3 :
各種資料から分析:
(資金需要 約2500億円)
2012年までに償還が必要な有利子負債が約1385億円(2008年3月有価証券報告書より)
2012年までに予定している次世代PHSの投資額が1140億円(2008年10月Willcom発表資料より)
(資金手当 約1520億円)
2008年度の設備投資(現行PHS)は289億円 1160億円(2009-12年)
2008年度の有利子負債返済は70億円 280億円(2009-12年)
2008年3月期の経常利益は約20億円 80億円(2009-20012年)
差し引き 約1000億円の資金がショートしている。現行サービスの資金から
やり繰りするとなると、設備投資を停止して借金返済に充てるしか手はない。
つまり、1385億円の借金のリファイナンス(再度の借入れ もしくは 増資)
しないことには、現行サービスの資金より次世代の投資は事実上賄えない。
4 :
各種資料から分析:2008/12/07(日) 17:23:04 ID:CnkKlNSb0
ウィルコム(株) 2008年3月 有価証券報告書 24ページより抜粋
B営業利益
当連結会計年度の営業利益は、電気通信事業営業損失が3,297百万円(前年
同期は6,584百万円の営業損失)、附帯事業営業利益が8,307百万円(前年同期
は6,552百万円の営業利益、営業利益の合計は5,009百万円の営業利益(前年
同期は31百万円の営業損失)となりました。
本業のPHS通信事業がいまだ損益を計上しており、利益が出ているのは附帯事業
(端末割賦販売債権の売却利益)という状況。
ウィルコムは、次世代PHSで収益を上げる説明を提示できないと、新規の資金を
確保するのは難しいと推測される(売上と加入者予測だけでは情報不足)
5 :
各種資料から分析:2008/12/07(日) 17:23:52 ID:CnkKlNSb0
2007年4月1日の現預貯金残高が140億円、2008年3月31日の現預貯金残高が35億円、
(残高減少の105億円のうち、70億円は有利子負債返済)。
現金の手当てができなければ、黒字倒産という可能性も否定できないが、ウィルコム
の場合は、1)290億円の設備投資額を減らす 2)端末販売の抑制(端末メーカーに
購入代金を支払い、割賦販売債権の回収までの運転資金が必要なため)によって、
キャッシュフローは改善できる。
そう簡単に倒産という自体には至らないと推測されるが、キャッシュ不足が、新規投資に
対しても、営業戦略(価格)に対しても大きな足かせとなっている
6 :
各種資料から分析:2008/12/07(日) 17:24:37 ID:CnkKlNSb0
ウィルコム 有価証券報告書(2008年3月) 69ページより抜粋
第1回無担保社債 350億円 利率 年2.35%
長期借入金 965億円 利率 年1.80%
平成21年4月より1年以内に返済期限を迎える有利子負債 245億円
平成22年4月より1年以内に返済期限を迎える有利子負債 720億円
社債償還期限 平成24年6月27日 350億円
ウィルコム 有価証券報告書(2008年3月)61ページより抜粋
デリバティブ取引(有利子負債に対する金利スワップ取引) 契約額568億円
取引の時価等に関する事項についての契約額等は、あくまでもデリバティブ
取引における名目的な契約額、または計算上の想定元本であり、当該金額
自体がデリバティブ取引のリスクの大きさを示すものではありません。
ということなので、サプライズがないことを祈る。
7 :
各種資料から分析:2008/12/07(日) 17:25:24 ID:CnkKlNSb0
次世代PHSが開始される平成21年度に245億円返済しなければならない。
2008年3月31日時点の現金預貯金は35億円しかない。
現行PHS事業の収益から返済するとなると、設備投資の290億円がほぼ無くなり、
平成21年の設備投資は45億円前後しか手当てできない計算となる。
W-OAM/光IP化の設備投資、次世代PHSの設備投資に必要なキャッシュをどのように
手当てするつもりなのか、ウィルコムの経営陣は。
8月以降の世界経済の変調から、1000億円以上の資金の出し手が、そう簡単に
見つかる状況ではない(米国のカーライルでは、不良資産を米国政府に買取
してもらうような噂も出ている。Yahoo USの掲示板など)。
カーライル曰く、日本のバイアウトファンド1号/2号の出資者過半数は国内の
投資家ということなので、期限前解約などの可能性は本国より良いのかも
しれないが、上場によるExitも厳しい状況のなか、やはり京セラによる
救済しか、残された手は無い様に思われる。
もしも、銀行(三菱UFJとみずほコーポレート)によるリファイナンスが
水面下で合意に達しているのであれば、カーライルによる増資話のリーク
記事も無かったように思う(PHS事業で引き続き赤字なので借換えはそもそも難しいはず)。
そしてNTTへのカーライル持ち株売却の日経リーク記事。カーライルの安達
保氏はウィルコムの取締役に名を連ねているが、京セラ/KDDI系の役員と
意思の疎通が上手く取れているとは思えない。
8 :
各種資料から分析:2008/12/07(日) 17:26:26 ID:CnkKlNSb0
ウィルコムの問題点は実にシンプルで”お金が無い”ことに集約される。
シナリオ1) 2000億円の増資に成功した場合
次世代PHSの設備投資を前倒しで行い、当初計画よりスタートダッシュを切ることが
可能で、負債の返済、社債の償還も問題なし
シナリオ2) 1000億円の増資に成功した場合
有利子負債と社債償還の資金繰りに目処が立つ。現行PHS事業の収支内の減価償却費
の範囲内で次世代PHSの設備投資が賄える(年間300億円程度)
シナリオ3) 増資に失敗した場合、ただし銀行借り入れのリファイナンスに成功
平成24年の350億円の社債償還まで、資金繰り上一息つける。シナリオ2より金額は
減ってしまうが、次世代PHSへの投資を進めることが可能(年間150億円程度?)
シナリオ4) 増資、銀行借り入れのリファイナンス 両方に失敗した場合
平成21年より、借金返済のために設備投資を大幅に削減するしか選択肢無し。
値上げという選択肢も無くもないが、実現性としてはありえない。
事実上、次世代PHSのスケジュールは大幅遅延。
●追加可能性
ドコモとのMVNOの可能性が報道されたが2.5GHzの免許をもらった手前今更返すわけにはいかない。
とりあえずサービスインはするが事実上auの2GHz扱いと同じ道をたどる。
ドコモのMVNOでエリア問題を解決しエリア・高速層の流出客に歯止めをかける。
9 :
各種資料から分析:2008/12/07(日) 17:27:14 ID:CnkKlNSb0
ウィルコムの長期借入金965億円のうち、145億円は農林中央金庫からの
借り入れとなっている。三菱東京UFJ(181億円)、みずほコーポレイト
(181億円)に次ぐ、貸付第3位行。
2008年3月期の減価償却費412億円に対して設備投資は289億円。
2009年3月期の減価償却費(予想)は294億円(147億円x2)。前年同様、
減価償却費の70%を設備投資に引き当てしたとすると、206億円(予想)
2009年〜1年以内に返済しなければいけない借入金は245億円。今年度
上期で有利子負債は65億円減少しており、利子が10億円とすると、
2009年返済分の元金は190億円前後になっていると推測される。
ウィルコムの機械設備(基地局等)は、定率法の6または9年で減価償却
されているので、今後の決算で減価償却費が伸びることは考えづらい。
EBITDAの計算上減価償却費の比率が75%以上となっている。
そのため、財務制限条項のレバレッジレシオの計算上、厳しくなる。
単純計算だと、有利子負債1320億円÷EBITDA190.4億円x2=3.47となって
おり、制限条項に抵触しているようにも見えるが、下期のEBITDAの見積に
依存するので、現時点では判断できない(厳しいとは推測されるが)。