ジョルジュ・バタイユ Georges Bataille
ドゥルーズは、それぞれの人の思考の奥底にある平原が他者の平原となだらかに連鎖していくこと、
つまり格差のすべてがなくなることを望んでいたんですよね。
ドゥルーズはガタリとともに精神医学に批判をあびせている面もありますが、それはあくまで一側面であって、
統合失調症者が革命の救世主になるとまでは言ってなかったかも知れません。
資本主義社会では格差がなるなるということはありません。革命を望んでも、風車の前のドンキホーテになるのが落ちです。
一方のバタイユですが、この人は狂乱や熱狂に美意識を持ってはいますが、それを全肯定している訳ではなくて、
ソドムとゴモラのような退廃こそが芸術の高みであると言うにとどまっています。
ドゥルーズが本の中で統合失調症の真似をしてみせたのに対して、バタイユは実際病んでいたようです。
バタイユの表現で印象的なものがあります。
「果物の内部に蛆虫がわく時、初めて快楽が始まるのよ。毒を含んでいる時だけ、わたし達の幸せは甘美なのよ。」
果物を人間存在としてみた場合、これは病に冒された瞬間に初めて崇高な快楽が訪れるという、絶妙な比喩になっています。