コンビニの店先につながれた犬がキャンキャンうるさい
サッカー部の練習が終わって腹が減った俺はチャリを飛ばして肉マンを買いにきたんだが
その入口で青い顔して固まっているクラスメイトを見つけた
「よお、三橋じゃないか。野球部も遅くまで頑張ってるな」
細っこくて挙動不審で、いつもクラスのムードメイカーの陰で大人しく笑っているだけの三橋が
マウンドでは誰より大きく、頼もしく見えたのは県大会の時
つきあいで行った応援にいつしか熱くなって、目が離せなくなってた
「お、俺沢クン」
「店、入んないの?俺もう腹へっちゃてさー」
ガラス窓越しに店内を見れば、野球部員たちがあれこれ物色している姿が見える
「お、田島が手振ってる。三橋、行こうぜ」
俺はフレンドリーに肩に手をまわして三橋を引きよせコンビニに入った
「俺沢クン ありが と」
三橋が何やらはにかみながら、小さく笑う
「へ?俺、何かした?」
「オ、オレ犬 ちょっと…」
どうやらエース様は犬が苦手で店内に入りそびれていたらしい
・・・なんだよコイツ可愛いじゃん
生まれて初めて、男子にときめいた9月の夜だった
近所のコンビニで犬がうるさいから妄想