客:拒絶ってのは有が現状を見棄て、個体の奥深くへ覆蔵され、そこから不可解な否定性が贈与
されること、なわけだけど、これがある種の終末感を帯び、死の匂いを纏っている。にもかかわらず
人間のある種の尊厳性をも指示している。そこが魅力って言えるわけだ。残念ながら無知なハイデ
ガー研究者は気付かなかったみたいなんで敢えて言うけども。
主:『寄与』の研究書は出てるけどね。
客:だけどそこで全く現実の人間には関わりを持たぬかのように捉えられるわけで、実は人間
存在の根源の不可解さに照明を当てる物でもあることが忘れられている。あの手の解説は『寄与』
には不要じゃないのかと思えるわけだ。むしろある事実性を根拠にしてもいるわけだから。単なる
観念のモザイクではない。観念のモザイク以上の物として読んでいるのか、というのが根本的疑問
だ。