ニーチェ

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161考える名無しさん
 すがすがしい休日の朝、私は高枝切バサミをとるために庭の物置(イナバ)に
向かいました。すると物置の前には布をまとった老人が座っていました。
ディオゲネスです。私は彼の前に立ち止まり、
「どうしたものかな…」と呟きました。彼は答えて言いました。
「そこをどいてください。わたしが日陰になっている」

 私は仕方なく隣で待つことにしました。・・・
しばらくして彼はおもむろに立ち上がりました。見ると物置の横にいつの間にか
大きな樽が備え付けられていて、彼はその中へ入っていきました。

 私はホッとして、倉庫の戸を開けました。するとそこにはエピクロスが潜んで
いました。彼は私を見て言いました。
「よそ人よ、ようこそ。ここでは快楽が至高の善である」
「いや、よそ者はあんただし、他人の倉庫に勝手に住みつかないでくれ!」
私が詰め寄ったところ、
「隠れて生きよ!」
彼はそう言って、倉庫の戸を内側からピシャリと閉めました。
 数日後、ある山中に樽と物置が不法投棄されているという噂を耳にしました。