柄谷行人を解体する47

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789霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M
■なぜ西洋の個人の自立の起源は私的財産に関係するのか


個人主義への商品交換、私的財産の影響

西洋がなぜこんなに個人主義に傾いたのか、と考えると一番はキリスト教があげられるわけだけ
どその前にすでにギリシャ哲学で、理性主義があるんだよね。キリスト教の普及にもギリシア哲
学からの影響がある。

ギリシアがなぜ栄えたかと言えば、交易だよね。土地は肥沃だか港に最適な地形で、エジプト、
イスラエル地方辺りとの地中海交易で栄えた。硬貨が普及したのもギリシアが始めだった。その
豊かさから、富裕層が生まれ、富裕層のための知識人が生まれた。その中で生まれた思想が個人
主義的であったのは、やはり商品交換、私的財産になどの影響を受けていると考えやすい。逆に
他になにがあるか?

というのは、その時代の基本は、エジプトにしろ、ペルシアにしろ、農業を中心として土地に根
差した大国だから。その中から私有財産や個人主義が育つとは考えにくい。
790霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M :2013/11/02(土) 16:29:41.32 0
抽象化された数字といえば貨幣

ギリシアの理性主義といえばプラトンだが、プラトンの師匠はピタゴラスでその思想はほぼ継承
されていると言われる。ピタゴラスは簡単にはいえば数理神学といえる。すなわち自然には数学
的な調和があり、その真実を見つけ出す。そのためには禁欲的な精神、健全な肉体が必要だった。
プラトンはその真実をイデアとして、数学を重視はしたが、必ずしもこだわらなかった。そして
真実を知る能力を理性と読んだ。それは哲学者が獲得するものとされた。

ピタゴラス以前は建築など実用的な算術だった。それが実態から離れた抽象的な数字としての数
学へ展開する。ようするにイデアにしろ超越論への向かう思考ここで重要になる。この思考はど
こから来たのか?

抽象化された数字といえば貨幣である。単なる財ではなく貨幣が重視される社会では、貨幣が数
字として抽象化する。これはあくまでも仮説である。しかし疑問がある貨幣が普及したのはギリ
シアだけだろうか。たとえば日本で貨幣が機能し出したのは室町時代と言われる。貴族社会が崩
れ、地方が活性化し社会の流動性があがる。中国の宋銭が広まり貨幣が流通する。しかしまだま
だ農耕による自給自足が一般である。

貨幣交換が全面化し豊かな商業都市ギリシアで、抽象的思考は生まれ、算術から数学へのアンビ
バレントな神学的、そして超越論的転換は行われた。やがてイデア論という超越論的な世界が生
まれる。そこでは豊かな私有財産を背景に、人も個への抽象的、さらに理性という超越論転換が
行われた。というのが、ポクの仮説です。
791霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M :2013/11/02(土) 16:30:24.14 0
キリスト教が普及していったのは貨幣交換による個の思想が求められたから

このような抽象は、その後キリスト教により補強されるのだが、そもそもキリスト教が都市部で
普及していったのは、逆に個の思想がを求められていた故である。現にキリスト教とプラトンは、
融合した思想を生む。たとえばキリスト教はその初期において、その思想の論理的な構築を求め
られるが、多くの流れはギリシア思想を取り入れたローマ帝国の東と、より論理より信仰そのも
のを重視する西との正統派対立の構図を生む。その中から三位一体説は正当化される。神、キリ
スト、精霊は上下はなく一体であるという三位一体説が選らばれたのは西側の優位を意味する。
すなわち問題はキリストとはなにものか?人か、神かプラトン的思考では神は一者であり、キリ
ストは神に使えるものである。

しかし三位一体説でキリストは神であり、人である。強い信仰の対象として、神の下ではなく、
神そのものでなければあらず、またキリストの死は人類の代わりに罪を背負ったのであり、その
苦しみは人として味会わなければならない。そこに人類のキリストへの贖罪は生まれる。すなわ
ちキリスト教は西側の、論理より信仰重視に傾く。