PINKのおいらロビー自治スレ3

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171ほのぼのえっちさん
 第九話:【fate is driving hard】



 太陽光線。ギラギラ光るアスファルト。
 音。蝉の大合唱。
 遥か彼方。にょきにょき伸びるでっかい入道雲。

 夏でした。ただ生きるのも辛い程の気温の高さ。アイスクリームは買った側から液状化。冷たいジュースは駆け足で生温く。
 夏真っ盛り。そして、青春ど真ん中の少年少女がわくわくする季節。

 屋上。人っ気無し。否。二人組だけ。
 一人は額に絆創膏。顔は青アザ。敗れ去った後。
 もう一人は珍しいリボンの結び方した女の子。

「……元気だせよ」
「……」
「なんか言え」
「……。ひ〜ほえほえ」
「言うに事欠いて何言ってんだ」

 懐とととろは相変わらずのデバガメ行為の真っ最中だった。
 約一名が珍しく大人しいのでいつも通りとは行かないが、オペラグラスは変わらず幼い愛をロックオン。他人の秘め事を覗くミサイルの如きととろの熱視線は今日も発射されている。
 そしてととろの横でごろごろしている懐。痛々しい絆創膏が額にべったり張り付いて居る。いつもならこちらもミサイル発射台と化してデバガメ行為を嗜むが、今日は何やら違ったようで。

「あんたが大人しいと気味が悪いよ」
「俺だって落ち込む事くらいあるだよ」
「そんなタマかいな」
「ほら、俺ってデリケートじゃん」
「どの口が言ってんだ」

 何があったかはととろの知る由も無し。しかしその額の絆創膏を見れば大方の予想は付くって物である。
 懐は誰かと喧嘩して負けたのだ。このバカが落ち込むといったらそれくらいしか無いはずである。うん。そうだ。バカだから。

「ったく、よく先生達に何も言われないで済んでるよ」
「忍術で逃げてるから」
「冗談言う余裕はあんだね」
「いやいや、マジで。これで演劇部の襲撃とか回避してるし」
「そんな忍者の末裔じゃあるまいし……」
「あれ? 言ってなかったっけ? その通りなんだけど?」
「……なんだと?」

 懐のルーツはともかく、このバカが借りてきた猫のように大人しいのはととろにとっては不気味であるのだ。
 これは大地震の前触れか。巨大隕石の接近か。はたまた第三次世界大戦でも始まるのか。