ジョルジュ・バタイユ Georges Bataille2
それから、酒鬼薔薇のような犯罪には生育環境や生活環境が影響している。という意見があ
った。これまた当然で、尚付加するなら、行為の背景には内的動因もあれば外的動因もある。そこ
は複合していると考えていい。しかしそういうことはバタイユの理論にとってさしたる重要性は
ない。バタイユの理論では、侵犯行為が意志的に行われねばならないなどと主張されたことは恐ら
く一度もない。それらはバタイユの理論では好運 chance なのだ。侵犯行為というものがバタ
イユにはよく分かっていた。それらが、例えば殺人などが、簡単に行えるものではないことを彼は
熟知していた。よく読めば分かるがバタイユが人を殺せ、とか本の中で発信したことはない。つま
りいつも侵犯行為は好運でしかないと知っていた。そういうことが分かってない輩が多分騒いで
いるのだろう(笑)何故騒ぐのかという理由も明らかで、現代人にとって、行為について意識的で
あることが絶えず優先されていく。行為について、現代人は、特にインテリがかってるほど、その
傾向が強まる。しかしバタイユのいう行為はむしろ意識を逃れていくところに本領がある。だか
らますますその手のインテリには論旨は読めなくなり、また騒ぐ、ということになる。