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第三の波平 ◆JXLBbnYqTY :
■なぜ武士は近代化できなかったのか
武士は過去に縛られた人々
世界最先端の中国文化をまじかで吸収してきた日本は産業化を発展させる機会はなかったの
か。宋文化を受けたのは日本では武士が台頭する時代だった。武士たちに産業の発展はむず
かしかっただろう。この日本に特殊な武闘集団は闘うことを重視する故ではなく、ある意味過去
に縛られた人々のだったからだ。
武士の起源は低級貴族である。唐にまねて軍隊をつくったが、結局外国との戦争もなく金もか
かるので解体し、低級貴族をもとに自治組織をつくる。そんな治安貴族たちが武士として名を
上げるのが東国で暴れる盗賊たちを討伐することによってである。
しかしこれは一つの運動である。治安貴族が地方自治へ向かう貴族の護衛として同行し、地方
の豪族と仲良くなりそのまま住み着き、事件を起こす。それを新たに朝廷から派遣された治安
武士が討伐にゆく。平将門の乱など。このような武装貴族たちが武士として専門化し、やがて
地方自治は武士の任され、さらに政権を左右する存在になっていく。このような特徴から武士
は始めから、天皇を頂点とする縦社会の一部である。
482 :
第三の波平 ◆JXLBbnYqTY :2011/10/08(土) 18:50:49.14 0
血の縦社会
だから武士が政権を取ろうが、天皇にかわったことがない。ここに武士の特殊性がある。天皇
は唐をモデルに律令制が導入されたときに、日本国を宣言するとともに、中国の皇帝をモデル
に政治の頂点として導入された。しかし皇帝が儒教をもとに天命により選ばれるのに対して、天
皇は古事記などの神話が示すように、神そのものである。皇帝は天命により、国ごとにかわる
が、天皇はかわることがない。そして神話から日本国民はみな天皇の子孫であり、その職業は
与えられたものである。この日本人としての系譜の連続性信仰は、儒教的皇帝とは異なる島国
日本ならではの神道的土着信仰からきている。
武士は徴兵され規律訓練されたり、対価として雇われた軍隊と異なり、系譜の連続性という血
の縦社会に組み込まれていることから考える必要がある。たとえば武士の特徴である卑近な
強い主従関係といられるものも、そこには血筋や家柄が重視され、またパフォーマンス的であ
る。下級貴族からはい上る。そのためには、固定された縦社会では、武力や成果だけでは無理
で、民衆から支持される名声をえて、天皇から認められる必要がある。
武力で天下をとった武将も、天皇から承認されなければならない。天下をとるためにも、武力以
上に名声は重要である。そして階級が固定された江戸時代にいたっては、武士のパフォーマン
ス性は様式化される。切腹、殉死はある種、滑稽な、避けられないパフォーマンスである。歌舞
伎など町人が武士の物語を楽しんだのは偶然ではない。武士とはそのはじめからパフォーマン
スであるからだ。
483 :
第三の波平 ◆JXLBbnYqTY :2011/10/08(土) 18:51:54.40 0
武士の保守性
たとえば互いに名乗りあう武士の戦いにおいて、銃の使用は、尊厳を失わせるためにためらわ
れた面がある。それを大胆に導入したのが織田信長である。信長には自らが天皇にかわり皇
帝になろうとしていた、本能寺で死ななければ、という噂がある。この神話は逆に信長でなくれ
ば断てないとい日本人がもつ系譜の連続性への信仰の根深さをあらわす。
また大胆に新たに技術を信長か好んだといわれるように、武士の保守性は産業を推進する革
新性を持ちえなかったことを意味する。結局、近代化への歩みは明治を待つことになる。ただ
急激に近代化できたことに、日本人がただ国際世界から引きこもっていただけではないことを
あらわす。鎖国の開いたも海外の情報収集を怠らず、情報を収集し続けてた。