【東日本】〓SoftBank 新スパボ一括購入専用スレ 6

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234非通知さん
 三人はトロツコを押しながら緩(ゆる)い傾斜を登つて行つた。良平は車に手をかけてゐても、心は外の事を考へてゐた。
 その坂を向うへ下り切ると、又同じやうな茶店があつた。
土工たちがその中へはひつた後、良平はトロツコに腰をかけながら、帰る事ばかり気にしてゐた。
茶店の前には花のさいた梅に、西日の光が消えかかつてゐる。「もう日が暮れる。」
――彼はさう考へると、ぼんやり腰かけてもゐられなかつた。
トロツコの車輪を蹴つて見たり、一人では動かないのを承知しながらうんうんそれを押して見たり、
――そんな事に気もちを紛(まぎ)らせてゐた。