女の子はどうやって家に帰ったのか覚えていなかった。
 たった一人、女の子は、自分の部屋で茫然としていた。
 想っていたのは、男の子のことではなく親友のこと。
 持て余す感情のままに、とりとめもまとまりもなく、ただただ、想ったのよ。