【東日本】〓SoftBank 新スパボ一括購入専用スレ 6

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240非通知さん
 竹藪の側を駈け抜けると、夕焼けのした日金山(ひがねやま)の空も、もう火照(ほて)りが消えかかつてゐた。
良平は愈(いよいよ)気が気でなかつた。往きと返りと変るせゐか、景色の違ふのも不安だつた。
すると今度は着物までも、汗の濡れ通つたのが気になつたから、やはり必死に駈け続けたなり、羽織を路側へ脱いで捨てた。
 蜜柑畑へ来る頃には、あたりは暗くなる一方だつた。
「命さへ助かれば――」良平はさう思ひながら、辷(すべ)つてもつまづいても走つて行つた。