クリプキの名指しの理論

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7考える名無しさん
>>3
アリストテレスが「アリストテレス」と命名されなかった可能世界でも、やはり「アリストテレス」
はアリストテレスを指示します。
たとえば、

  アリストテレスが「アリストテレス」と命名されなかった可能世界について考えよう。

という文の主語は、当然アリストテレスを指示しているはずです。
さもなければ、我々はまさに言及しようとしている可能世界について語ることができない、
という不合理なことになるでしょう。

「ある可能世界wにおける名辞Nの指示対象」という表現は多義的で、よく混乱する人がいますが、
「現実世界aにいる我々がある可能世界wを想定したときに、名辞Nによって指示する対象」という
捉え方をしておけば間違いないでしょう。これを「ある可能世界wにいる発話者が名辞Nによって
指示する対象」と解釈するのは間違いです。

問題はアリストテレスが存在しない可能世界を想定した場合で、

  アリストテレスが生まれてこなかったような可能世界について考えよう。

という場合に、この文の主語「アリストテレス」はいったい誰を指しているのかがわからない、
というのがクリプキの説の難点です。本人もそれは認めています。