ボーダフォン買収の借金に駆られた行動
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/a/57/04.html 仮に今のような状況で、1500万人の既存のソフトバンクモバイル加入者が一挙に2880円のプランに切り替えたとする。
今のところ一人あたりの平均的な料金は8000円〜9000円だが、切り替え後は5000円くらいになるだろう。
1500万人が3000円ずつ減るとなると、年間で5000億円のマイナスになってしまう。
これではソフトバンクモバイルは即死する。
会社を維持するためには、どうしたって従来通り毎月8000円〜9000円を払い続けてくれる層が(それも大量に)必要になるのだ。
では、乗り換え・新規のユーザーに限定して新規プランを投入すればいいかというと、それも問題だ。
前述した公正取引法である。
もし既存の加入者が2880円のプランを利用できないと、クレームが公正取引委員会に殺到するだろう。
するとソフトバンクはこのプログラムを放棄しなくてはいけなくなる。
どちらの道も厳しい結果が待っているのだ。
それなのになぜ孫さんはやってしまったのか。
これを理解するには、銀行との関係を考えなくてはいけない。
ヒントになるのは、月々2880円で通話料・メールが0円になるサービスを利用できるのは1月15日までに申し込んだ場合のみ、ということだ。
奇妙な話である。
ソフトバンクモバイルはなぜそんな制約を作ったのだろうか。
ここでボーダフォン買収の際のLBOのことを思い出してほしい。
ソフトバンクは、ボーダフォンのキャッシュフローを抵当にして、銀行からお金を借りたのだ。
たぶんその時、「キャッシュフローが×億円以下になった場合は、ソフトバンク本体が債務保証する」といった内容の契約が結ばれているはずだ。
ところが、番号ポータビリティ制度が始まると、NTTドコモやKDDIに逃げていく加入者があまりにも多いことが分かった。
どう考えてもキャッシュフローがまずい。
そこで「形勢悪し」と見て、「0円」という今回の予想外の戦略を考えたのだろう。