既存加入者の行動を計算に入れ忘れた?
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/a/57/03.html では、どういう計算間違いがあったのか。
まず彼が考えに入れていなかったのは、現在の1500万人のソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)加入者のことだ。
わたしもソフトバンクモバイルのお店に行って実際に質問して確認したのだが、驚くべきことに月額2880円という格安のプランが提供されるのは、乗り換えた人、ないし新規加入者だけなのである。
既存のソフトバンクモバイル加入者には、このプランは事実上提供されない。
「事実上」というのは、ソフトバンクモバイルは既存の加入者のためのプランを提供していないわけではないからだ(本当に既存の加入者が利用できないプランとなると公正取引法違反になる)。
ただ問題は、既存の加入者用の機種が用意できていないことである。
そのためお店に行って「2880円のプランに変更したい」と交渉しても、「機種がない」「システムが停止している」と言われて変更できない。
だから現実には乗り換え・新規のユーザーしか利用できないのだ。
せっかくソフトバンクモバイルの加入者同士なら通話料がタダだというのに、既存の加入者がそのメリットを享受できないとはおかしいではないか。
ボーダフォンの時代から支えてきた1500万人の加入者が頭にくるのは当然だろう。
そのように既存の加入者を軽視したら、どうなるのかは分かりきっている。
NTTドコモかKDDIに乗り換えるだろう。
そして、1月15日までにソフトバンクモバイルに戻ってくるのだ。
そうすれば、2880円のプランが利用できるのだから。
それでキャンセルが殺到したのである。
キャンセル殺到でシステム停止とは、これこそ孫さんにとってはまさに予想外の事態であったろう。
もしかしたら、転出を妨げるためにシステムを停止させたのではないかという口さがない業界雀の邪推もある。
その邪推が事実なら道義的にもきわめて問題だ。