情況からの発言 2
客:亡くなった有名作家や思想家の作品って、それをどう残すか、ていう、後に残った者の仕事が
あるわけだけど。吉本の場合も書かれた作品をどう残すか、ていう仕事があるわけだけど。何しろ
本も多いし、著作集などでの重複を省いても相当数に上るでしょ。大変だよ。
主:実際大変な作業だよ。まず、書かれた文章を全部集めて改めて全集化するのか、ていう編集
方針から難しいんじゃないかね。ただ、やれば面白いとは思うし、ドイツの『ハイデガー全集』や『
マルクス=エンゲルス全集』みたいに、書かれた文章はとにかく残らず集める、年数どれだけかか
ってもやる、ていうことには意味があると思うし、どうせならそこまでやってもいいんじゃ、て
気もする。一番ありそうなのはかつての勁草書房や大和書房がやったみたいな部門別に集めて
重要作品を残す、てやり方だけど。でもそこでこぼれてしまうものもあるだろうから。
客:そうなると吉本の本は絶版になり、入手困難になるものも出てくる。入手できるうちに手に
入れておくしかないね。ひとまず。
主:漏れのない完全版全集とかが出るかどうかが分からないからね。
客:あと吉本の場合、現代のテクノロジーにも結構作品化されてて、CD,DVDにも講演や公開座談会
とかが残っている人でもあるんだよね。ほぼ日から出た講演CDもそうだけど。
主:CD,DVDでいうと、講演はかなりCDにはなってるが、対談は昔でた中上健次や宇野邦一との
テープぐらいしかないでしょ。吉本の対談てどんな感じで喋っているのか、聴いてみたい気がす
る。思うに対論に、吉本の閃きや拘りや、情感や、結構出てると思うんだよね。多分録音テープが
残ってるものもあるだろうから、それも聴いてみたいね。どこか企画して出してくれないか、と
思うんだけど。