『エルネオス』 2009年7月号
http://www.elneos.co.jp/0907sc1.html 600億円の社債を高利調達、ソフトバンクの台所事情
「これは、メーンバンクのみずほフィナンシャルグループが融資を絞っているということだ。
ソフトバンクは相当に厳しいようだ」
こう顔を曇らせるのは、携帯電話事業を担当する総務省幹部。
気にしているのは、ソフトバンクが五月二十六日に発表した無担保社債のこと。
二年後の償還で六百億円を集めるが、金利は五・一%。有利子負債が二兆円近く、投機的格付
けのソフトバンクとしては高利調達も仕方がないのだが、それが「みずほに見捨てられたからだ」
ということになると、風景が変わってくる。
連結売上高は微減ながら二兆六千七百三十億円を確保、営業利益は三千五百九十一億円と四
期連続で最高益を更新しているソフトバンクだが、負債の重圧は大きい。
中でもみずほは、ボーダーフォン日本法人買収に全面的に協力、ソフトバンクが一兆七千五百億
円の買収資金をリファイナンスした際、みずほ信託を窓口に一兆四千五百億円を融資した。
その分、厳しい特約条項がついており、売上高や新規契約数などで少しでも手を抜けば、みずほ
の厳しいチェックが入ることになっている。
その最たるものが純増数で、ソフトバンクはこの純増で二十四カ月連続一位と驚異的な実績をあ
げている。
だが、光通信の協力を得て始めた新規獲得で、法人会員獲得の際、新規を水増しする大量の「寝
かせ」が発覚し大問題となった。
特約条項を“違法”にすり抜けていることが判明したため、「少し距離を置く」(みずほ関係者)ことに
なったという。
みずほが今後もソフトバンクに対して厳しい姿勢を取るようなら、携帯電話部門の身売りなど、具体
的な撤退策を考えなければならない可能性もある。