柄谷行人を解体する47

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643霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M
■なぜ平等はうつ病を生むのか

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NHKスペシャル 第3集 うつ病 〜防衛本能がもたらす宿命〜
http://www.nhk.or.jp/special/yamai/detail/03.html

働き盛りを襲い自殺に追い込むなど、深刻な社会問題になっている「うつ病」。世界の患者数は3
億5千万人に達し、日本でもこの10年あまりで2倍に急増しています。なぜ、私たちはうつ病
になるのでしょうか? その秘密が、意外にも5億2千万年前に誕生した魚の研究から明らかにな
ってきました。魚でも、「ある条件」を作ると、天敵から身を守るために備わった脳の「扁桃体(へ
んとうたい)」が暴走し、うつ状態になることがわかってきたのです。

更に2億2千万年前に誕生した哺乳類は、扁桃体を暴走させる新たな要因を生みだしていました。
群れを作り、外敵から身を守る社会性を発達させたことが、孤独には弱くなり、うつ病になりや
すくなっていたのです。
そして700万年前に人類が誕生。脳が進化したことで高度な知性が生まれ、文明社会への道を
切り開いてきました。しかしこの繁栄は、皮肉にも人類がうつ病になる引き金を引いていました。
文明社会によって社会が複雑化し、人間関係が一変したことが、扁桃体を暴走させ始めたのです。

番組では、研究の最前線で明らかにされてきたうつ病の秘密に迫り、そして進化を手掛かりにし
て生まれた新たな治療法を紹介。人類の進化がもたらした光と影を浮き彫りにしていきます。
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644霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M :2013/10/27(日) 10:56:26.97 0
平等と公平感

平等は等価交換的な概念ですね。すなわち相手は誰であるかを選びません。貨幣は持ち手が誰で
あろうが等しく価値をもち、等価交換可能です。交換の瞬間にすべてが清算され完結するからで
す。それに対して贈与交換は相手を選びます。交換は決して一回では清算されず、相手との関係
を継続します。このような贈与交換は個人間の一対一よりも、限られた集団内の円環として働く
場合が多い。これは平等ではなく、いわば公平な関係です。相手の顔を知り継続的な関係によっ
て助け合い、バランスを取ります。昨日のNHKは平等ではなく公平な関係でしょうが、まあそ
こまで細かいことはいいでしょうが。

このような贈与交換の集団を成立させるには、純粋贈与の存在が重要です。すなわち天の恵み(天
災)。人智を越えた力が生存を大きく作動する場合には、天から与えられたもの(災害)は集団と
して分配しないと個人では受け止められません。このために生存を共有する集団内で贈与分配す
る公平な信頼関係が大切になります。それを破り独り占めするものは集団の生存を脅かす危険分
子として、排除されます。
645霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M :2013/10/27(日) 11:00:24.85 0
資本主義と、自由と平等

昨日のNHKでもそうですが、大規模な農耕がこの関係を崩します。生存に必要以上の大量の富
の蓄積ができることで、純粋贈与圧は緩みます。天の恵み、天災と人との緩衝になります。そこ
に富を巡る争いがおきます。多くの富を得ることが生存に優位になり、階級が生まれます。そし
て富の独占者との再配分の関係が生まれます。

近代にこの関係を大きく変えるのが資本主義の登場ですね。貨幣交換の全面化は富の意味を決定
的に変えます。貨幣等価交換の清算性により、贈与交換のように交換に人を選ばず、その場で清
算されるので初対面だろうが交換が可能になります。これにより市場の流動性が上がり、市場規
模が膨らみます。そして一番重要なのは資本による富の増殖でしょ。貨幣が流通することで富が
富を生むようになります。これはある種のギャンブルの原理ですが、誰でも富を得る可能性がで
てくる。そして貨幣では富の蓄積にコストがかからなくなります。町の商人などでも可能になり
ます。このように資本主義社会では、人々が平等に自由に貨幣交換することで富の流動性が上が
り、富が増加します。このために社会の自由、平等が重視されます。
646霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M :2013/10/27(日) 11:01:15.36 0
うつが増えたのは自由、平等が原因

近代にうつが増えたとすれば、むしろ自由、平等が原因ではないでしょうか。要するに、原始社
会の贈与交換による公平感と近代資本主義社会の貨幣交換による平等とは大きく違う。NHKが言
うように原始社会にストレスが少なく、現代人にストレスによるうつが多いとすれば、平等、自
由そのものにストレスが潜んでいる。

公平な社会では信頼関係ある限られた人々と交換のコミュニケーションをつづけることに対して、
平等な社会では、見ず知らずと人々と会い、交換し、そして清算する。これによって高い流動性
が可能になった。相手が誰であるとか関係なく、互いを平等であるとして関係する。しかしこれ
はある種のストレスである。流動性の向上は交通の発達も生み出し、いままででは考えられない
人々と出会い別れることになる。これは平等だから可能になることだ。たとえばフロイトが精神
分析を発明したのは、二十世紀初頭の、コスモポリタンであるウィーンである。

たとえば会社の上下関係と平等は両立している。逆にいえば平等だから上下関係が成立している。
封建的に階級が生まれで固定され、人権まで差があるわけではない。仕事の効率の分業として組
織化されている。だから上に上がる可能性は開かれている。しかしそこに落ちたり、上がったり
競争という流動性が生まれる。より複雑な人間関係が生まれる。簡単にいえばギャンブル社会で
ある。誰にも平等にベットする権利が与えられている。それはまた義務でもあり、決して逃げら
れない。

これは生理的にはかなり不自然な社会なんだろう。人類史をたどれば、農耕社会になったのは古
く見て一万年前。資本主義が全面化したのは古く見て五百年前。それ以前に人類は十万年近く原
始社会を生きている。平等な社会は五百年にも満たない。このような資本主義、民主主義な平等
を支えているのが国家群体制である。
647霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M :2013/10/27(日) 11:02:01.41 0
偶然性と交換様式

では偶然性の位置で考えてみましょう。原始社会では回りは偶然の世界(純粋贈与/破壊)です。
その中で小さな集団は信頼関係を頼りに寄り添い安全を確保します。それが大規模な農耕社会に
なると、外部はまだまた偶然の世界ですが、富の蓄積が偶然と生存の間のクッションになります。
富とは単に食料だけでなく、様々なインフラ整備などもあります。このようなインフラ整備は権
力者に税を納める再配分により、公的な事業として行われます。ここに階級社会が生まれます。

さらに貨幣社会になり、分業体制が整うと、富は増大し、より強固なインフラが整い、安全な環
境が整い、外部の偶然性は大地震程度になります。このようになると逆に偶然性を飼い慣らすよ
うになります。必要な程度で偶然性を取り入れることで富を増やす。ケインズがいうアニマル・
スピリッツです。社会を活性化する程度に偶然性を引き込み、経済を活性化させる。それがたま
にアンコントロールに暴走すると恐慌、バブル崩壊にいたります。
648霊姑浮 ◆5JB5Td0w.M :2013/10/27(日) 11:02:49.51 0
贈与交換は安全です。繰り返された信頼ある人々と交換するからです。しかしマルクスが言うよ
うに貨幣交換は命懸けの飛躍であり、偶然性を含んでいて危険です。さらには資本は貨幣交換は
をさらにリターンが大きくなるように増幅させて危険です。より詳細にいえば貨幣交換はすぐに
清算されますが、資本は清算を未来に延長することで偶然性をさらに呼び込み、そのリスクの代
わりにリターンを増やします。このような荒業はある種、社会から偶然性を排除し安全が図られ
るからできるのです。なにが起こるかわからないジャングルの中でできるものではありません。

話がそれましたが、要するに平等と自由がもつ抑圧です。個が安全と偶然の繰り返しを背負うと
いうこと。これはある種の疲労テストとも言えます。平等であれ、自由であれとは簡単にいえば
ブラウン運動する粒子のようなもので
(つづく)