PINKのおいらロビー自治スレ3

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174ほのぼのえっちさん
 ととろへのフォローが入りつつ、ついついお喋りに夢中になっている懐は周りへの集中を欠いている。そして、それこそが罠である。いかにこのバカを引き止めるかが彼らの狙いだったのだ。

「あの〜ところで?」
「え? 何何何なに?」
「後ろ見て?」
「うしろ?」

 振り向く。視界に入ったのはぬりかべ、では無く肉の壁。
 真っ黒なタンクトップの恐らく鳩尾から上あたりが見える。少し上を見たらば、高校生とは思えぬ超巨体。仁科運動部系の超人達の一人。重量挙げ部、重利挙!

「こいつは――」
「ようやく捕まえたぞ。まったく神出鬼没にも程があるって物だ」
「捕まえる?」
「ちょっと頼まれてな。何かは知らんが、大人しくお縄に付け。黒鉄懐」
「んだとぉ〜!?」

 そこでがばっと振り返る。ロニコが「ゴメンね〜」と言って手を振っていた。「騙された!」そう思っても時既に遅し。
 こうなればたいがいの人間は腹が立つだろう。
 もちろん懐も同様であり、あまつさえ先日激しくバトルしたばかりである。燻っていた物が再び燃え上がる。
 ちょうどいい鬱憤晴らしだ! そう思い、さらに振り返りつつアゲルの鳩尾に自慢の腕力を活かしたスウィングブローをぶち込む! が、今回は相手が悪すぎた模様です。

「……。え〜っと、アゲル君? お腹にタイヤでも入れてるのかナ……?」
「えい」

 ビンタ一発。

「ぶぼぁあ!」

 ティッシュのように吹き飛ぶ懐。パワーが違いすぎる。「あ、殺すなって言われてた」そう言ったように聞こえた。つまりその気なら殺せたって事かい。吹き飛びながら懐は考える。
 そして吹き飛んだ懐を受け止めたのは、これまた肉の塊。彼の顔は懐もよく知っていた。同じクラスの人物だったのだ。

「てめぇ……。ノビル!」
「すまんな懐。俺達のサプリ代の為、犠牲になって貰うぞ」
「何!? まさかお前等……! 黒幕は誰だ!」
「迫先輩だよ。どうしても会いたいそうだ」
「やっぱりか! この野郎、モノで釣られるとは情けな……うわぁああ!」