「避難が離婚の原因になるか」
古部真由美さん(40)は「昨年の夏頃から離婚の相談が増え、実態を把握する必要があると思った」
実際、1日に3回も離婚の相談を受けることもあったという。
3・11震災が2年も経過したが復旧・復興はままならず、それどころか「放射能ヒステリー」による風評被害は逆に加速していると言う。
沖縄には放射能被害を恐れて子連れの避難家族が多数移住していると聞くが、避難指定地域でない場所からの移住には、当然のことながら国の援助はない。
仕事の関係で地元に残った父親は単身生活の不便さに加えて、二重生活の経費がかさみ家族崩壊で、避難離婚が増えていると聞く。
被災地のことを頻繁に口に出す人ほど、放射能被害を口にして不評被害を増長させる皮肉な現象もある。
(ひばく)に対する夫婦間の考え方の違い。この意見の相違に溝ができ、なかなかその溝が埋まらない人が多い。
「離婚するか。帰るか」という選択を突きつけられ、葛藤している母親たちは少なくないという。
東京から母子避難している女性からの相談は、夫から突然、離婚調停の紙が届いたという内容だった。
別の母子避難中の女性からは、夫から仕送りが止まったので仕事を見つけたいが、保育所になかなか入れないという相談もあった。
深刻さ増す悩み
母子避難の家庭だけでなく、家族で避難してきた場合でも、仕事がなかなか見つからないことから
家庭内での夫婦のいさかいが絶えず、離婚を考えているケースがあるという。
「人との信頼関係を築くのは時間がかかります。ただ月日は流れていき、どこに腰をおろして生きていこうか定まらず
、故に仕事も決まりません。状況は悪くなるばかりです。夫は、夜も眠れず、気力が失われているようです」
複数回答で悩みをたずねる項目では、最も多かったのが「放射能」(159人)、さらに「生活費」(119人)、
「子供の健康と精神」(118人)、「仕事」(108名)、「今後の住まい」(98人)、「家族間の意見の相違」(63人)が続いた。