吉本隆明 1924-2012

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44考える名無しさん
主:まあ簡単な話で埴谷のあれだけ鮮明に論理的に打ち出した論旨を故意に読まなかったか、あ
るいは読めなかったのか。前者なら下らぬ歪曲、政治的意図のもとに為されたね。後者なら文芸
批評家として完全な失格あつかいだ。まあ実際には前者だろうと思うけども。
客:ところがこれがここで終わらないのがまたくだらなさの上塗りで。実は似たり寄ったりの
埴谷批判を今や世界的思想家の柄谷までやっていた。それが以下の文だ。

《昔、埴谷批判をやったときに、考えたことがあって、一つは、永久革命者のように、無限遠点に
完全な社会というものを置いて、そこから現在を見ることへの批判ですね。これはたしかにスター
リニズムを批判できるけれど、しかしスターリニズムを生み出すのは、まさに、そういう無限に
先に延ばすということだ、と思うんですよ。今は仕様がない、ということになる。だから、スターリ
ニズムの根拠も結局、無限遠点にあると思います。》(『ダイアローグ V』p.84)

吉本のこの頃の用語を使ってたり、論理的なので、気を付けないとなるほど、と頷きそうな感もあ
るがw、とんでもない。柄谷が鋭利な頭脳で解釈したのとは違い、まさにここで言われてる、‘今は
前衛党に、また社会主義国家に、階級があっても仕様がない’とするような、正当化を撃つことを
訴えたのが埴谷の先のエッセイの本質さ。こいつも全然読めてなかったんだなあ、と思い、唖然
させられるだろう。これも文芸批評家の端くれなんだからなあ。
主:柄谷は無理やり自分の作った図式に嵌め込む悪癖がある。これも故意か不用意かはわからん
けど。どっちにせよひどいもんだよ。