ジョルジュ・バタイユ Georges Bataille
「僕らは柔らかな土の上に倒れ、僕は巧みに操縦された鍬が土の中に
突き入るように彼女の湿った身体の中へ入って行った。その身体の
下で、土は墓のように開き、ドロテアの裸の腹部は新鮮な墓のよう
に僕に向かって開いた。僕らは星をちりばめた墓地の上で交わりな
がら、こうして全体で一つの輝く空をかたちづくっているのだーー
―交わりあっている僕らの動きと同じ様に乱れ乱れる、輝く星空を。」
ジョルジュ・バタイユ「青空」より
三島由紀夫の「仮面の告白」における接吻シーンは日本一美しい、なんてことが時々言われるようですが、
三島が敬愛してやまなかったバタイユの方が、芸術的に接吻や性交を描いているんですよね。
情景そのものを抽象化して豊かな比喩でちりばめ、生々しい行為を優美な空想に描き直しています。
こういう芸当は三島にはできなかったみたいですね。