KDDIの渡辺文夫氏が、移動体から見たIPv6について語った。
現在の携帯電話はインターネットに接続しているが、直接IP通信しているわけではない。
キャリアーのクローズドなネットワークがインターネットに接続する形式となっている。
渡辺氏は、回線交換の形で発展して後からパケット交換をつけた現状の携帯電話は、
マルチメディアのサービスをするには制約があると説明する。
そこで、これをオールIP化し、回線交換の通信である音声通話もIPのパケット交換に
乗せるということも言われる。しかし、携帯電話は数千万台が普及しており、
All IP化するとなると切り替え方法が問題となる。また、サービスエリアも
最初から十分に提供し、古い端末も共存させなくてはならない。それをふまえた
スムーズな移行が重要だと渡辺氏は強調した。
こうした困難を越えて、携帯電話のオールIP化への取り組みが業界団体に
よってなされていると紹介。3GPP(3G Partnership Project)や3GPP2では、
オールIPについての検討が進んでおり、まずバックボーンをIP化して次に
セッションプロトコルを移行するといった移行シナリオが考えられていると説明した。
KDDIの取り組みとしては、まず実験プロジェクトとして、au.NETユーザーが既存端末から
IPv6トンネルを利用できるISATAP(Intra-Site Automatic Tunnel Addressing Protocol)利用実験を紹介。
そのうえで、本当に移動体でIPv6サービスを開始するには、事業ベースとなる千万単位の規模で必要に
ならなくてはいけないと述べた。そこで、電話機の需要とは違う、人と人以外の部分でモバイルが
使われるようになって、はじめてIPv6化のニーズが生まれるだろうと論じた。
http://www.ipv6style.jp/jp/special/20030120/2.shtml