【東日本】〓SoftBank 新スパボ一括購入専用スレ 5

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720非通知さん
 其処には古い印袢纏(しるしばんてん)に、季節外れの麦藁帽(むぎわらぼう)をかぶつた、背の高い土工が佇んでゐる。
――さう云ふ姿が目にはひつた時、良平は年下の二人と一しよに、もう五六間逃げ出してゐた。
――それぎり良平は使の帰りに、人気(ひとけ)のない工事場のトロツコを見ても、二度と乗つて見ようと思つた事はない。
唯その時の土工の姿は、今でも良平の頭の何処かに、はつきりした記憶を残してゐる。
薄明りの中に仄(ほの)めいた、小さい黄色の麦藁帽、
――しかしその記憶さへも、年毎に色彩は薄れるらしい。