■□■選んで後悔する電話はAU by KDDI ver.2■□■

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733非通知さん
KDDIは二〇〇二年三月期の連結営業利益を千五百億円と、前期比五二%増という急拡大を見込む。学生向けに通話料を最大半額にする「学割」サービスのヒットなどで、携帯電話加入数が急回復した効果が大きい。しかし、普及率の上昇で携帯電話市場の成長が鈍り、値下げ競争などが一段と激しくなるのは確実。販売促進費の抑制をはじめ携帯電話事業の利益率を高めなければ、多大な有利子負債の削減も遅れ、収益基盤全体が揺らぎかねない。
「学割効果はまだ続くのか」――。旧セルラーと旧日本移動通信(IDO)の携帯電話事業の統一ブランドである「au」は四月の契約増加数が前年同月比三・四倍の二十六万三千人となり、競合他社をうならせた。携帯電話市場全体の増加数に占めるシェアは二四%と、ほぼ二年ぶりの高水準。五月も二三%を確保した。NTTドコモと日本テレコム系のJ―フォンに加入者を奪われた昨年度上期とは様変わりだ。
五月に発表した経営計画で、「auを中核事業と位置づけ、全社の経営資源を集中する」(奥山雄材社長)方針を打ち出した。auは今期、前期比二・二倍の四百七十億円の営業利益を見込む。国際・長距離電話を中心とする固定通信部門の今期の営業利益は八百二十五億円と全体の五五%を稼ぐが、五月のマイライン(電話会社事前登録制)導入に伴う競争激化で増益率は四%にとどまる。
しかし、思惑通りに携帯電話事業がKDDIの稼ぎ頭に育つかどうかは不透明だ。
低い売上高営業利益率
auは今期の加入者一人あたりの月間平均収入(ARPU)を八千四百円に設定。音声通信収入は値下げの影響で若干減るものの、データ通信収入増で吸収、前期の八千二百円を上回るとみている。「学生は毎月の利用料金を決めており、料金が下がった分だけ通話時間を長くしている」(田中成欣常務)という。
ドコモは今期のARPUを八千二百七十円と四・四%減少、J―フォンも七千四百円と三・九%減ると予想する。価格競争が激化する中、auだけが高水準のARPUを享受し続けられるとは限らない。
さらにKDDIには販売代理店に支払う販売促進費の負担がのしかかる。auの端末一台あたりの販促費は前期、新規加入で四万円台後半。ドコモの約三万円やJ―フォンの三万九千円台を大きく上回った。cdmaOne方式の端末はメーカーから買い取る際の卸売価格がドコモやJ―フォンの機種よりも高い。店頭小売価格を抑えるため、他社よりも高い販促費を販売店に支払う必要があった。
前期のauの販促費は四千百三十八億円で、売上高に占める比率は三〇%に達した。ドコモはこの比率を二四%、J―フォンも二六%に抑えている。この結果、KDDIの携帯電話事業の前期の売上高営業利益率はわずか一・七%。ドコモ(一九・六%)やJ―フォン(八・〇%)と比べ利益率の低さが際立つ。
六月に世界初の高速無線技術規格「ブルートゥース」採用端末、七月にドコモに比べ五倍の容量のソフトを取り込めるJava端末、十月に通信速度が現在の二・三倍の次世代型サービス……。KDDIは今期、ドコモが十月に次世代携帯サービスを本格開始するのに対抗し、新サービスを矢継ぎ早に繰り出す。
新サービスは既存加入者の新機種への乗り換えを招く。機種変更でもKDDIは一台あたり三万円台後半の販促費を販売店に払う。一台あたりの利用期間の短縮化は利益率を押し下げるはずだ。