『哲学への寄与』の構図は意外に簡単なもので。有の忘却が進行し、有の窮迫となった段階で、
根源の有が物象性の裂け目から、根拠不明な突発性として、変幻として、有の窮迫を暗示す
るかのように、表象しえない根拠の現成が為される。あの本で〈覆蔵することの空け透き〉とか、
〈語り拒み(語り与え)〉とか、〈脱去と合図〉といった言い方で言われているのがそうで、根拠不明な
変幻、変貌として、表象や物象の巨大化への交流断絶が贈与される。だから現代日本社会の現象と
も不思議な符号を持っている。現代日本社会がまさに有の窮迫としてあるから。