【東日本】〓SoftBank 新スパボ一括購入専用スレ 6

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237非通知さん
 所が土工たちは出て来ると、車の上の枕木に手をかけながら、無造作に彼にかう云つた。
「われはもう帰んな。おれたちは今日は向う泊りだから。」
「あんまり帰りが遅くなるとわれの家でも心配するずら。」
 良平は一瞬間呆気(あつけ)にとられた。
もう彼是(かれこれ)暗くなる事、去年の暮母と岩村まで来たが、今日の途(みち)はその三四倍ある事、
それを今からたつた一人、歩いて帰らなければならない事、――さう云ふ事が一時にわかつたのである。
良平は殆ど泣きさうになつた。が、泣いても仕方がないと思つた。泣いてゐる場合ではないとも思つた。
彼は若い二人の土工に、取つて附けたやうな御時宜(おじぎ)をすると、どんどん線路伝ひに走り出した。