吉本隆明は死んだ

このエントリーをはてなブックマークに追加
60考える名無しさん
 安原顕は肺癌で闘病していた時代に癌患者の特異な精神状態のせいと思うがあることないこと
書いて吉本を不審がらせ、あまりにひどいので対談することになったがその対談も中止となり、
安原も不審な感じを残したまま死んでしまった。安原が肺癌だったことは吉本は知らなかった。
『異形の心的現象』で吉本自身が語っている。
 もうひとつ、フーコー=吉本対談でいうと、仲介した通訳や翻訳の蓮実重彦は吉本の用語を巧く
理解しておらず、翻訳もまずかった。フーコーの『Dits et ecrits V 1976-1979』での吉本
の用語は個人幻想 fantasme individuel、対幻想 fantasme dual、共同幻想 fantasme
collectifとなってる。これは蓮実の通訳のままなはずだが。まず吉本も後に語っているが、
幻想 fantasmeというのは意図を汲み取っていない。マルクスの海外での本に共同幻想が
illusion-generalとされている、しかし、僕(吉本)のいう幻想は、illusionで通用するのは
共同幻想までで、あとの個人幻想や対幻想の場合にはillusionは当てはまらない、と述べてい
る。(『吉本隆明が語る戦後55年 E』)何故ならillusionでは錯覚や幻覚の意味になる。(64頁)
吉本のいう幻想をうまく翻訳できなかったというのは、把握ができなかったということで、
海外に紹介する場合の大きな課題になる。俺の解釈では、吉本のいう幻想は、現象と言い換えて
いいのではないかという気がする。個人幻想ならば仏語で phenomene a individuel、
英語でphenomenon on individual、対幻想ならば仏語でphenomene a couple、英語
ならphenomenon on couple、共同幻想なら仏語でphenomene a communaute、英語で
phenomenon on community。fantasme,illusionよりphenomeneの方が吉本の着想に
沿っているという気がするが。蓮実の翻訳は直訳体で、吉本の着想を汲み取っていない。あれが
精一杯だったかもしれないが、明らかな準備不足と思う。吉本を翻訳するにはまず思想から理解
していかないと、直訳体では着想は通じない。ちょうどハイデガーの思想を各国の言語に翻訳す
る場合の困難が吉本の場合にもある。