客:395さんの話、「下らないものを下らないって教えるのが啓蒙」「ロックもTVも下らない」って
いう。これは粗いけど、教養人は言いそうな話なんだ。だけど同じ話になるけど単に無知なだけだ
、或いは先入観で知る気もないのかもしれないが。
主:「ロックや漫画等を好き、という人間は宣伝やイメージを鵜呑みにしているだけ」というのも
そういう愛好家にも色々ある、ていうのがわからない。鵜呑みにしている人間も鵜呑みに反発する
のも実は似たり寄ったりで、肝心なのは自分の眼と感覚、評価を持つこと、ていう、すごく当たり前
な話になるんだけどね。
客:サブカルチャー、マスカルチャーをすべからく下らない、というのはやっぱり改めた方がいい
。サブカルチャーとされる作品でもどうみても下らないとは言えないものはある。ジョン・レノン
のソロ邦題『ジョンの魂』とか、サウンドはシンプル、歌詞は暗く、厭世的、トラウマをさらけ出して
痛ましかったり、単純に評価出来ない凄さがある。
主:ビートルズって史上最もポピュラーなロックバンドだと思うけど、リハーサルとrecording
を記録した映画『let it be』とか全体に倦怠感と虚無感がある。あれを商業用映画で公開した
のが不思議な映画だ。海賊版dvdで字幕付きが出てるからみるといいよ。
客:あと権力の話が出てるけど、吉本のかつての中上健次との対談で最低綱領と最高綱領っていう
のがあった。批評基準「最低限ここまでは」「究極これ以上はない」政治の消滅、階級の消滅、権力の
消滅、非-知ってことにいつでも射程に入っている、開いている、ってのは大事だと思うよ。それ
への中間綱領で「まだ避けられない」っていうのはあるとしてもね。「最低限ここまでは」っていう
課題とか分かるにせよね。知も政治も強迫観念に、言い換えれば支配になる必然をいつも孕んで
る。そこで思想したのが吉本だった訳で。
主:そこでフーコーの「主体化と権力」の問題とも重なっていた。